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民営化。15年が過ぎて。

民営化に向くことと、民営化してはいけないことがある。
この、あたりまえのことをこの国は15年前に踏み外した(踏み外すことが決まったのは17年前だったか…)。
強力に推進したポピュリストがいた。マスメディアはポピュリストの目論見をわかっていながら話題性ばかりを煽った。
そして、うかうかとその目論見の実現を許してしまったのは国民。
少なくとも現在37歳以上の人間は、それより若い世代に詫びなければならない。そのとき既に亡くなっていた先輩がたに詫びなければならない。載せられて流されたことを。阻止できなかったことを。詫びてもそれですぐに元に戻せるわけではないが。
これ以上流され続けてはならない。
命の水までも売り渡してはならない。

あの選挙のあとで、党議拘束は強力になった。党の公認を振りかざして脅されるとどんな目にあわされるか身にしみた政治家たちは骨抜きになった。

民営化されてどうなったか。利便性は高まったのか。
はじめは過疎地域から徐々に顕在化していく。
全体に行き渡りどういうことだったのか気がつく頃には逆行は難しい。
各ポストからの集配回数は減った。土曜祝日の配達は廃止された。
今や、同じ市内宛の普通郵便が届くまでに消印の日付から3日…週末を挟めば4日かかることもある。昭和の終わりや平成の初め頃を顧みて、今は一体いつの時代かとあきれるばかりだ。

然るに、民営化したこの会社は、政府が邁進している写真付番号管理札を国民全員に所持させることを業務に組み入れると発表した。
お上が、税金を使った見せ金をちらつかせながらそして持たないと不便にするぞとおびやかしながら全力をあげて邁進している事業で、もうこれで任意を謳うこと自体に首を傾げる有り様なのだから、民営化した本業すらおぼつかない会社がわざわざそれに加担する必要はないだろうに。

中にいて現業を行っている人たちの仕事がものすごくハードなのはよく知っている。
優しい、真面目な、能力の高い人たちであることも知っていて、現業を行っている人たちのことが大好きだ。
民営化前のネガティブキャンペーンが不当だったことも知っている。
国の方向を変える目的で利用されたのだ。

公の事業として支えるべき事業を、むやみに民営化することは間違いだ。


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