サバカンの味
映画『サバカン SABAKAN』を観た。じんわりと胸が熱くなるひと夏の出来事と、形こそ変われど自らの実体験、或いは経験に根差した懐かしさ。夏という季節の持つ、酸いと甘いが入り交じったあの味。
それは甘さだけがあとを引いて、口の中に花を咲かせるような。冷やし胡瓜でもなく、アイスクリームでも、かき氷でもなく。そう、鯖缶の味なのかもしれない。
小学生のとき、私にはあんな友達が居たのかな、なんて考えてもみたけど、特に思い浮かばなかった。思い浮かぶお姉さんはいるけれど。
主人公少年の感情表現なんかは、本当に凄いと思った。演技がどうとか、そんな話ではなく。見ていると何かを思い出すような、あの細やかな気分の浮き沈みであったり、強がり、照れ、恐怖、悲しみ。
演じた子役少年は勿論だが、監督を初めとする製作陣の"懐かしさ"を押さえる感覚も凄いな、と。個人的には、だからこそ"映像"という面にはもう少し拘りが欲しい、とか思ったりもしたのだけれど。
良い作品でした。
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