田熊なち

手工芸にぶら下がってご飯を食べている30代。イラストレーター兼理系研究者の夫と2人暮ら…

田熊なち

手工芸にぶら下がってご飯を食べている30代。イラストレーター兼理系研究者の夫と2人暮らし。日々の出来事や考え事を文章にしています。最近は不妊治療ばかりしています。

マガジン

  • ゆるくて雑な不妊治療について

    2020年に開始した妊活について。その時その時の気持ちや愚痴など。有益な情報はありません。

  • 日記

    日々の覚えごとなど

  • フランス工芸留学の思い出

    とても楽しかったフランス留学の思い出話

  • 伝統工芸を仕事にしているはなし

    社会の隅っこで縮小を続ける伝統工芸の仕事に携わる日々のはなし

  • 絵描きと職人夫婦のはなし

    社会不適合者ゆえ研究と絵で飯を食う夫と仕事のストレスでよく胃を壊す職人妻の日々

最近の記事

貧血と肝機能とわたし

妊活を開始して早2年。 完全に不妊治療沼に両足を突っ込んでいる今日この頃です。 寝ても覚めても妊活のことしか頭にありません。 仕事は続けているけど辞めたい。 なんなら何かミスをおかして責任をとらされてスッパリ辞めたい。 今周期はついに初の体外受精に挑戦です。 新しいことに挑戦するのってなんだかワクワクします。 昨日は事前にしていたホルモン検査の結果と自己注射の説明を聞きにクリニックを訪れました。 まあ体調もよろしいですし、これまで別のホルモン検査で3カ月に1回採血して値を

    • 世間体を気にせず空気を読まずとも許されるならば辛い辛いと駄々をこねたい

      つらい!つらいつらい! ※この先、不妊治療中に周りの友人が妊娠出産ラッシュで辛いというよくある平凡な駄々をこねます リセット(妊娠成立せず生理が始まること)した日、仕事の帰り道で友人の出産報告がグループLINEに流れてきて吐きそうになりました。 妊娠していないのにね。(ブラックジョーク) 20代後半で駆け込むように結婚した友人たちの出産報告がこの3カ月あまりで5件。 先の報告なんてコロナ禍で定期的な集まりもなくなって久しいため妊娠してたことも知らされておらず、みぞおちに

      • ティーンの記憶と星の数

        小学生から高校生にかけての自分がまごうことなき読書家だったことには確信があるのだけれど、どうにも読んだ本をあまり思い出せない。 当時からそうだったのだろうか。 それも思い出せない。 読んだ直後は覚えていても、次から次へと本を読むと前に読んだ本の記憶は薄れている。 わたしの脳みそのキャパシティはせいぜいその程度のものなのだろう。 しみじみと、自分の能力の限界を想う。 何がきっかけだったのか、そうだ、花の画像を検索しているとふいに、中学生の時に読んだタイトルが花の名前の小説の記

        • 落ちたらとにかく頑張るのターン

          会社がいつなくなってもおかしくない状況を見て、それならばと始めた妊活は全く前進せず不妊症確定目安の1年が経った。 1年半、新型ウィルスの影響をもろに受け大幅な収益減に見舞われながらもどうにかこうにか生き延びてきた勤務先は8月のオリンピック不景気(勝手に命名)により目も当てられない状況にまで突き落とされていた。 クサクサした気持ちでアマプラとネトフリを漁る日々をやり過ごし、気づけば最近わたしはめちゃくちゃ頑張っていた。 伝統工芸品の製造販売を営む職場では精力的に新しい企画

        貧血と肝機能とわたし

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        • ゆるくて雑な不妊治療について
          1本
        • 日記
          10本
        • フランス工芸留学の思い出
          5本
        • 伝統工芸を仕事にしているはなし
          10本
        • 絵描きと職人夫婦のはなし
          3本
        • ものづくりのはなし
          2本

