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何でもないような事が幸せだったと思うのは私達はマイナスからの幸せの方が好きだからだと思う


今日も日本のどこかで1番引用され続けている歌詞と言っても過言ではない、THE 虎舞竜の”何でもないような事が幸せだったと思う”という言葉。

私達に起こる共感性と言う意味では日本POP史の中でも頭2つくらい飛びぬけているようにも感じる歌詞ですが、なぜ何でもないような事が幸せだったと思うのでしょうか。何でもないような事は普段の生活で普通なら見過ごされます。何故ってそれは何でもないような事だからです。誰かが夕飯を用意する音、何も気にせずにリラックスして飲む金曜日のビールの一杯。格別な幸せを感じることではないのに、何故あるシチュエーションに陥ると何でもないような事が幸せだったと感じるようになるのか。

それは私達はプラスの幸福よりも、マイナスからの幸福の方をビビッドに感じれるように出来ているからだと思います。

3日間家にも帰れず会社で徹夜、寝泊まりした後に土曜日の朝にやっと帰って、お湯たっぷりのお風呂に入る幸福感。

付き合っていた彼氏や彼女に人間不信になるようなひどい浮気をされて振られた後に、優しい言葉を掛けてくれたコロッケ屋のおばちゃんの温かみ。

こういったものは通常の状態から見ると明らかに何でもないような事ですが、
この何でもないような事が私達に与える幸福感というのはバリーボンズのフルスイング並みの破壊力があります。

しかしこの風呂であったり、コロッケ屋のおばちゃんの優しい言葉であったりは、私達がずたぼろの状態という舞台設定があって初めて効力を発揮するものです。つまりバリーボンズにとってのステロイドのようなものが、このずたぼろの状態であり、私達が満足しきった日常の状態ではこのような細やかな幸福は容易に見過ごされます。

離婚した高橋ジョージが”何でもないような事が幸せだったと思う”と歌うからこそこの説得力が増すのです。満足しきった満ちたりたジョージが歌っても歌詞に重みが出ません。

話は少し逸れますが、
これまでの日本の歴史の中で最も国民が幸せだったとのはいつの時代か?と問えば、それは間違いなく戦後復興の昭和の時代と私は答えます。それは決して現代ではありません。

焼野原、闇市、はだしのゲン、ギブミーチョコレートのこの何もないところから茶碗一杯の米が何より幸せ!と感じられるこの時代こそが間違いなく日本人全体が何よりビビッドに生きている実感、幸福感を感じられた時代だったと思うのです。これはその前に戦争と言う地獄を味わったからこそ、日本人が感じる事のできた幸せだったとも言えます。


前回の記事で私は、貧困にある子供たちがどうやってその逆境をくぐり抜けて生きていけるかを書きました。

彼ら貧困家庭にある子供たちはマイナスのラインから人生を始めなくてはなりません。しかも戦後日本のような大体皆が同じスタートラインでよ~いドン!という競争ではなくて、ある程度の格差が固定された状態からのサバイバルになっており、かなり厳しい戦いを強いられます。

しかしそんな彼らにもTHE 虎舞竜の”何でもないような事が幸せだったと思う”という言葉が何よりの励みになると思います。彼らこそちょっとした成長や幸福、人生の成功で何より強い幸福感を感じられるからです。

私達はいまいちプラスへの幸福度というのは良く感じられないように出来ている気がします。志望大学に入れた、有名な会社に入れた、海外転勤できた、ほにゃららできた。これら全ての達成は確かに素晴らしいですが、その中に1度入ってしまえば、それらは自分の日常の一部になり、自分と似たような人間が周りにたくさんいるようになり、いまいち何が凄かったのかよく分からなくなります。幸せにいつの間にか慣れ切ってしまいます。プラスへの幸せと言うのは”いまいち生きている実感!”とはなりづらいです。

反対に自分がぐちょんぐちょんになった時の細やかな幸福はビビッドに何事も感じられ、だからこそこういう時に新手の詐欺や洗脳には気をつけたいのですが、とにかく腹が減った時の方が幸福度や生きている感は高いと思うのです。

何でもないような事が幸せだったと思うのは、何もかも失って初めて、あの時は幸せだったなと感じられる瑞々しい心を持つ事ができたという、人間の悲しさをよく表わしているなと思います。


さて今日のESPN スティーブンAのおっさんの英語です。何となく内容はこんなことを言っている気がしますので、皆さんも英語を聞いてみてください。

ジャレン!お前は元バスケット選手だ。現役じゃない。
その服はどんな動物からはぎ取ってきたものかは分からないし、コメントもしたくないが、これはNBAドラフトだ。そんな派手な服を着るべきなのはお前じゃなくて、今日ドラフトされる大学生達だ。お前の服についてはノーコメントだ!


スティーブンA、今日もキレキレです。自分がおしゃれをしていた時はめちゃくちゃ自慢していたのに、他人のおしゃれには辛らつなのが最高です。

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