自分以外も年を取る訳です。
母から、「祖母の家を掃除するから見に来て」と電話があった。
((この前もそんな事言ってて、見に行ったんだけどな・・・。)
何回も確認するほどでもないが、これも長男としての仕事なのかと足を運んでみた。
祖母の家で、母は待っていた。
母が何だか、小さくなったように見えたが、家に上がりとにかく話を聞いてみた。
内容はこの前とほぼ同じことだ。
祖母が、全然片づけできてない状態で、ホームに入所したから、私が暇を見て片づけてるんだけれど、埒が明かないので、業者に頼んだらいいかな?みたいな事。
僕も、家の中一回りしてみたけど、荷物が多すぎて、母一人でコツコツするには暇が掛かり過ぎるだろうから、貴重品、金目の物、判子、鍵などを取りだして、後は業社に任せればいいんじゃないかと言った。
母は「そうするわ。」と言って、貴重品、金目の物、判子、鍵の捜索をしだした。
暫くすると、母は思い出したように、「後は、業者さんに頼んだらいいよね?」と言う。
「そうや。業者に頼んだらええから、金目のもんとかは持って帰りや。」僕は言う。
そんな繰り返しを1時間半くらいの間に何回もした。
僕は、(ボケだしたのかな・・・)と心配になった。
ふと、捜査に夢中になっている母の頭頂部を見ると、白髪になっていた。
「そうだよな、もういい年なんだよな。」
今まで、好きに生きてきて、人生を十二分に満喫して、いつの間にか40を超え、いい歳のおっさんになって、一人悦に入っていたが、同じように時間が進んでいるのは僕だけでない事に改めて感じた。
父も母ももう70代。世間でいうところのおじいちゃん、おばあちゃんなのだ。
もう、自分のしたいことはほとんどなくなったけれど、これからは人の世話をしていかなけばならない年齢に到達したのだなと、頭の片隅に浮かんだ。
時間は有限だし、平等だ。
後、どれくらいの出来事が僕の前に現れ、消えていくのだろう・・・?
その時僕はどうするのだろう?
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