        記事

          想像力を養うことは大事だけれど結局当事者にならないとわからないことだらけ

          晩にプデチゲを食す。 プデチゲとは韓国の鍋料理で、ウィンナーやハムやキムチやチーズとインスタントラーメンが一緒くたに煮込まれている。 Twitterで流れてきた画像を見てなんだこれは!と食いつきその日のうちに作った。 ちなみにわたしは只今絶賛ダイエット中である。 ダイエット中である、と宣言し続けてはや1年。 体重が減らないどころかジリジリと増える一方でこのままでは自己嫌悪で外に出るのも嫌になってしまう…という焦りからダイエットに本腰入れ始めたのが6月。 なんと、2キロ落ち

          想像力を養うことは大事だけれど結局当事者にならないとわからないことだらけ

          自分が一番大切だし自意識過剰がデフォルト

          『おもひでぽろぽろ』を観るなどした。 ※以下のテキストはネタバレを含みます。 都会生まれの都会のOL27歳独身女性タエ子が田舎の親類宅に滞在させてもらい農作業の手伝いをする過程で小学5年生の頃の生活の記憶が呼び起こされうじうじもやもやしたりあからさまに男に惚れられたりする言わずと知れたスタジオジブリの長編アニメーション作品。 たぶんわたしはジブリ好き度が日本国民の平均以下でこれまで金曜ロードショーなどで流れない限り能動的に鑑賞してこなかったためこの度30を過ぎて初見を迎え

          自分が一番大切だし自意識過剰がデフォルト

          コブサラダドレッシングと匂いの記憶

          コブサラダドレッシングがなぜか苦手だ。 夫は好きなので家の冷蔵庫に常備している。 何年か前までは特に苦手意識なく食べていた気がするのだけれどここ数年まったく気が向かない。 ある日、使い切ったドレッシングボトルを水洗いしていた。 ボトルの中にお湯を注ぐとムワッと広がるコブサラダドレッシング臭。 フランスに留学していたことがある。 縁もゆかりもない外国人が契約できるアパートは限られていて、わたしは日本人の友達に紹介してもらったさまざまな人種の住人がいるアパートに住んでいた。

          コブサラダドレッシングと匂いの記憶

          女はいくつになっても女、を実感するにはまだ早い

          貧血と痩せすぎで肉をたらふく食べても体重が増えない〜どうしよう〜と親を困らせていたのはもう20年も昔のはなし。 この一年、自己最高体重を更新し続けています。 感染症流行1ヵ月前に挙げた結婚式当日ではここ10年で一番痩せていた。 オプションをつけるのをしぶったわたしに与えられたレンタルドレスの選択肢は非常に偏っており、肩が隠れる類のものが皆無だったのだ。 挙式3ヵ月前から食事はサラダとチキン、週3回のジム通いで重点的に鍛えた背筋を人々の目に晒したのでした。 肌の汚さの

          女はいくつになっても女、を実感するにはまだ早い

          自己から社会へ目を向けてはじめてSFを読む

          近ごろ、SF小説が面白い。 現実であり得ないような設定でもその成り方について一応の筋は通してあり、その仮想世界で人がどういう感情を抱き行動するのかわたしの想像を超えた展開がくりひろげられるのが面白い。 小さい頃から本を読むのは好きだった。 ネットが発達しておらず書評を読む機会がなかったので図書館では気に入った表紙のものを次から次へと借りジャンルを問わず読んでいたけれど、高校生くらいの頃からはいわゆる純文学と呼ばれる小説ばかり読むようになった。 それも、主人公が10代や

          自己から社会へ目を向けてはじめてSFを読む

          生涯学習の大切さに気づくのが遅すぎる教室講師

          それはわたしです。 工芸教室の講師を務めているけれど、教室の目的は工芸の技術を教えることであるという認識しかなかった。 まさか、工芸教室が広義には生涯学習という分野に属するとは… そのことに気づいたのはつい最近のことである。 この1年以上にわたる感染症騒ぎによりザ・不要不急の工芸教室に通う受講者も一度すっかりリセットされ、コロナ前とコロナ後ではメンバー総入れ替えが行われた。 「感染が怖いから…」と受講を取りやめる人たちがいる一方でこのようなご時世でも教室に連絡をとり

