フィリピン不動産を選ぶ際に知っておきたいこと(コンドミニアム・アパート・タワーマンション・戸建て)

フィリピンの不動産事情は日本のそれとは大きく違います。この記事では、日本人がフィリピンで賃貸物件を探す際に留意しておきたい点についてまとめてみました。

エリアの選定

フィリピンで賃貸物件を探す際、最初に考慮すべきはエリアの選定です。フィリピンは多様な地域から成り立っており、それぞれの地域が異なる生活環境や利便性を提供しています。例えば、首都マニラはビジネスの中心地であり、経済活動が活発なエリアですが、交通渋滞が頻繁に発生し、生活費も高めです。一方で、セブやダバオなどの都市は、マニラほどの経済規模はないものの、より落ち着いた生活環境と比較的安価な生活費を提供しています。

また、海辺のリゾートエリアや山間部の自然豊かな地域もあり、リラックスした生活を求める人には最適です。しかし、これらの地域は都市部ほどの利便性やインフラ整備が進んでいないことも多いので、自分の生活スタイルに合わせて選ぶことが重要です。さらに、治安状況も大きな要素となります。特に都市部では、地域ごとに治安の良し悪しがはっきりしているため、住む場所を決める前に現地の情報をよく調べ、安全なエリアを選ぶことが推奨されます。

家賃と予算

フィリピンでの賃貸物件の家賃は、エリアや物件の種類、規模によって大きく異なります。マニラやセブの中心部では、高級コンドミニアムの家賃が高額になる傾向がありますが、郊外や地方都市ではより手頃な価格で物件を見つけることができます。家賃のほかに、デポジット(通常1〜2か月分の家賃相当)や前払い家賃が必要となることが一般的です。

さらに、月々の支出を把握するために、家賃以外の費用も考慮に入れる必要があります。水道光熱費、インターネット、ケーブルテレビなどの生活必需品の費用を計算し、総合的な予算を立てましょう。物件によってはこれらの費用が家賃に含まれている場合もありますが、多くは別途請求されます。特に電気代は、エアコンの使用頻度によって大きく変動するため、冷房の必要性を考慮した予算設定が重要です。

ただ、最近ではステイケーションと言って、Air bnbやFacebookページにて月単位で貸し出しているオーナーもいるので、時間的に余裕のある人はお試し感覚でフィリピンのコンドミニアムに1~2か月単位で滞在してみるというのも良いでしょう。ちなみに、ステイケーションの場合は水道光熱費・インターネットなどの費用が宿泊費に含まれている事が大半です。

注意:物件によっては、管理組合がAir bnbなどの短期貸し出しを許可しておらず、非合法に宿泊させているケースもあります。

セキュリティ対策

フィリピンではセキュリティが非常に重要な要素です。特に都市部では、犯罪発生率が高い地域もあるため、賃貸物件を選ぶ際にはセキュリティ対策がしっかりしているかを確認することが必要です。例えば、24時間体制の警備が配置されているか、防犯カメラが設置されているか、アクセス制限のあるゲートがあるかなどのポイントをチェックします。

また、コンドミニアムなどのセキュリティガードが常駐している物件や、セキュリティシステムが導入されている物件は安心感があります。さらに、周辺の治安状況についても調査し、近隣の犯罪発生率や警察の対応状況などを確認することが推奨されます。安全なエリアに住むことで、日常生活での安心感が大きく向上します。

物件の状態とメンテナンス

物件の状態やメンテナンス状況を確認することも重要です。物件の内見時には、建物の外観や部屋の内部をしっかりチェックしましょう。特に、水回りや電気設備、エアコンなどの主要な設備が正常に動作するか確認することが大切です。老朽化した物件や、メンテナンスが不十分な物件は、住み始めてからトラブルが発生しやすいため、避けるべきです。

また、物件の管理体制についても確認し、問題が発生した際に迅速に対応してもらえるかどうかを確認しておくと安心です。管理会社やオーナーが信頼できるかどうかも重要な要素です。物件のレビューや口コミをチェックし、過去の入居者の意見を参考にするのも良いでしょう。さらに、契約前に物件の修繕履歴を確認し、大規模な修繕が必要な場合、その費用や期間について事前に把握しておくことが必要です。

契約内容と法律的な確認

フィリピンで賃貸契約を結ぶ際には、契約書の内容をしっかり確認することが重要です。契約期間、更新条件、退去時の手続きなど、重要なポイントを理解しておく必要があります。また、フィリピンの賃貸に関する法律や規制についても知識を持っておくと、トラブルを避けることができます。特に、家賃の値上げやデポジットの返還についての規定を確認することが大切です。

契約書には、物件の状態や設備についての詳細も明記されていることが一般的です。入居前にしっかりと確認し、問題があれば事前にオーナーと交渉しておくことが必要です。また、契約書には英語で記載されることが多いため、理解できない場合は信頼できる翻訳者や法律の専門家に相談することをお勧めします。契約内容を正確に理解し、不利な条件が含まれていないかを確認することが、安心して賃貸生活を送るための基本です。

