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「月の満ち欠け」 読了と映画鑑賞

オーディブルで、月の満ち欠けを聴いた。全9時間32分にも及ぶ長編作品。数日間に分けてやっと聴き終えた。読了という表現が正しいのかわからないけど。聴了と呼ぶほうが良いのかもしれないけど。

月の満ち欠けを知ったのは、SnowManファンである親友からのお誘いだった。映画館に足を運んだときにチラホラ居たガールズ達と同じように、私もこの映画を観ようと思ったきっかけは間違いなく、目黒蓮こと、”めめ”である。

「映画の公開が楽しみだね」なんて、親友と話していたのは夏の季節に入ったばかりの頃だったのに、あっという間に冬が来た。映画公開日が近づいてくる。親友がチケットを取ってくれた。

映画の予告を観たとき、この映画は原作を知っておきたいと直感した。書店で文庫本を手にしてみたけど、本の分厚さに読む気力が遠のく。なんだか難しそうだと思って、それ以上手を伸ばすことはなかった。ネットで大まかなあらすじや相関図を調べるも、複雑すぎてよくわからない。そこで、丁度その時期からハマりだした、聴く読書アプリ・オーディブルで検索してみると見事にヒットした。丁度いいタイミングで、配信がスタートした日だったようだ。

月の満ち欠けを聴いた場所は、河川敷での散歩中や、バスの中で。深夜に洗い物をしているときも聴いた。ちょうど緊迫感のある場面だったので、ドキドキしながら皿を洗った。ナレーションの台詞で息を呑むほど世界観に引き込まれていく。途中でわからなくなりそうな時は、ネットの相関図を見ながら話を追った。面白い読書の仕方をしているなと自分でも思う。

映画を観る日、親友と合流して開口一番に「原作で予習済み」と得意げに答えた。原作を知って思ったのは、きっと ”めめ”演じる三角哲彦は、名前は頻繁に登場するけど、実際の登場シーンはかなり限られているのではないか、という点。劇中もまさにその通りだった。映画館へ足を運ぶきっかけとなった人が、そういえば本業アイドルだったこともすっかり忘れてしまう位、映画のストーリーに夢中なってしまう2時間だった。特に、有村架純が演じる正木瑠璃の儚さと色気に魅了されっぱなしだった。

鑑賞後、親友に「どうだった?」と聞いてみると「よくわからなかった」と話した。私も原作を知っていなければ同じように思っていたに違いない。あの展開の速さで時系列を辿るのには、1度のだけの鑑賞では全てを理解できないだろう。「ただ、愛のある映画だったよね」と話して、ごはんを食べながら余韻に浸った。映画での感想は、こういう感情を抱くことが最もだと思う。

そして、原作と映画はまた別物として捉えたほうが良いとも感じた。原作と映画の相違点もかなりあった。なんなら終わり方も違う。比較してしまうと、映画では物足りなさを感じてしまうだろう。

月の満ち欠けは、ファンタジーで、ミステリーで、ホラーな、ラブストーリーだ。
私は音声で原作を予習し、映画を観に行った。話の流れや登場人物の理解は間違いなくできるけど、原作と比較しようという見方になってしまうのが懸念すべきところだ。

劇中で流れるサウンドや曲が心地よい。ジョンレノンのWomanにハマっている自分がいる。そしてオーディブルでもう1度、原作を聴き始めている。完全に沼だ。作者の思う壺である。

映画での主人公は小山内堅であり、原作の主人公は正木竜之介ではないかと個人的に考えている。

2022年が終わろうとするこの季節に、出逢えてよかったと思える素敵な作品だ。


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