          生涯学習の大切さに気づくのが遅すぎる教室講師

          女であることにぶん殴られた日

          髪を伸ばしている。 緊急事態宣言で美容室に行けなくなってからなので1年ほどになる。 一度目の宣言が解除されてから美容室には行き出したがなんとなくの惰性で伸ばし続けていたらそれなりの長さになりそのままとうとう雨の季節に突入してしまった。 湿気でくせ毛がうねり広がる。 しょうがないので仕事に行く時は後ろで髪を束ねることにした。 昔々に買ったことも忘れていたヘアアクセサリーを発掘する。 それは束ねたゴムの上に被せるようにつけるポニーフックというもので、なんの主張もない白

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          某月某日、レディースクリニックでの気付き

          10分前には仕事を終わらせ片付けをしたりデータ整理をしているふりをしながらちらりちらりと時計を見やり、定時ちょうどに会社の扉を開けそこから徒歩10分のレディースクリニックへ。 妊娠希望のため月に2・3度病院に通っている。 妊娠のメカニズムなどについて高校生物程度の知識しかなかったわたしは妊活開始直後、関連本を1冊だけ読み自然妊娠の確率の低さに衝撃を受け餅は餅屋だとさっさとクリニックへ駆け込んだのでした。 妊活=辛い、鬱、社会問題というイメージが色濃い世の中だけれど今のと

          某月某日、レディースクリニックでの気付き

          誰もが適材適所にうまくはまり込めるわけではないので悲劇は起こり続ける

          緊急事態宣言に伴い突如降ってわいたわたしの大型連休。 わたしの居住地は緊急事態宣言対象地域ではないため自身の緊張感の持って行きどころに迷った挙句、1度だけ友人と食事に出かけてしまいました。(懺悔) ちょっと珍しい動物の肉が食べられる店があるということで、そして久しぶりの友人との外食ということで、心踊らせながら下り電車に揺られて微妙に田舎の街へ向かった。 店はとてもこじんまりとしてテーブル席が3つ、あとはカウンターが4席くらい。 それでも感染対策はバッチリで席と席はアク

          誰もが適材適所にうまくはまり込めるわけではないので悲劇は起こり続ける

          アイデンティティについて思考が及ばないくらいアイデンティティが強固

          前の職場の同僚から、今年度いっぱいで会社を辞めるとの連絡が来た。 彼女は台湾人。 「もしかして台湾帰っちゃうの?」 「はい帰ります〜!」 そりゃそうだよね。 一年前、世界の中でも群を抜いてコロナ優等生として褒め称えられる祖国に対し、同じ島国という利点も生かさず国民に謎の給食マスクを配る作戦を決行した日本に彼女はひどく失望していた。 「日本人のあなたにこんなこと言うのは変だけど」 と前置きして彼女は電話口で日本の失敗点を挙げ連ねた。 彼女はめちゃくちゃ努力をして

          アイデンティティについて思考が及ばないくらいアイデンティティが強固

          何者かになる意欲を欠いた30代既婚子なし女、散歩が楽しい

          助手席から遠くに目をやると、歩道には二人並んで歩く老夫婦が見えた。 「なんで老人は散歩ばかりしてるんだろうね?」 と運転中の夫に問うと、こう帰ってきた。 「老人が散歩ばかりしているのではない。散歩していた人間だけが長生きできたんだよ。。って教授が言ってた」 なるほど、じゃあ散歩しなきゃなぁ〜と無言で歩く老夫婦を車で追い越す。 散歩が健康に良いらしいことは知っていた。 が、正直、ずっと散歩には抵抗があった。 散歩どころか移動手段:徒歩というものにものすごい抵抗があったのだ。

          何者かになる意欲を欠いた30代既婚子なし女、散歩が楽しい

          あたりがキツい人って一定数いるのねとようやく気づいたオーバー30

          人は見た目で判断しちゃいけないと幼少期から呪文のように唱え続けられその教えを信じ続けたがいややっぱり見た目がある程度中身に直結する部分あるだろと気づいたのはわたしの場合30を過ぎてからである。 特にその人の経済状況というのは見た目に出るしその人の価値観の形成に大きな影響を与えるので判断材料として馬鹿にできないと思っている。 そう考えるようになったのは今の仕事を始めて都市部での接客が業務の一つとなり様々な人種と接するようになったのが大きい。 前職は小さな会社の工房の中でウジウジ

          あたりがキツい人って一定数いるのねとようやく気づいたオーバー30