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大阪府と福岡県の宣言解除申請の独自規準は緩くはないか?

先日、政府は、1月8日に発出した緊急事態宣言の最初の解除期限2月7日を前に、宣言を3月7日まで継続延長する方針を表明した。

しかし解除条件は明確にされなかったため、2月1日大阪府は独自の解除規準を公表し、それが満たされれば国に対して解除申請の手続きを行うという。大阪府独自の解除規準は以下の通りである。

● 直近1週間の新規陽性者数が1日平均で300人以下の日が7日間続いた場合
● 重症者用の病床の使用率が60%未満の日が7日間続いた場合

これに追随するかのように2月2日、福岡県も同様な独自の宣言解除規準を定めた。

● 1日の新規感染者数が直近7日間の平均で180人未満の日が1週間続くこと。
● 最大確保病床(760床)の使用率50%未満を見込めること。

大阪府と福岡県の独自解除規準は互いによく似ている。ここでは、最初の新規感染者数についての規準、7日移動平均で大阪府では300人以下、福岡県では180人未満の日が1週間続くこと、について検討してみることにする。

下の上段の図は最近の大阪府と福岡県の実効再生産数Reの推移である。1月8日緊急事態宣言発出後の両者の傾向は互いによく似ている。1月12日あるいは13日にRe = 1.41~1.43で最大値を取ったのち、実効再生産数は減少を続け、大阪府では1月20日、福岡県では1月23日、Reは1以下となった。さらに、2月3日現在、大阪府でRe = 0.75、福岡県でRe = 0.72まで減少している。

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2月3日時点の新規感染者数の7日移動平均を初期値として与え、それ以降の新規感染者数の減少をSIRに基づいて計算した。ただし、大阪府についてはRe = 0.75、福岡県についてはRe = 0.72が今後も一定で維持されると仮定している。もう少しRe値は低下すると期待されるが、今回の計算の意図には影響しない。

計算結果を、大阪府については上の中段の図に、福岡県については下段の図に示す。

大阪府は、2月2日にすでに新規感染者数の7日移動平均は300人を下回っており、2月8日には212名となって規準を満たす。

福岡県についても1月30日にすでに173人と180人の規準以下となっており、1週間後の2月6日には106人となって、同様に基準を満たす。

したがって、両府県ともに近日中には新規感染者数に関する独自規準を満足するが、本当にこれで大丈夫なのであろうか?

解除申請が国に認められるかどうかは不明であるが、仮に認められれば、大阪府は200人、福岡県は100人程度の新規感染者がまだ報告されている段階で解除することになる。

東京都なら、もうじき500人程度まで減少すると予想される時期である。

率直に言って、もう少し新規感染者数が減少するのを待って宣言解除の申請をするべきではないだろうか。100人〜200人で解除して直後にRe が 1を越えれば、瞬く間に感染者数が再増加して、これまでの苦労が水疱に帰すとなりはしないだろうか。


歳をとると常に不安の方が先立つのであります。

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