理性的であるべき議論を、情緒的に行うことで生じる社会の問題について考えさせられた

(一社)市民審議会の11月オンライン交流会においては、貴重な話をたくさん聴くことができた。

参加者からのチャットでの質問に対する、薬剤疫学の専門家、堀内有加里さんの丁寧な説明を受ける機会にも恵まれて、ほんとうにありがたかった。

『思いやりワクチン』とか、『大切な人を守るため』とか言われると、人間みな、気にならないはずはない。
ほんとうのところどうなのか。
感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果…。
接種を受けることは、他人にうつさないことを担保しうるのか否か。
打たないことを選んだ人はみな、自分自身のことでよりも、「自分の選択は他者に迷惑をかけると糾弾されうるものなのか」について、より深く悩む。
打つことを選んだ人も、その多くは、自分自身のことでよりも、「他者に迷惑をかけたくない」という気持ちに駆られてであるだろう。

質問に対して堀内さんは言われた。
「ワクチン接種は、自分が重症化しないため」。

医療従事者優先接種も、重症化によってマンパワーを減らさないのが目的だったと。
他者に感染を拡げない為ではない。
呼吸器疾患の予防接種については、注射では殆どIgA抗体が誘導されないので。
しかし当人の重症化予防効果は期待できると考えられる。
当人の重症化が防げた場合、ワクチンを接種した人が感染して、鼻粘膜等には他者に感染を拡げるに足る量のウイルスが付いていたとしても、本人は症状の自覚がなくて動き回って気づかないままに感染を拡げることはありうる。


10月11日の欧州議会公聴会のファイザー社幹部の回答についての質問もあった。「ファイザーは、試験をしていなかったと認めた」と言われている件。

「これは、あたりまえの回答です」。
堀内さんは、2時間に及ぶ記録動画を全部視聴されたとのこと。
ファイザー社幹部への質問は、「ウイルスの伝播を止めるような効果の試験を行いましたか」であったが、そのような試験は不可能である。
質問は、「感染予防効果の試験をしたか」ではなく、「ウイルスの伝播を止める効果の試験」だった。そんな試験は、だれにもできないのでそう答えるしかない。
ファイザー社は、感染予防効果の試験はしていますよ。
ということだった。


今接種が行われているインフルエンザワクチンは、メッセンジャーRNAか?不活化か?

については、現在行われているインフルエンザワクチンは不活化であるとのこと。
ただし、今年の6月にモデルナ社が、メッセンジャーRNAのインフルエンザワクチンの第3相試験を始めているので、今後、特例承認(特例承認とは、緊急事態下に於いて行われる)がされることがあるのならもしかしたら………ということであるらしい。


ほんとうの意味での専門家から、一般人にもわかりやすくかみ砕いた説明を受けることの大切さを実感した。

正確な知識や理知的な説明が求められているときに、情緒的な説明や、由らしむべし知らしむべからず的なお触れや、過剰かもしれないが大は小を兼ねるからとにかくやっとけ的な施策をするから、人心は安定しないということを感じた。

専門的なことを知らなくても、ほんとうの専門家がここぞというエッセンスを平易な言葉を用いて説明してくれれば、一般人にもわかる。

そして、『ここぞというエッセンスを平易な言葉を用いてかみ砕いて一般人にわかる形で説明』するような高度な技は、多分、一流の専門家・ほんとうの専門家にしか多分できないのだと思う。
堀内さんや、宮沢孝幸氏は、そのたいへんなことをしてくれている貴重な人たちなのだ。その貴重な人たちが今、どれほどの苦労をされていることか。
「一般人も、世の中も、まったく相手にしきれたものではない…」と、言いたくなるのでないだろうかと、一般人のひとりの、なにもわかっていない私は、ひとつ知るごとに自分の無知を思い知り、頭を下げて謝りたくなる。

世の中のほんとうの専門家たちの多くは、静かに黙っている、ようだ。

ずっと薬害訴訟をやってこられている青山弁護士に対しても、畏敬と感謝の念を抱く。
青山弁護士の、「理知的な議論を、どうやって進めていけばよいのか」という言葉を聴いて、大切なこととして心に響いたので、書きとめておく。

走り書きのメモを頼りに書いたので、間違っているところがあれば、私の聴き間違いであり、申し訳ない。気づいたところは随時訂正を入れる予定。




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