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食品工場経理担当の備忘録                  エピソード 2 売上急増が招いた落し穴・高速道路で命拾い

今回のエピソードは、配送兼任だった頃に経験した、配送中の車輛トラブルに関するお話で、原価管理を考え始めた時期、時代はバブル後期、世の中はそれなりに活気があり、物流もまだ活発だった頃の経験です。

ある年、年の瀬も迫った12月27日、路線便を使用したのでは納品時間に間に合わない製品を自社便で直接配送する事になり、指定時間が早く、場所も県外だった事も有り、AM3:00頃会社を出発して高速道路を順調に走行していた時、突然、ビビビッという異音が聞こえ始め、何事かと思っている内に、次第に音は大きくなって行きました。

次にものすごい振動がハンドルを通して伝わって来たので、「これはマズイ!」と感じ、走行速度を落とし、車輛を路肩に寄せ始めた時、突然、ドン!という轟音と同時にバックミラーには黒煙と火花が見え、車輛はそのまま路肩にストップしてしまいました。

運転席は走行車線側で危険ですから、助手席のドアから外に出ようと開けたところ、焦げ臭い匂いが鼻を突き、運転席の下からは黒っぽい煙が立ち上っていました。

当然、車輛は動かず、近くの緊急連絡電話で道路管理事務所に連絡、状況説明と車輛のレッカー移動などを要請し、到着を待っている間中ずっと、衝突事故が起きないかと気が気ではありませんでした。

高速道路から移動後、あちこちに連絡を取り、事情を説明して待ち合せたベンダーさんに降りたインターまで来て貰い、荷物を積み替え、何とか目的を果たす事が出来ました、当時は携帯など普及していませんでしたから、その手間たるや現在の比では無く、手配には相当な時間を要したのは、言うまでもありません。

帰社後、ディーラーの検査でガスケットが吹き飛び、エンジン上部に穴が空いていた事が判明、と、いう事は・・・えぇ~~!?ディーゼル車だったから無事だったけど、もしかしてガソリン車だったら、燃料に引火して、今頃は・・・、一瞬、背中が寒くなりました。

当時は、コンプライアンスなんて言葉は、聞いた事の無い時代でしたから、車輛の過積載は当たり前、この車輛も走るたび過積載で、常にエンジンに過負荷が掛かっていたのも原因の一つで、当然、この日も過積載でした。

年が明け、オトソ気分も抜けた頃、車輛の修理代と、あの日の納品金額を見比べて、「利益なんて出るわけないなぁ、何の為の納品だったのだろうう?」と、考えたのを今でも思い出します。

製造キャパオーバーの受注を抱えて、生産現場以外でも無理なやり繰りをしていた結果が引き起こした思わぬ出費で、配送形態にも目を向けなければならないと考えた、そんな笑えない冗談の様な、売上急増が招いた、一つの、”落し穴エピソード”でした。

まさに、無理は禁物ですし、それ以上にコンプライアンスは大事、守ってさえいれば、こんな目に合わずに済んだはず・・・なのですから。




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