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食品工場経理担当の備忘録        エピソード 6 営業以外の業績アップ

今回の話は、会社の業績アップに貢献できるの営業担当者だけでなく、全ての部署や現場の担当者からでも可能で、ちょっとした思い付きや工夫によって削減した費用額が会社の利益面に貢献し、売上と異なり利益としてみた場合に削減した費用額は100%利益額アップに繋がるという、現場工夫型業績アップのお話です。

販売・仕入・会計のシステムが全て稼働し始めてから3年程経ち、色々な角度から数字を年度対比で比較し始めた頃、ふと、製品発送費に目が留まりました。当時は7~8社の運送会社に対して出荷を依頼しており、年間に支払う運賃はかなりの額になっており、景気はまだ好景気であったため増加する傾向にあり、減る気配はどこにも見えませんでした。

運送業界の事情は今とは全く異なり、運送業者同士は荷物獲得競争を繰り広げ、荷主側の要望はほぼ通り、更にプラスαで、提示される新たな条件を獲得しやすい環境にあった為、改善の余地ありと考えました。そこで、仕入システムから各運送会社の出荷データを会社別に取り出し、出荷先が同じ地域ごとに並べ替え、重量と運賃を運送会社別に比較してみる事を思い付き、早速試してみると地域によっては大きな差が生じており、其々の運送会社によって得意、不得意の地域がある事が判りました。

運賃データは入力の際まとめて打ち込まず、この様な利用法を考えて1件ずつ出荷データを打ち込み、出荷先を備考に記載していたのが功を奏し、このデータ比較が可能になった訳で、改めて詳細入力する方法を選択した事を幸運に思えた瞬間でもありました。

ここで、データ入力情報について簡単に説明しますと、下記の通りで、当初は1件で処理していましたが、後に更なる詳細を求め、実数記載に改良を加えました。
 ① 日付   出荷日付
 ② データ名 対象部門運賃
 ③ 数量   この当時は1件で後にkg・個に変更
 ④ 単価   1件 = 合計運賃  kg・個 = 運賃 ÷ 出荷数
 ⑤ 金額   出荷運賃(自動計算)
 ⑥ 備考   出荷地域&出荷先名  
この様に入力していたおかげで、抽出データを運賃種類で並べ替え、備考を抽出する事で、地域ごとの近似値数量の比較が可能になり、同一地域の出荷する際の最安値運賃を見つける事ができました。

この時代は、今のように価格などを比較目的で、検索できるサイトなど存在しませんでしたから、入力データを運送会社ごとに月毎に抽出して比較したので時間は掛りましたが、目的は達成できたので改めて詳細入力を選択して良かった、と感じたのを覚えています。

そこで、このデータを基に出荷地域ごとに安値の業者をランク付けして、ランクの高い業者に優先的の割振ると、徐々に効果が出始めました。又、重量基準運賃業者と個数基準運賃業者の合計運賃を、少量発送先について地域ごとに比較して、個数対応業者運賃が下回る個数を見つけて範囲内の出荷先をシフトする事で、更なる運賃削減をするに至ったという訳です。

書いた通り、運送業界は当時熾烈な荷物獲得競争をしていましたから、この効果は抜群で、今まで出荷していた荷物を取り返そうと、更に有利な条件を提示しながら他の業者の情報や荷物を手に入れる為、各社の担当者が頻繁に商談のアポイントを取ってくるようになりました。

この様な流れが出来上がると、物事は順調に進み、商談の度に運賃は少しづつ下がり始め、運賃削減は私の想像以上の結果をもたらす事になりました、始めてから1年余りたった頃には、年間費用を100万円以上削減する事に成功したのでした。

けれど、このお話は好景気だった頃の古い話で、現在とは環境が全く異なっていますから当てはめる事は不可能ですし、仮にこの様な事を行えば、荷物の出荷が出来ない状況に追い込まれる可能性すらありますので、参考にはならないと考えるのが自然でしょう。

 しかしながら、営業担当者のように売上面の貢献は出来なくても、他の部署担当であっても考え方や工夫によっては費用削減という、利益面の貢献は今でも可能だと私は考えます。利益面という部分をピックアップすれば、売り上げに関しては利益率に左右されますが、費用削減は書いた通り100%の貢献度を持ちます。

ですから仮に最終利益5%の会社であれば、年間10万円の削減であっても売上換算は年間200万円相当ですから、ぜひトライしてみる価値はあると、私は今でも考えています。

最後まで、読んで頂き、ありがとうございました。

このエピソードの投稿で、「基本編」は最後とし、自分自身の充電と次の章「実践運用編」に向けた更なる考証を加える為、「備忘録」の投稿を暫くの間お休みさせて頂きたいと考えております、日記的な報告は時々行うつもりですので、今後ともお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。










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