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2020年2月 豪州来訪覚え書き(前編)

思い返すと(コロナ的な意味で)本当の本当に色々とギリギリだった気がする2月のオーストラリア来訪……にまつわる覚え書きです。1週間の様子を前後編の2回に分けて。(追記:やっぱり3回に分けてお送りすることにしました)

【経緯】

2019年9月にBreezesquadとして出演したSquare Sounds Tokyo(世界最大級のチップチューン/ロービット音楽のフェスティバル)が終わり、若干気が抜けかけていたタイミングで舞い込んだのが、もうひとつのイベント拠点であるオーストラリア・メルボルンでのフェスティバルへのまさかの出演オファー。そこで以前(2017年8月)の南米ツアーのことを思い出しつつ(その時の大変さに比べたらもう何も怖くないでしょ…同じ南半球だし…しかも日本だとちょうど2月の3連休の時期だから有給を駆使すれば何とか行けるのでは…)と早合点して参加することに。何より「秋冬に買ったTシャツを、日本の夏を待たずして着用し街を歩くことができる」という事実が嬉しすぎて、着替えのTシャツ選びは特に入念に吟味しました(のちにもっと大事な物を忘れていたことに気付く)。
徐々にコロナウイルス関連の不穏なニュースが増えてきた年明けあたりから若干「行けんのか……?」という空気で心配されつつも、感染したらネットで総叩きに遭うぞ……みたいなよく分からない覚悟のようなものも何となく持って臨んだ次第です。

【0日目】 2/18(火)

行きの飛行機を夜20時台の便で予約していたので、普通に定時まで仕事をしたのちエクストリーム退勤で(職場の人たちに見送られながら)空港へダッシュ。そしてチャイナエアラインで福岡空港からその日のうちに台北でトランジット。既に台湾でもコロナウイルスの波が来ていたため、出発便待ちの人々の9割がマスクを着用していたり、通常の出入国カードとは別にコロナウイルスに関する質問用紙が配られたりと、日本にいる時以上の緊張感のなか怯えながら豪州へ出国。機内では豚インフルエンザの注意喚起映像も流れてきて戦々恐々。さらに機内でうっかり映画「ジョーカー」を観てしまい感情が揺さぶられ、しまいには機内食が約12時間のあいだに3食も出てきて腹パンパン状態の中、屠殺場へ運ばれる家畜の気持ちでろくに眠れず朝を迎えました。

【1日目】 2/19(水)

現地時間でお昼の13時頃にメルボルン到着。空気も陽射しも暖かい…風が吹くと涼しい…誰もマスクなんてしてない……時差も少ないし英語も通じるしで最強……と、真冬の日本と正反対の世界線で一気に安心してしまい、機内でのテンションも即帳消し。初めて来た国にもかかわらず緊張感ゼロの状態で街へ突入しホテルにチェックイン。

本当だったらこの日の夜はアメリカのバンド・Yeasayerのライブをメルボルンで観るつもりで行きの飛行機の時間も設定してたんですが、公演のチケットを買おうとした矢先の12月に突如解散が発表され、豪州ツアーもあっけなくキャンセル。という事で午後はゆっくり街ブラの時間に充てることと相成りました。

記念すべき豪州最初のお買い物。レコ屋で現地出身のミュージシャンのLPをジャケ買いで見事引き当てて幸先良くスタート。

散策中に偶然見つけた旧メルボルン監獄、タイミング良く留置所体験ツアーの時間だったのでそのまま参加。北海道の網走監獄とかも行った事ないけどこんな感じなのかな……とも思ったけど、きっとここまでサグい(褒め言葉)感じではないだろうな……。
このあたりで日が落ち始め、雨も降りそうになって来たのでホテルに退避。そのまま爆睡(長時間のフライト疲れ)。夜目が覚めたらどこのお店も空いておらず、泣く泣く近所のセブンイレブンで買ったジャンクフードを貪り、深夜のテレビを延々と垂れ流しつつ、今回の旅のメインであるライブの音源を編集するなどして未明に再び就寝。

【2日目】 2/20(木)

ここからは超強力な助っ人である豪州在住の日本人の友人D氏と合流し、怒涛の美術館ハシゴ3連発。

ルーヤンとは遡ること2011年、大学時代に博物館実習で出入りしていた福岡アジア美術館で知り合って以来、2014年と合わせて2度ほど作品制作のお手伝いをさせていただく機会がありました。当時から本当にどの作品もぶっ飛んでて凄かったけど、そこからの躍進もまた更にヤバくて今やもう雲の上の存在です。

とにかくデカいNGV。前年に森美術館で開催されていたバスキア展の出展作品と再び出会ったりもしたな。この時はキースへリング×バスキア以外にKAWSの展覧会も同時開催中という豪華最強二本立てフルコースでもうお腹いっぱい。そしてこの辺りから徐々に「メルボルン……住みたい……」と心の中で何かが芽生え始めます。

海外に来たからには土着の文化にもきちんと触れておかねばということで、The Ian Potter Centreでアボリジナルアートから入植以降〜現代にかけての美術・工芸の歴史変遷を一気に勉強。もうここだけで1日中過ごせるレベルのボリュームでした。事前に書籍「物語 オーストラリアの歴史」(中公新書) を読んでおおよその近代史に関する知識を頭に入れた上で鑑賞できたのも良かったな。

そしてこの日はSquare Sounds Melbourneの前夜祭。日本からはウラボロシさんがオープンマイクに出演するなど大盛り上がりの様子をTwitterで眺めていましたが、観光に終始するあまり行くことが叶いませんでした。フェス本祭の様子は中編にて。

【3日目】 2/21(金)

ここで機材の電圧問題という重大な忘れ物に今更ながら気付きます。そして思い出される南米ツアーでのトラウマ(持って来ていた変圧器が合わずKAOSSPADがショートして狼狽しまくった事件)……
ということで、朝から家電量販店やらホームセンターやらを転々とし、なんとかダウントランスの変圧器をゲット。ややデカめの出費(物理的にもデカいし重い)でしたが、機材が問題なく動くことを確認できて一安心。数珠つなぎのようにお店の人に尋ねては「ここには無いけど〇〇にはあるかも」と言われ、サジェストされた別の店へと赴いて…を何度か繰り返しながら公共交通機関を駆使しつつの移動だったので、流石にこの状況は一人だったら(精神的にも)絶対に乗り切れなかったかもしれない……D氏にマジ感謝です……。

朝イチで寄った郊外のホームセンターBunningsは、地元福岡で言う所のハンズマンのような規模感と品揃えでテンション爆上がり。一瞬だけ目的を忘れかけるもここでは変圧器は見つからず、代わりにライブ中に使えそうな小道具を見つけて購入したので結果的に行って大正解でした。それと後でSquare Sounds地元出演者の方から聞いた話だと、店先で焼いてるソーセージをトーストで挟んだsnagと呼ばれるものがどうやら有名らしく、食べ損ねたことをちょっと後悔してるのでいつかまた来訪する機会があったら必ずリベンジしたい所存です。

ということで夜はいよいよ本祭1日目。

中編へ続く

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