雨水(うすい)のころ
北の息吹が踏みしめて
固く冷たく凍らせた
大地の中の時の匣(はこ)
ぐぉん、ぐぉんと鳴り響く
激しい叫びに身が震う
あたり一面土くれを
鋭い刃(やいば)がかき混ぜて
柔かい刷毛が撫でつける
叫びは遥か彼方まで
奏でるように響きあう
目覚めの時の到来に
妖精たちは驚いて
おはようの声も早々に
総出で開ける時の匣
まだ覚めやらぬ彼女らの
ため息、吐息、大あくび
七色シャボンの粟玉になって
お日様笑ってる
青空目指して上っていく
わたしは辻の真ん中で
ぎゅっとしっかり目を瞑り
ゆっくり深く息を吸う
周りの虹の粟玉の
豊かな香りが満ち満ちて
ドクンと鼓動が高く鳴る
ああ、おめでとう
今しがた
春の赤ちゃん生まれたよ
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