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タワマンは何故こんなに値上がるの?

初めまして、マンション好きの外資コンサルという名前でXをやっております。私は米国系コンサルティング会社のサラリーマンの傍ら、東京と大阪でマンション投資をしています。その中でもタワーマンション(以下タワマン)のみに投資をしており、7回の購入と2回の売却を経験しました。

タワマンは他のマンションや戸建てと比べても値上がりのスピードが明らかに早く、売却時と購入時の差額に期待したキャピタルゲイン投資としては有望と考えます。不動産投資(自宅に住みながら投資含む)に関心がある方には、マンション買うならタワマンがいいよとオススメしていますが、そもそも何でタワマンってそんなに値上がるの?という裏ロジックが分からないと納得感のある買い物も難しいかと思います。これを言語化した記事も見当たらないので、私が理解する限りでタワマン値上がりのメカニズムを考察していきたいと思います。読めばあなたもタワマンを買いたくなるかも!?

皆さんの関心があれば書いてみようと思ってXで関心を聞いたら500以上いいねが付いたのできっと皆さん気になってるはず!


タワマンは本当に値上がるのか

タワマンの値上がりの仕組みという本題に入る前に、そもそもタワマンは本当に値上がりが激しいのか?という前提について触れます。
私も懇意にしているDr.マンションさんの以下のツイートをご覧ください。

↑こちらは三井不動産のブランド、パークシリーズのマンションについて、竣工時と現在の価格の騰落率を比較したデータです。この中でパークコートザタワーとパークタワーは文字通りタワマンのブランドであり、他は非タワマンになります。騰落率については一目瞭然、タワマンブランドの2つは竣工時から2倍近い価格になった一方、他ブランドは+6~7割(それでも凄いですが)なので1.5倍違うと言えます。

以下は2021年8月のNewsPicks記事、「【のらえもん】賢い「タワマン」の買い方を、教えよう」からの引用です。同様の帰結が見えると思います↓。https://newspicks.com/news/6084240/body/

他にも、集計すればタワマンか非タワマンかで大幅に値動きが違うエビデンスは多く出てきます。同じエリアで、ほとんど同じ駅距離や築年数なのに、タワマンと非タワマンでは1.5倍価格が違うというのもザラに見られる現象です。ザ・パークハウス 高輪松ヶ丘という白金高輪駅徒歩3分の好立地に立つ素敵な低層高級マンションがありますが、2023年秋の新築最終販売では坪770万円ほどで売っていました。一方、その近隣の同じく白金高輪駅徒歩3分の築浅大規模タワマン「白金ザ・スカイ」は同時期に坪1000万円くらいで取引されていました。(数字についてもし齟齬有れば訂正します)

白金ザ・スカイ(2022年築) / コロナ時の販売だったためデベロッパーが少し弱気だったと言われ、坪600万円台で売っていたのが竣工1年で坪1000万前後になったので爆益ザ・スカイとも。

タワマンが値上がるメカニズム

前項でタワマンが住宅相場の上昇を大きくアウトパフォームしていることや、ブランドや立地、築年数などの条件を揃えてもタワマンと非タワマンで価格騰落率が明らかに違うことをご説明しました(ざっくり1.5倍違うと思ってもらえれば分かりやすいです)。こちらに納得いただいた前提で、その背景を分解するのがこの記事の本題となります。大きくは以下だと考えます。
①立地の良さ
②ランドマーク性
③買い手の理性を狂わせる豊富な差別化要素
④羨んでしまう&羨まれたい人の悲しい性(さが)
⑤投資家による相場形成
⑥資本投下・再開発の恩恵
⑦とにかく話題になる

立地の良さ

最も分かりやすく、ノーサプライズな点かと思います。
タワマンは希少性の高い土地に作られることが多いです。一般的には駅からの距離で判断されますが、タワマンは駅徒歩5分前後が多く、駅直結なども珍しくありません。利便性の高いターミナル駅至近に作られることもあり、戸建てや非タワマンでは難しい場所に立つことが多いです。

