流行りのSaaSをちゃんと学ぶ(解約率編)

前回は売上指標についてざっと見て次はコストか、と思ったのですが、大事なやつが残ってましたね。

解約率。世の中でチャーンレートと言われている指標です。メーカー勤めが長かったこともあり馴染みが薄く、ちゃーんという響きが可愛いなという程度の印象だったのですが、すごく大事な指標です。

獲得したお客さんが長く使い続けてくれるのはもちろん売上的にもありがたいのですがそれだけではありません。このチャーンレートによって新規顧客獲得にかけられるコストが大きく変わってきます。

なぜかも含め、これから整理していきます。

解約率で顧客の寿命がわかる

解約率が低い方がいいというのは感覚的にはわかるものの、この数値はどう使えばいいのでしょうか。

解約率は顧客がどれくらいの期間プロダクトを使ってくれるのかがわかる指標なので、まずは解約率を使ってLT(Life Time、寿命)を計算してみましょう。

LT = 1 ÷ 解約率

これでLTがわかります。1年での解約率が10%だとすると、LTは10年となります。導入してくれたお客さんが平均で10年使ってくれるプロダクトはきっと良いものなんでしょうね。

解約率が分かると意外と簡単に顧客の寿命が数値化できます。解約率が10%だと寿命は10年、少し使い方が見えてきませんか?

顧客単価も使って顧客生涯価値を出す

寿命だけではなく、この顧客が生涯でどれくらい利用料をお支払いいただけるかも気になりますね。

そこで登場するのがLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)です。さっきの指標にVが追加されただけです。早速計算しましょう。

LTV = ARPU(顧客単価) × LT

これもすごく簡単な計算式です。顧客単価に寿命をかかるだけ。年間顧客単価が10万円で寿命が10年なら、一顧客あたり100万円を支払っていただけるわけです。

LTVがわかって何になる!?

解約率を使ってLTを、さらにARPUを使ってLTVを出しました。何がしたいんだ!?と一瞬思う人がきっといるはず。私はそう思いました。

これは、指標の勉強をしていると良くぶち当たる疑問です。でもこれは仕方ないです。学ぶ手順が逆なので。

新たなビジネスを生み出すフロンティアの方々は指標ありきではなく、先立つのは課題です。LTVの話で言うと、LTVをどう使おうかではないのです。

顧客をたくさん獲得したいけど、年10万円利用料を払ってくれる顧客に、顧客獲得コストはどれくらいかけていいのだろう?

この課題の先にあったのがLTVだったというわけです。つまり、LTVは顧客獲得コストを決めるための指標ということです。

まとめ

解約率10%と言われてもピンとこないですが、少し加工するだけで経営に当たって非常に有益な指標に変わることがわかりました。

決算説明会資料などには解約率だけをぽこっと書いてる会社がほとんどです。
こういう計算は勝手にしてね、計算のベースで最も重要な解約率は書いておくから、ということなのでしょう。

これからは、ここで学んだ指標に変換して、解約率が示すものを理解しましょう!次回はついにコストに関する指標を学んでいきます。




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