見出し画像

カンヌライオンズ2021受賞の注目作から③

先日行なわれたCannes Lions2021、ゴールド以下の受賞作の中にもまだまだ面白いアイデアがありましたので、いくつかご紹介します。

デザイン部門でシルバー、ファッション雑誌VOGUEが台湾で行った"Uni-Form"。台湾には、厳しい男女の学校制服ルールがある。そこで、ワールドファッション週間に地元のファッションブランドAngus Chiangとともに、男女が自分の嗜好に合わせてアレンジできる制服コレクションを発表し話題に。コレクションは、自分の学校のスクールカラーに合わせてアレンジしたものを購入もできる。既存の学校制服に対する議論を巻き起こしたプロジェクトは、文部省や台湾総統からも好意的な意見が寄せられた。

ダイレクト部門シルバー、カナダのスーパーマーケット、East West Marketの"Embarrassing Plastic Bags"。世界的にレジ袋の無料配布からマイバッグへという動きにはあるが、なかなか人の行動習慣は変わらない。そこで、配布するレジ袋には持って歩くと恥ずかしい言葉("アダルトビデオ" "いぼ軟膏" "結腸ケア"などなど)をでっかくプリント、96%の客がマイバッグで購入するようになったそう。

画像1

PR部門でシルバー、アメリカのシューズブランドRed Wing Shoesの"#LaborDayOn"。コロナによって、アメリカの雇用は落ち込み、休むことよりも職を見つけることが社会的課題となっている。そこでRed Wingは、労働者を祝う祝日であるLabor Dayを、今年は"働く日(Labor Day On)と宣言。たくさんの求人広告を出し、雇用を守ることこそが労働者に報いることとメッセージ、共感した220もの他ブランドや会社がこのアクションに乗っかった。

祝日を使ったアイデアと言えば、数年前のグランプリ、アメリカのアウトドアショップRAIのサンクスギビングの休日には、街へショッピングに行くのではなく郊外に行って自然に親しみましょう、というメッセージを放った"#OptOutside"がありましたね。

画像2

クリエイティブeコマース部門でシルバー、クラフト社のマカロニ Mac&Cheeseの"#SendNoods"。コロナ禍のロックダウンが続く中、つまらない画像を友達に送ったり、ヌード写真を送りつけるハラスメントなども問題となっている。そこで、ナショナルヌードルデイ(麺の日?)に、気持ちよくなるんだったら、ヌード(nude)じゃなくて、ヌードル(noods)を送ってとユーモアを込めてメッセージ、際どいやり方自体も論争を呼び(最終的には批判を浴び撤回)、セールスは6%アップ、同時期に発売となった競合の新製品の話題をかき消した。

画像4


フィルム部門でシルバー、バーガーキングの"Confusing Times"。コロナ禍という困惑に満ちた時代、人々が感じる日々の小さな困惑(気候変動の本をオンラインで買ったらプラスチックの梱包材いっぱいの航空便で届いた、など)。こんな困惑の時代、ビーフじゃないのにワッパーの味がするワッパーが出てもいいよね、と新商品の大豆由来のプラントベースワッパーをメッセージ。ディレクターは、Juan Cabral。ドラムを叩くゴリラのCadbury "Gorilla"やSony "Balls"で、一世風靡した彼(当時はエージェンシーFallonUKのCD)は、現在ディレクターとして活躍しているよう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?