希少な土地(大体狭くて高い)を仕入れたデベロッパーは、それを少数に販売しては採算が取れないため、限られた土地を多くの人に販売して収益を得るために高層に伸ばすことになります。つまり、希少性の低い駅遠の土地のタワマンというのは事業上、矛盾した存在になってしまう(一部の例外を除きます)ため、タワマン≒希少な立地という式が成り立ちます。

不動産に立地が大事なのは当たり前です。ただし、人口減少社会にて更に価値が高まっています。人口減は国全体の不動産価値を下げるのではなく2極化を進めると言われます。地方や郊外では経済が弱くなり、多くの人が大都市に移り住むことで東京や大阪などへの都市一極集中が進みます。大都市の人口が増え、共働きが当たり前になり、夫婦ともに無駄のない効率的な生活が求められる中で、駅近の価値が更に高まります。不動産の2極化についてはこれだけで別の記事が書けるほど壮大なポイントなので端折りますが、このように一部の立地の希少価値が逆に高まり、他は全て価値が下落するという2極化トレンドの恩恵をタワマンは最大限に享受することになります。

パークタワー勝ちどき(2023年築) / 駅直結という立地の希少性と後述のランドマーク性の2つを兼ね備え2023年に爆騰したことで話題に(2020年坪400万円→2023年坪740万円)

ランドマーク性

通常のマンションが多くても50~100戸以下が多いのに対し、タワマンは少なくても200戸以上、単一の棟で500~1000超えもメジャーな超大規模マンションになります。多くの人が往来する「駅近」に「超大規模」なマンションが建つ。つまりは周囲から滅茶苦茶目立つわけですね。これをランドマーク性と定義します。

もし私が駅徒歩10分のありふれたマンションに住んでいて、それを友人に「○○駅から東に10分あるいて、3丁目の交差点近くにあるマンションなんだけど分かる?」と聞いて分かることは超地元の人でない限りほぼありません。

これがタワマンだと別です。
「○○駅の東口出て2分歩いた場所に立ってる大きいタワマンなんだけど分かる?」と聞けば、数回付近に来たことのある人であればすぐにピンと来たりします。同じ地域に住む人であれば100人中100人が知っていてもおかしくありません。

だから何?と思うかもしれませんが、実はこれが中古市場での売買において非常に強力な武器になります。新築マンションをデベロッパーが売る際には大きなマーケティング予算をかけて広告を出します、Web、看板、スーモからのDMなど、あの手この手でマンションを知ってもらおうとします。一方、私がマンションを中古市場で売る際に広告費は出せません。仲介業者にスーモに載せてもらって待つのがせいぜいで、自分のマンションを多くの人に認知してもらうのは非常に難しいです。勘のいい方は既にお分かりかと思いますが、タワマンはつまりその存在自体が広告塔になるんですね。駅の近くで多くの人の目に留まって認知される。マーケティング行動の完全な代替です。知っている人が多ければ、スーモで家探しをする人の目に留まりやすくなるし、スーモで探す前から「あのタワマン住んでみたい」という指名買いが多数発生するのも特徴です。仲介会社にも当然認知されてるので、紹介もされやすくなるでしょう。そんなマンションなので、高い価格で売り出しても売れてしまうことになります。

プラウドタワー亀戸クロス(2022年築) / 亀戸駅の目の前で、新商業施設「亀戸クロック」直結の大型物件。亀戸に住む人でこのタワマンを認識せずに生きることは不可能に近いです。これがランドマーク性の良い例で、2023年末現在周辺のマンション相場がせいぜい坪300万前半な中、この物件のみ坪500万円という異次元の価格で取引されます。

買い手の理性を狂わせる豊富な差別化要素

マンション購入は大きな決断です。中古マンションを検討する買い手は、様々な条件を見比べながら、予算やライフスタイルと何度も照らし合わせて理性的に判断しようとします。普通は一生に1回か2回しかない大きな買い物だから当然ですね。(Xのマンションオタク達は一生に10回以上買う人も多そうですが…)

マンションを高く売るには、この買い手の理性をどう狂わせるかが重要になります。そしてタワマンは狂わせる要素を数多く持っています。代表的なものは、圧倒的な周辺の利便性、圧倒的に格好いいデザインやエントランス(個人差あり)、圧倒的な眺望、圧倒的な共用施設です。以下は購入検討者の脳内に浮かぶイメージの例です。

