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カンヌライオンズ2021 ゴールド受賞の注目作から

先週行なわれたCannes Lions2021、各部門のグランプリは全て取り上げましたが、他にもまだまだ面白い受賞作がありましたので、いくつかご紹介していきます。

ブランドエクスペリエンス&アクティベーションとダイレクト部門でゴールドを受賞、チェコの政治家の汚職を撲滅する団体Znamakamaradaの"Anticorruption Hackathon"。談合による汚職が絶えないチェコ。ある政府のIT大型案件が2億円という金額にも関わらず公開入札なしで決まったことに、談合ではないかと疑問を感じた団体は、大統領の同意も取り付け、194人のプログラマーによるハッカソンを実施、たった2日間で発注のあったITシステムを無料で作り上げた。この談合に関わった運輸大臣は罷免され、政府は3千万円以上の案件には今後、公開入札を行うことを宣言した。

デザイン部門でゴールド、カナダのHeinzケチャップの"Pour Perfectly"。残り少なくなったケチャップを出す時、ボトルの底を叩いたりして出すのに苦労するのは誰でも感じていること。そこで、ハインツは31度に傾けると一番出やすいことを科学的に解明。この角度の傾けやすいよう、31度に傾いたラベルを貼ったパッケージを発売。ラベルが水平になるような角度に持てば、スムーズにケチャップが出せるというもの。


ソーシャル&インフルエンサー部門でゴールド、フランスの慈善団体 Fondation de Franceの"Bee_nfluencer"。インスタに突如現れたミツバチインフルエンサーというアカウント。ミツバチが人気インフルエンサーがするような投稿を連発することで人気アカウントに。60万人のフォロワーを獲得した他、企業やブランドからコラボや広告への出演オファーが舞い込むなど人気となり、獲得した15万€(約2千万円)の広告収入はさまざまな保護プロジェクトへ寄付された。最後には、自らの死を突然アナウンス、世界的に絶滅の危機に瀕しているミツバチの現状を衝撃を持ってメッセージした。


クリエイティブ・データ部門でゴールド、ドイツのNDR交響楽団の"For Seasons - composed by climate data"。1723年に作曲された有名なビバルディの「四季」を、300年後の現在の気候変動データに照らし合わせ、再編曲。夏のパートは長くなり、冬のパートは短く、夏のパートだけに入っていた雷鳴の音は全季節に挿入され、鳥のさえずりは15%減るなど、気候変動を"可聴化"し、地球環境問題に警鐘を鳴らした。


アウトドア部門でゴールド、フランスのオンライン配車サービスHeetchの"Uber Heetch"。世界的なUberの流行はフランスでも同じ、競合であるHeetchは自社のサービスを売り込むため、なんとライバル社のUber Eatsを利用。レストランやファーストフードが配達用に使うパッケージを無料で提供し、そこを自社の広告スペースとして利用。メッセージは、皮肉にもUberが届けてくれるというもの。

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フィルム部門でゴールド、男女の賃金格差の是正を訴える団体、Equal Pay Dayの"Eternal Pregnancy"。女性は未だに出産か仕事かを選ばなければいけない労働環境にあることを辛辣に皮肉ったムービー。ディレクターはCzarのベルギー人デュオ、Lionel Goldstein


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