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セーラー服とマんナカさん

卒業式の日、好きな男の先輩に学生服の第二ボタンをもらう風習は今もあるのでしょうか?

私の通っていた学校にはその女子バージョンが密かにありました。憧れの先輩のセーラー服のスカーフをもらうというものです。
ただそれほど浸透はしていなかったため、スカーフをもらいに行く子はほとんどいませんでした。

私の卒業式の日、平々凡々冴えない私の所になんとスカーフをもらいに来てくれた後輩がいました。

え?わたし??
その子は同じ部活の一学年下の後輩でした。顔は知っているけれど言葉を交わした記憶すらない後輩がなぜ?
当時私なりにその理由を分析してみたところ、1つだけ思い当たる節がありました。

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オチも得るものもない話なのであしからず。
ちなみに後輩は女子なので、甘酸っぱい展開を期待した方は残念でした!
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正義じゃない、我慢できなかっただけの話。

私は3年間ある運動部で先生も練習も厳しい毎日でしたが、最終学年に顧問の先生が変わると格段に楽になり、顔を見せない先生の代わりに練習メニューは全て自分達で考えていました。

後輩たちの練習メニューを考えるのも先輩である私達の役目です。
1、2年生は、例え部活の終わり時間10分前でも練習メニューが終わったら、先輩に次のメニューを聞きに来なければなりません。そして課されたメニューはやりきらなけばいけません。
あの頃の学生は先輩絶対でとても上下関係が厳しい時代でした。

人数が多いので、1、2年生はコートに入る事など出来ず練習の殆どは筋トレやダッシュ、素振りなど基礎体力作りが主です。
メニューは次期部長の子が代表して聞きに来るのが暗黙の了解で、その都度部長・副部長を中心にその場にいる3年生でメニューを考えます。

いつものように代表の子がメニューを聞きにやってくると
「じゃあ、筋トレ5セットとグラウンド10周追加で。いけんじゃない?」
部活の終わり時間は後10分。明らかに終わらないメニューをみんなでケラケラと話しています。

私はその状況がとても不思議で、とても嫌いでした。

1人1人はとても良い子なのに、なぜ集団になると意地悪な事を平気で言えるのか?という不思議。
後輩の為のメニューではなく、明らかにその場の悪ノリでしかない意地悪が胸糞悪かったのです。

みんながキャッキャするなか、私が言うのは一言
「それだと時間内で終わらなそうだよねぇ。」

そうすると皆冷静になり
「ああ、そっかぁ。じゃあこれくらいならいいかなぁ。」となるのです。

さっきも書いた通り、皆1人1人は良い子です。
そこで意地悪なメニューを言い切るほど性根が悪いわけでもなく、何より誰も自分が悪者になんかなりたくないんです。


自分のキャラと言い回し


普段口を出すタイプではない大人しい人間(私)の一言は、聴いてもらいやすい事はわかっていました。

意地悪している気は本人達にはさらさらないので「それじゃ、可哀想だよ。」など責める言葉を言うと矛先が私に向かいます。そこは避け、時間内に終わらないという事実だけを気付かせる事がポイントでした。

私もメニューを減らし優しくする事が良いとは思っていなかったので、普段きつい練習メニューでも口出しは一切しません。
ただ時々、悪ノリでの考えられないメニューの時だけそうやって気付かせるという事をしていました。

その一部始終を側で見ていたのは、代表してメニューを聞きに来ている後輩だけです。
その後輩が私のスカーフをもらいに来てくれた子でした。

その時も言葉を交わしたわけでもなく「それをその子が見ていた」という事しか私とその子の接点はありません。

後輩のためにとの行動ではなく、自分が我慢出来なかったからした言動だけど、その子からしたら浦島太郎の亀の気持ちだったのかもしれないなと思いました。

思わぬところで見られてるもんなんだな。
今後も真っ当に生きよっと!と思った卒業式の日でした。

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