・駅から超近い!通勤が楽になるのは勿論、駅前の商業施設もいつでも簡単に使えて、子供も遊ばせやすくて生活が楽しくなるだろうなぁ…
・超目立つデザインで存在感あるし、エントランスの豪華さもテンション上がる。ここに自宅として毎日帰れたらワクワクするなぁ…
・部屋のリビングからレインボーブリッジまで見える!こんな綺麗な夜景見ながら夕食食べられたら気持ちいいなぁ…
・色々な共有施設があって楽しそう!子供をプールで遊ばせたり、敷地内のカフェに友達招いてお茶したり、夜にはスカイラウンジのバーで妻(旦那)と一杯飲むのも楽しそうだなぁ…

このイメージはただの妄想例ですが、購入検討時に「買った後の楽しい生活」を想像させてワクワクさせるほど理性が狂ってコスト感覚が緩みます。上記のようにタワマンは他のマンションや戸建てでは代替できない唯一無二の差別化要素を持っており、理性が飛んで高値でも欲しい顧客が表れやすくなります。逆に差別化要素の無い、普通のマンションになればなるほど、冷徹で理性的なコスト合理性だけで判断されるようになり、高値追及など夢のまた夢になります。

ブランズタワー豊洲(2021年築)エントランスホール / こういう空間は落ち着かないという人も多いと思いますが、ホテルみたいなエントランスに毎日迎えられたいと思う人には唯一無二の選択肢になりコスト感覚が緩みます。豊洲で最も駅近、最大規模、最も築浅な物件で、豊洲のランドマーク物件として新築時坪400万円→2023年坪600万円という値動きに。

羨んでしまう&羨まれたい人の悲しい性(さが)

炎上しそうですが、真実だと思うので書きますね。
スマホメディアを見ていると「タワマンを無理して買った夫婦の末路」みたいな記事が毎日のように目に飛び込んできませんか?何故でしょうか。

Xを見ていると、タワマンの話題になった瞬間に「地震で折れそう」「人が住むところじゃない」「住民の質が悪い」「エレベーター長くて可哀想」「バカと煙は高いところに登る」みたいに、買ったことない人から聞かれてもいないのに大量のアンチコメントが付きますよね?何故でしょうか。

反論は多そうですが勝手に結論付けると、これはタワマンが日本における羨望対象のアイコンとして確固たる地位を確立した証拠です。つまりブランド品になったわけです。否が応でも周辺に存在を見せつけ、高いところから見下ろす住人と見下ろされる人という対立構図や、毎月どんどん吊り上がる価格とどう転んでも買えない人という対立構図。タワマンというのは強烈に格差を感じさせる建造物なのです。

メディアはそこに目を付け、タワマン住人が転落するストーリーをでっち上げてPVを稼ぎに来ます。こう言った特権階級が転落するストーリーはいつの時代も大衆に受けがいいことをメディアは知っています。(ちなみにタワマン住人の持つ数千万円単位のキャピタルゲインについては不都合な真実なので記事で触れられることは絶対にありません)

Xでタワマンの話題が出るたびに我先にと攻撃的な声明発表をする人が多く現れますが、戸建てを攻撃する人を見たことありますか?例えば、地震で真っ先に倒壊や津波被害を受けるのは戸建てですが、Xで戸建ての話題になったときにそれを攻撃する人はいません。一方、地震で倒壊したタワマンは1つもなく、免震構造のタワマンは免振ダンパーが揺れを吸収する構造になっています(絶対安全とは言ってません)が、タワマンの話題になると地震の危険性を指摘する人が大量発生します。何故こんな逆転現象が起きるかと言えば、戸建ては庶民の住まいの代表格であり、これを攻撃することは多くの人にとって自己否定になるためです。タワマンは庶民では手の届かない存在になったので、多くの人にとって格好の攻撃の的になります。

以上、長くなりましたが、始祖のタワマン「与野ハウス」の誕生から47年、タワマンは日本における羨望の対象としての地位を確立したということです。そしてこの庶民からの羨望が価格上昇を盤石なものにします。人間は羨まれたいという本能があり、ハイブランド品が異様な高価格で売れるのも投機性の部分以外は羨まれたい本能で説明出来ます。タワマン自体が羨望のアイコンとなった現在、そこに住むことが羨まれたい本能を刺激するため、周辺の相場とはかけ離れたブランド品のような値動きをします。似たような立地、築年なのにタワマンか非タワマンかで大きな差が出ているのは、②のランドマーク性と本項のブランド性が大きいのではと推測しています。

