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小説(SS) 「初対面」@毎週ショートショートnote #カフェ4分33秒

お題// カフェ4分33秒
 

 かれの向かいに座った男はタブレットを取り出すと、上機嫌にしゃべり始めた。
 必ず儲かる、という投資話である。
 インターネットを通じて知り合い、これまで直接会うことはなかった。だが今回、カフェでゆっくり話をしようという約束を取りつけ、初めて対面したのだった。しかし蓋を開けてみると、紛うことなき詐欺師のプレゼン大会だったとわかり、かれは失望した。

 男の会話に隙はなかった。ずっと発言のターンが続き、かれが話を切ろうとしても、「ですが!」といった通信販売さながらの強烈な接続詞を駆使して自らのペースを譲ろうとしない。
 かれはやむなく腕時計に目をちらちらやりながら砂糖を入れた紅茶をかき混ぜ続け、男の口が閉じるその刻を待った。
 4分33秒。ようやく長い演説が終えると、男は満足した様子でかれに微笑みかけた。
 かれは苦笑いしながら自分のバッグをあさり始めた。そしてタブレットを取り出して口を開いた。

 「さて、次は私の番ですね」
 

〈了〉409字



珍しく、正統派っぽい感じのショートショートを
書いてしまいました。ベタっぽいオチ!!!

たぶんですが、
最近海外の短編ばかり読んでいるので
(『三体』の読み進みが遅すぎて、わたしは短編にちょくちょく逃げています)
その影響があるのかもしれません。

前回で50本目を迎えたということで、
過去のをまとめようまとめようと思っていますが
なかなかその一歩が踏み出せないでおります。
ですが近々。

ではでは〜。

↓↓ 前回 ↓↓



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