誤嚥性肺炎とは
誤嚥とは
高齢者にとって誤嚥は、身近な危険と言えます。
そして誤嚥性肺炎は、80歳以上の人の死因1位になります。
この誤嚥性肺炎は、とても身近なところでありどうして誤嚥が起こるのか、その原因と症状を学んでいきたいと思います。
誤嚥は高齢者でも、幼児でも、起こりうることです。
誤嚥というのは、口にしたものが、間違って気管に入ってしまうことです。
そしてここには、唾液も含みます。
誤嚥して食道ではなく気管に入ってしまった場合、むせて吐き出そうとする「反射機能」が働くのに、高齢になるとその機能が衰えていることで、気管に入り込んでも異物を出すことが出来なくなり、口の中の細菌も一緒に取り込んでしまうことで起こるのが肺炎になります。
症状
誤嚥性肺炎には典型的な症状というものがあります。
発熱
激しい咳
黄色い痰(たん)
呼吸苦
肺雑音
とあります。
しかしこれらは一見すると風邪なのではと思う症状なのですが、高齢者の場合はこの症状がある場合は、誤嚥性肺炎ではと考えてみる必要があります。
注意したい点
誤嚥性肺炎は、加齢からくるもの以外にもあります。
栄養不良
基礎疾患(脳卒中・糖尿病・高血圧など)
オーラルケア不足
喫煙
多剤服用
虫歯
経管栄養
となります。
隠れ低栄養
栄養不良=低栄養となります。
実は高齢者にはこうした「低栄養」状態になっていることが多々あります。
齢(よわい)を重ねることによって、食欲の低下、嚙む力の低下などから、食事を以前ほど摂ることが出来なくなり、体を動かすためのエネルギーや筋肉・肌などを構成するたんぱく質などの栄養を補うことが出来なくなっていることがあります。
そして厚労省が発表した令和元年度 国民健康・栄養調査結果の概要のところを見ると、65歳以上の低栄養の人が男性で17.2%女性で20.7%となっています。
つまりわたしたちが知らない間に低栄養となっているリスクがあるということになります。
要介護者の場合では、20~40%となり、入院中の高齢者では、さらに数値は上がり、30~50%の割合で低栄養状態になっている、とも言われています。
低栄養の症状
普段通りに食べているはずが、偏った食事をしていると体に色々な変化が起こってきます。
体重減少
骨・筋肉量や筋力の低下
元気がない
風邪などにかかりやすく、治りにくい
傷などが治りにくい
下半身やお腹周りがむくみやすい
と言う症状が出てきます。食事量が減って飲み物の量が減ると、脱水になることもあります。なので、食べられる物をしっかり食べること。
エネルギーを得ることは、上記のところを解消するのに有益であるし、活動面においても、大事なところに当たります。
もし食事面で気になることがある場合は、訪問看護を受けているのなら、担当看護師へ相談、病院へ行くことがあるのなら医師へ相談してみることをお勧めします。
脱水と低栄養が起こっている場合の症状としては食欲がない
口腔内乾燥
肌に弾力がない・乾燥 つばがべたべたしている
が起こっている場合の症状となります。
誤嚥を起こしやすい食事と誤嚥しない食事
食事中に咳き込むということは、食べ物が食道にではなく、気管へ入ってしまったため起こった「反射」ということになります。
むせにくい食べ物は誤嚥のリスクを下げることに繋がります。
水などの液体・・さらさらとしており、まとまりがないためトロミをつけることで飲み込みやすくなる
高野豆腐、雑炊などの水分を多く含むもの・・トロミをつけたり、ゼリー状やペースト状になることで飲み込みやすくなる
砂糖などの粉類・・粉なためどうしてものどに張り付きやすい。このため粉を払ったり、水分と共に飲むことで飲み込みやすくなる
ところてん、果物、酢の物・・酸味はのどを刺激しやすいため注意が必要。他の調味料と一緒に合わせたり、食材と合わせることで酸味を抑えるようにする
かまぼこ、ひき肉、野菜のみじん切り・・細かくなっているものは、まとまりにくいためトロミの利用やつなぎを使ってまとまるように工夫します
麺類・・すすることが出来ないなどの他に麺つゆが液体であることからむせることも。麺は食べやすい長さにカットし、つゆは別にトロミをつけておく
カステラ、パン、ゆで卵など・・ぱさぱさの食感でのどにひっかかりやすい。マヨネーズやドレッシングを使ったり、牛乳やスープと共に食べると食べやすい
予防の方法
予防の方法としては、食事の形態を変えることやトロミを使ってむせの予防をしたりすることの他に口の中のことも重要になってきます。
口の中の細菌が増えていたり、機能維持のためオーラルケアが大事になってきます。
歯磨きと舌磨きは口の中のケアとして大事なものになります。
口の中には元から細菌たちが住んでいますが、そこが清潔になっていないと肺炎やインフルエンザなどにかかりやすくなります。
また舌もきれいにしておくことで、舌を介して他の細菌の侵入を防ぐことが出来ます。
後は口腔体操と呼ばれているものです。
口腔体操とは、舌や口周りの筋肉を動かすことで口腔機能の低下からくる摂食嚥下障害の予防にもつながります。
摂食嚥下障害とは、噛むこと・飲み込むことが機能低下してしまった状態を指します。
その状態になってしまうと、リハビリスタッフの協力の元食べるための機能訓練を行う必要があるのです。
最近では、摂食嚥下障害予防のところで口腔体操を取り入れている施設もあります。
口腔体操は食前に行うことで、唾液の分泌を促すことに繋がり、誤嚥やむせ込みの予防へとなります。
誤嚥を起こしてしまったら
もし誤嚥が起こってしまったらどうしたらいいのでしょうか。
誤嚥と窒息、そして対応を合わせてみていきます。
症状としては、誤嚥を起こしていると、食べている途中で激しい咳き込みと呼吸困難になります。
顔が赤くなり、時には青紫になります。
重篤な場合は、咳も声も出せなくなり、首を手で掴むような形のまま意識を失います(これをチョークサインと言います)
対応としては、指で異物を掻き出す、腹部圧迫法、背部叩打とあります。
指で異物を掻き出す場合は、異物が口の中に残っていることが確認できた場合、指に手袋をしてガーゼを巻いて掻き出します。
この時入れ歯があれば外しておきます。
腹部圧迫法はお腹を刺激することで、胸や気管内の圧を上げて異物を吐き出させる方法になります。
やり方は、立たせるかもしくは座らせるかで背後に回って片手で拳を作った手首を握り、弾みをつけて勢いよくみぞおちに拳を押し付けます。
背部叩打は、座ってもらうか横を向いてもらい、左右の肩甲骨の間を手の平の付け根で強く数回叩くと言うものです。
まとめ
今回は誤嚥性肺炎について説明していきました。
毎日の何気ない生活の中に潜む危険があることを理解できたかと思います。
万が一こうなった場合を想定して、情報収集や知識の習得、実践を行っていくことをお勧めします。
介護歴が約10年くらいの者です。これからの介護の未来とビジネスモデルについて色々思いあぐねています。介護の未来が明るものになるようにしていきたいと思っています。