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食品工場経理担当の備忘録        エピソード 4 不死身か!?

今回のエピソードは、クレームのお話です。

食品業界に長く居ますと、色々なクレームを経験しますが、これは、その中でもトップクラスの「ナンダカナァ~・・・???」というクレームについてのお話です。

クレームには様々な種類が存在しますが、その中でも圧倒的に多いのが製品内の「異物混入」で、その中の二大巨頭が「昆虫」と「毛髪」です。

この二つは、食品業界では混入発生率0%は達成不可能と言われるほど、幾ら対策を施しても発生した、本当に厄介なクレームでした。

これは他県で発生した、二大巨頭の一つ「昆虫」の混入クレームに関わるお話しです。

それは、ある問屋さんの弊社担当営業マンからの連絡で、「あるユーザーさんから、御社製品を使用して製造した商品を買ったお客様から、食べる際に商品の中から昆虫が出て来たので、原因を調べて対策を立てた上で、至急お詫びと報告書を提出して欲しい、と依頼を受けたので対象異物を送ります。」という連絡を受けたのが始まりでした。

通常であれば、その商品を製造したユーザーさんが対応するのですが、担当営業マンの話によると、そのユーザーさん曰く、「私の店では絶対に入らないから、中身を製造した会社の責任だ。」と取り合ってくれないので何とかして欲しいとの事、とんだとばっちりでしたが、翌日手元に届いた荷物の中を見て、皆、顔を見合わせ、絶句してしまいました。

何故ならば、なっ!何と!送られてきたのは生きた「芋虫」だったのです。

しかも、元気に箱の中で糸を吐き、マユを作ろうとしていましたから、尚更です。

こっ、こいつは、・・・不死身か!?・・・それとも!?

弊社が納品したのは、製造の段階で蒸気釜で調理後に充填パック詰めされ、レトルト装置で二次殺菌を行ってから出荷していましたから、二度に渡る高温加熱を経ており、昆虫が製品内に生存できる可能性は、ほとんど皆無な状況と言っても過言ではありませんでした。

納品先のユーザーさんも、商品製造過程で加熱工程は入りますので、製造中の混入より、完成後に付着した可能性の方が高い事は明らかでしたから、早速、弊社担当から先方の営業担当者へ連絡を入れて説明したところ、「とにかく、どんな形でも良いから、何としても報告書を提出して貰わないと困るので、何とかして欲しい。」の一点張りで話が進みませんでした。

仕方なく、報告書作成に取り掛かりましたが、落し処が見つからず困り果てたのを今でも覚えています。

最終的に、簡単な行程図を作成し、製品は二度の加熱処理を経て出荷される旨を説明し、「生きたまま昆虫が混入する可能性は限りなくゼロに近いと考えられますが、尚一層の努力をして製品を製造致します。」という、挨拶文の様な報告書を提出して決着しましたが、何故、弊社が報告書を提出しなければならなかったのか、最も理解に苦しんだ案件でした。

それにしても、この件は別にして、異物混入のクレームに対して一度行ってみたかったセリフですねぇ、「我が社では、絶対に入りません!」

無理だなぁ~・・・言えなかったなぁ~・・・。

ついでに、ホンネを言えば、この様なクレームは経験したく無かったですねぇ。


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