与野ハウス(1976年築・21階建て) / 全ての物語はここから始まりました。日本に数百棟あるとされるタワマンの始祖。タワマンの概念がなかった日本でこの企画をした方々には敬意を表します。

投資家による相場形成

中古マンションの価格相場はどのように決まるのでしょうか。
基本的には、同じマンション内の別の部屋が過去の中古市場にていくらで成約したかをベースに判断されます。小規模なマンションを売りに出す場合、過去に一度も中古市場で売買されたことがなく、値付けに悩むということも多くあります。一方、タワマンは2つの理由で次々と高値の価格相場が形成されやすい傾向にあります。

①圧倒的な戸数
前述の通り、タワマンは1棟で1000戸を超えるものも珍しくなく、それだけの戸数があれば中古市場には常に何らかの部屋が売り出されている状態になります。毎月のように売り出しと成約が繰り返される中で、最新のインフレ状況を織り込んだフレッシュな価格相場が常に形成され続けます。

②多数の投資家の保有
重要なポイントです。一説によると、タワマンは戸数の半分程度を外部の投資家が保有(≒その物件には住んでおらず人に貸している)と言われます。データはないですが、複数のタワマンの管理組合から聞きました。投資家は利益を最大化するのが目的なので、保有している部屋を出来るだけ高く売ろうと努力します。タワマンをスーモで調べると分かりますが、ほとんどの物件において「その価格で売るのは難しいだろ…」というチャレンジ価格(スケベ価格とも言います)が散見されます。当然中々売れないのですが、多くのチャレンジ物件が長期間売り出されていると、ひょんなことから売れたりします(外国人や日本の富裕層のキャッシュ買いなど)。そうすると、それが成約実績になり、次の中古販売の価格算定の参考になります。勿論チャレンジ物件が1つ売れただけで相場が一気に跳ねることはありませんが、①の通り常に売出しが続くので、過去の成約価格を見た居住者や投資家の高値の売出しがじわじわと増え、成約を繰り返すことで押しも押されぬ公認の相場が出来上がります。

上記①②の通り、1つの棟内で多数の住戸を抱えるタワマンにおいては、多数の投資家がチャレンジ価格での販売を狙うことでぐんぐんと高値の相場が形成されていきます。

ザ・パークハウス中之島タワー(2017年築) / 大阪最大のタワマンで再開発地域のランドマーク。一説によると半分くらい外部の投資家が保有しており、1人で10部屋以上持ってる人もいるらしい(噂)。売りも買いも投資家の取引が活発なので、新築時坪200万前半→2023年坪450万円に。

資本投下・再開発の恩恵

タワーマンションは駅近の希少な立地に立つことが多いと申し上げましたが、希少な立地の周辺にはデベロッパーの追加投資(再開発)が行われやすい傾向にあります。

代表的なものは大規模商業施設やオフィスの開業、公園の整備などです。駅近の希少な立地で開業すれば集客を見込むことが出来て商売繁盛ですし、街の魅力を高めたい行政からの積極的な後押しも期待できます。更に、こうして人気の上昇が期待されるエリアでは交通アクセスが進化することもあります。新しいバス路線の開業は勿論、大きいものでは新しい路線の開通・延伸や、駅舎自体の作り変えなども行われます。2024年現在、東京では中野駅周辺や高輪ゲートウェイ周辺の大型再開発、第二六本木ヒルズの建設や、豊洲駅からの有楽町線延伸、白金高輪駅の南北線延伸など。大阪では梅田駅周辺の大型再開発や新路線の開通(なにわ筋線)などが代表的でしょうか。こうして作り変えられたエリアは爆発的に利便性が向上し、その周辺でランドマーク的な存在であるタワマンは恩恵を全身で浴びて更に価値が高騰します。

