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田舎の消防団の必要性

田舎の消防団って必要ある?という話を聞きます。
また、なぜ消防団に入らなきゃいけないのか?という意見も。

確かにそう思いますよね。
私も「消防団ってなに?」と思っていたクチで、田舎に越してくるや、旦那が半強制的に入団させられ、しょっちゅう土日に呼び出されて困惑していました。

今日までは。
いや、正確に言えば、もっと前から「消防団がいて助かるな」と実感していました。

数年前、私たちの住む地域は、台風19号の甚大な被害を受けました。
道路が寸断されて陸の孤島と化した直後から、消防団を中心とした地元民が重機を動かして道を拓き、家屋から土砂を掻き出し、パトロールを行っていました。

正直、「家の仕事(酪農)もあるし、子供たちもいるのに(当時、学校も保育所も開けられる状況ではなくお休み)、毎日夫が駆り出されて困るな…」と思ってはいましたが、誰に指示されるでもなく自発的に動く地元の人たちを驚きと尊敬の眼差しで見ていました。
都心部育ちの私は、有事の際には行政が何かしてくれるのを被災者として「待つ」ことしか思い付かなかったので。

家族たちはと言うと、義父は重機で被害を受けた家へ出かけ、旦那は消防団の活動、義母は消防団等で働く人のための炊き出しへ。
私以外の大人たちは数日出払っていました。
皆、文句ひとつ言うことなく「当たり前」に出かけて行くのです。
すごくないですか?
その地元民の自発的な動きで、自衛隊が到着する頃には、災害への初動の対応はほぼ出来ていたように思います。

そして今日。
我が家のすぐそばの家で火事がありました。
昼の仕事に出ようとして火に気づいた夫が、すぐに「火事!通報!」と叫び、自分はポンプ小屋へ消防車を取りに走り出しました。
すでに家の中央から大きな火柱がボウボウと立ち上ぼり、パン!パン!と何かが弾ける音がしました。
私は通報後に慌てて子供たちを車に乗せ、少し離れた道路脇に停車させていると、ポンプ小屋から消防車を出してきた夫が急いでホースをつないでいて、集まってきた人たちが燃えている家の車庫から軽トラを動かそうとしていました。

道路脇に座り込んているのは住人のおじいちゃん! よかった、無事だ!
その後も他の地元消防団の分団が到着し、本チャンの消防車が到着する頃には、消防団員たちがそれぞれのホースで消火活動をしていました。
山の上の田舎では、何かあったときに駆けつけるのは、地元民が断然速い。
私は、子供たちを車に乗せていたのもありますが、それでも最初「動かないで待っててね!」と言って現場に走ったんです。でも、何もできなかった。

テキパキと消火活動をしているのは、消防団員そして元消防団員のおっちゃんたちです。
消防団の訓練の賜物だと思います。
私のように、遠巻きに見ているだけの人たちは、非消防団員です。
今ここに消防団員がいなかったら、消火活動が遅れ、もしかしたら裏山にも燃え移って、大変なことになっていたかもしれません。
火は、約二時間後に消えました。

全身びっしょりになった旦那は二回家に着替えに戻り奮闘。元消防団員の義父も参加。
義母はすぐに一升米を炊き、炊き出しに出ていきました。
田舎の自治の精神すごい。
そして、消防団の人たち、本当にお疲れ様。

田舎は、消防団をはじめ、住民が様々な役割を担っています。
それは、時に面倒くさくて厄介です。
でも、そんな様々な役割があるからこそ、有事にそれぞれが迅速に、そして自発的に動くことができるのだと思います。

「田舎=めんどくさい」のひとつに挙げられる消防団ですが、地域の安全を守るのは勿論、自治の精神に繋がる上でもなくてはならないものなんだな、と。
外から来て数年経って、ようやく理解出来た気がします。




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