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D&AD賞2022 受賞作発表 今年のブラックペンシルは5本

国際広告賞の発表が続きます。世界一審査が厳しい賞としても有名なD&AD賞の受賞作が発表になりました。毎年、この中からカンヌの有力作が出てくる可能性も高く必見です。

グランプリに相当する最高賞のブラックペンシルは、今年は5本の選出となりました。

1つ目は、Direct部門とBranding部門で2本のブラックペンシルを獲得。先日のOne Showでも最高賞を受賞したアメリカの銃撲滅団体、Change the ref.の"The Lost Class"。

この映像で卒業祝辞を述べているのは、NRA(全米ライフル協会)の代表を務め、現在も理事であるDavid Keeneという人物。彼は、ラスベガスにあるJames Madison Academyという高校の卒業式に呼ばれたと思って、誇らしげに若者の未来についてスピーチしています。実は、この高校は企画側によって作られた架空の存在しない高校でした(情報ソースはこちら)。その映像に、彼がUniversal Background Checkという銃購入の際に犯罪歴などの個人情報を調べる法案を阻止するために寄付を行ってきたことや、2021年には3044人の高校生たちが銃暴力の犠牲となった事実が淡々と挿入されます。

卒業式に参加することができなかった3044人を圧倒的な空席のビジュアルで可視化することで、その欺瞞へのやるせない思いと憤りを映像が掻き立てます。

2つ目はMedia部門から、ニュージーランドのSamsung Galaxyの"Samsung iTest"が選出。iPhoneユーザーは、その盲目的な愛情ゆえ、なかなか乗り換えてもらうのが難しい。そこで、自身のiPhoneを使いながら、GalaxyスマホのAndroid OSの使い勝手を体験できるiOSアプリを開発、使ってもらって論理的にその優位性を感じてもらおうとしたもの。ニュージーランドでは、ダウンロードアプリのTop5の入った。1200万人のiPhoneユーザーが、Samsungに乗り換えているというデータも。

3つ目はCreative Transformation部門から、イギリスの心の電話相談窓口、Frontline19の"Hopeline19"。コロナ禍の過酷な労働環境もあり、救急看護師の5人に2人はPTSDを患っているというデータがあることから、Emergency Service Dayにちなんで、自身の相談窓口を救急看護師たちのためだけに開放。本来救うべき仕事をしている彼らのその精神ケアに挑んだもの。

4つ目はProduct Design部門から、Googleの"Real Tone"。スマホで写真を撮ると、黒人の人たちは必要以上に暗く写ってしまうことに悩んでいた。そこで、Googleは研究を重ね、彼らを中心に、どんな人種の肌もリアルに撮れる技術を開発。自身のブランドであるPixel 6にも搭載された。


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