少し細かい話になりますが、駅近の再開発では商業施設と一緒に住居(タワマン)もセットで作られることも多いです。例えば中野では駅周辺の大規模再開発に合わせて野村、三井、住友の3件のタワマンが計画されています。新しく開業する便利な施設に至近のタワマンを作るわけですから、デベロッパーは自信作として出来るだけ高い価格で販売を行い、それを全力でマーケティングしてその地域の新たな価格相場を形成します。デベロッパーが多額の投資をして作り上げた新しい価格相場の恩恵を、周辺の既存のランドマークタワマンはフリーライドで得ることになり、何もしていないのに価格が2割3割と吊り上がるという現象もあります。

このように、希少な立地に立つランドマークタワマンは、その後にデベロッパーが行う多額の開発投資やマーケティングによって爆発的に価格を引き上げてもらえるチャンスが圧倒的に多いわけです。

駅周辺を丸ごと作り変える中野駅再開発(アットホームより引用) / これほどの資本投下がされると周辺の相場は大幅に上がります。既に既存のタワマンは大きく値上がりしていますが、再開発はまだ始まったばかり。再開発は完成後に最も効果を発揮すると言われており、完成した暁には今では考えられない相場になっているかもしれません。

とにかく話題になる

ふわっとした話なので最後に書きます笑
良くも悪くもとにかくタワマンは大きな話題になります、間違いありません。Xでマンションの情報を追っていても、新築タワマンのHP発表された際の盛り上がりは他の通常のマンションとは比べ物にならず、3日以上その話題ばかりになったりします。タワマンに限らずあらゆるタイプのマンションをカバーするマンション界の神、マンションマニア様も2024年注目のマンションを以下と挙げています。

2023年12月2日のスムログ記事より

いや、全部タワマンじゃん笑、と思いました。
こんな感じでとにかく圧倒的な注目度を誇ります。勿論、ポジティブな注目だけでなくアンチも大量発生する傾向にあり、掲示板では大荒れになります。でも好きの反対は無関心と言われる通り、アンチが大量にいるのはファンが大量にいる証拠。実際、マンションコミュニティの掲示板で荒れる物件ほど中古で値上がることは界隈ではよく知られており、Xでアンチ派が声明発表しているのを見るたびにタワマンの資産価値は安泰だなと安心します。ファンもアンチも、多くの人が愛憎こもった眼差しで見ており、皆タワマンを愛しているのです。

これだけ圧倒的な注目を集める存在を高値で売るのが難しいわけはありません。逆に全然話題にならない、注目度の低いひっそりとした物件を高値で売る難しさを想像すれば、タワマンが高く売れることがよく分かるのではないでしょうか。

終わりに

いかがでしょうか。整理してみるとタワマンの値上がりの裏には雰囲気ではなく明確なロジックがあることが分かります。細かい話をすれば相続対策になるとか、中国人の見栄の文化とタワマンの相性が良いので買いが集まるとか他にも色々あるのですが、一過性のものでもあり、恒常的に値上がりに影響する共通要因は今回挙げたものではないかと考えています。

2023年にはマンション(特にタワマン)の相場は大きく伸びたものの、戸建ての価格は既に下落傾向にあるそうです。私見ですが、その理由は戸建ては今回の7つの要素をほとんど満たせないからと考えています。まとまった土地を1人で買う必要があるので駅近の希少立地に買うのは難易度が高いですし、再開発地域には尚更買えず、規模的にランドマークには100%なり得ません。無数にある戸建ての中で他にはない差別化要素を出すのは難しく、戸建てというだけで羨まれることもなく、基本話題にもなりません。当然、投資家の売買も低調です。①で2極化の話をしましたがこんなところにも表れていますね。

将来が見通せない昨今の日本で、資産性(価格維持力)を重視した住居選びでレジリエンスを高めたいという方は増えていると思いますが、その場合は戸建てや通常のマンションよりもタワマンを優先候補に入れることを推奨します。ただし、注意してほしいのはタワマンなら何でもいいというわけではなく、価値がぐんぐん上がるタワマンと、そうでもないボチボチのタワマンという格差が存在することです(←これも2極化。不動産の2極化は無限の入れ子構造になっており、あらゆる場面で観測されます)。この見極め方や、有効な買い方などは需要があればまた書いてみたいと思います。

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