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令和の虎『分譲マンション再建』の回について

 この回は非常に専門的です。
 不動産に関する知識、分譲マンションに関する知識がなければ、理解するのは難しいでしょう。

 なので、極力簡潔に解説したいと思います。

 まず、分譲マンションの建替えには、区部所有者の5分の4以上の賛成が必要であり、非常に合意形成が難しいと言われています。

 その証拠に、全国のマンション約700万戸(棟数は不明)のうち、建替えが実現したのは、これまでわずか300例程度です。

 しかも、そのほとんどが首都圏であり、元々容積率に余裕があり、階数・戸数を増やして分譲することによって利益を得、区分所有者たちは持ち出しの資金を出さずに新しいマンションに住むことができたというバラ色の成功例が多いのです。

 志願者の陣内さんは、いわゆる「地上げ」で、マンションとその隣地をまとめて購入し、金融機関から融資を受けて、新たに新築マンションを新築し、分譲することで、利益を得ようとしています。

 問題点は3つ。
 ①地上げがうまくいくか?
 ドラゴン細井さんと岩井社長が、プレゼンの質に不満を表しています。想定される地上げの相手(マンション区分所有者、隣地所有者)は恐らく高齢者かつ不動産の素人であるため、難しい話は厳禁です。「話に乗ることで、素晴らしいメリットを享受できる」この1点に絞ってプレゼンすべきでした。

 ②独自性は何か?自身の強みは何か?
 事業としては、普通のデベロッパーと変わりありません。だから、「一等地であっても、この人になら売却を任せたい」と思わせる魅力が必要です。今回はそのアピールが伝わっていなかったと思います。

 ③燃えたぎる熱い想いが欲しかった
 令和の虎を観ていると、必ずしも最高のプレゼンができていなくても、お金を積む虎さんがいることに気が付きます。今回、陣内さんは「被災マンションの二重ローンで苦しむ想いをする人から相談を受け、思い立った。」と言っています。しかし、残念ながら、「あの人たちのために絶対になんとかするんだ!」という気迫が感じられません。緊張していたとは思いますが、『熱い想い』だけは伝えなければなりませんでした。

それでも、計600万円が積まれました。
「夢をかなえるもう」をあれだけ熱く語った臼井さんが80万円だったのに。この差は何か。

 私は背負うものの大きさだと思います。

 確かに、臼井さんの方が熱意が伝わった。プレゼンも面白かった。しかし、臼井さんが仮にNothing だとしても、彼はめげない。何度でも挑戦し続けるだろう。むしろNothing の方がHappy かもしれない(by トモハッピーさん)。

 対して、陣内さんはあとがないです。経営は赤字である。従業員も抱えている。表情も明るくはない。そのような中、今回のプレゼンでは、事業が上手くいくという印象を虎さんたちに与えられなかったわけです。
 
 それでも、ドラゴン細井さんは100万円、トモハッピーさんは500万円積みました。こちらの2人は臼井さんに対しては、なんとドラゴン細井さんは20万円、トモハッピーさんは10万円しか積んでいません。プレゼンはどうあれ、虎さんたちの心にどれだけ突き刺さるかというところがポイントなのでしょう。

 かくして、結果は残念ながらNothing となりましたが、岩井社長が事業再生版Tiger funding 行きとしたため、陣内さんには、マンション区分所有者のため、自社の従業員のため頑張って欲しいと思います。

160万回再生【令和の虎】189番目の志願者
https://youtu.be/ORTD3epf1MY?si=ZD6Nqf3NEJ_nw2qQ

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