少し骨の折れる作業ですが、契約を急ぐ前に必ず草稿はチェックしておきましょう。また、契約書にサインする前にも必ずその草稿と相違が無いか、修正のし忘れがないかなど確認しましょう。公証後に指摘しても手遅れです。

公共交通機関とアクセス

物件の所在地が公共交通機関にどれだけアクセスしやすいかも重要な要素です。フィリピンでは、交通渋滞が頻繁に発生するため、通勤や移動の便を考慮した物件選びが必要です。近隣にバス停や鉄道駅があるか、主要道路へのアクセスが良いかを確認しましょう。また、交通の便が悪いエリアの場合、自家用車の使用を検討する必要があるかもしれません。

フィリピンの主要都市では、ジープニーやトライシクル、バス・鉄道など多様な交通手段が利用可能ですが、これらの交通手段が利用しやすいかどうかを確認することが重要です。特に、仕事や学校への通勤・通学時間を考慮し、無理なく通えるエリアを選ぶことが大切です。また、交通費や移動時間も考慮に入れ、全体的な生活コストを把握することが必要です。

生活環境と近隣施設

賃貸物件を選ぶ際、周辺の生活環境や近隣施設の充実度も考慮することが重要です。スーパーマーケットやショッピングモール、レストラン、病院などが近くにあるかを確認しましょう。特に、日常的に利用する施設が徒歩圏内にあると生活が便利です。また、公園やジムなど、リクリエーション施設が近くにあるかもチェックすると良いでしょう。

生活環境の良し悪しは、長期的な住み心地に大きく影響します。周辺の騒音レベルや交通量、緑地の有無なども重要な要素です。家族連れの場合、子供の学校や遊び場が近くにあるかどうかも考慮する必要があります。また、現地のコミュニティにどのように溶け込むかも重要です。フィリピンでは、地域の人々との関係が生活の質に大きく影響するため、良好な隣人関係を築くことが大切です。

インターネットと通信環境

現代の生活ではインターネットは欠かせない要素です。フィリピンでは、地域や建物によってインターネットの接続状況が大きく異なるため、契約前に必ず確認することが重要です。インターネットプロバイダーの選択肢や速度、安定性を調べ、自分のニーズに合った通信環境を整えましょう。また、スマートフォンの電波状況も確認しておくと安心です。

特にリモートワークを行う場合、インターネットの安定性は仕事の効率に直結します。主要なプロバイダーとしては、PLDT、Globe、Convergeなどがあり、それぞれの提供するプランやサービス内容を比較することが推奨されます。契約前に実際の利用者の評判やレビューを確認し、信頼できるサービスを選ぶことが重要です。また、インターネット設備が既に導入されている物件を選ぶことで、入居後すぐに快適なネット環境を利用することができます。
最近ではスターリンク(Starlink)といった衛星通信インターネットも利用できるようになったので、フィリピン系のインターネットプロバイダーが設定する2年縛り、3年縛りに抵抗がある方は、最初からStarlinkを利用してみるのも手です。最近はノートパソコンサイズの小型アンテナも利用できるようになったので、離島に行く際には持っていってみるのも良いでしょう。どこでも下り100Mpbs程度は出ます。

電気・水道・ガスの状況

フィリピンでは、電気や水道、ガスの供給状況が地域や建物によって異なります。物件を選ぶ際には、これらのインフラが安定しているかを確認することが大切です。特に停電や断水が頻繁に発生する地域では、非常用の対策があるかをチェックしましょう。また、ガスの供給がボンベ式か配管式かも確認し、安全に使用できるかどうかを判断する必要があります。

停電時の対策として、ジェネレーターが設置されている物件や、非常用のバッテリーを備えているかどうかも重要なポイントです。フィリピンでは台風などの自然災害によって停電が発生することがあるため、予め対策を講じておくことで、快適な生活を維持できます。また、水質についても確認し、飲料水の確保やフィルターの設置が必要かどうかを検討しましょう。

フィリピン独自の習慣や文化の理解

フィリピンでの生活には、現地の習慣や文化を理解することも重要です。賃貸物件を選ぶ際には、隣人との関係や地域のコミュニティにどのように溶け込むかを考慮しましょう。例えば、フィリピンでは大家との関係が密接であることが多く、良好な関係を築くことでトラブルを未然に防ぐことができます。また、現地の文化やマナーを尊重し、快適な生活を送るための心構えが必要です。コンドミニアムでは近隣との交流は比較的少ないかと思いますが、定期的にバザーや交流会などを実施しているところもあるので、現地の人々との交流を深めたいという方は、奮って参加してみましょう。

フィリピン・マニラで10年以上単身生活してきた私の経験からすると、コンドミニアム内に信頼のおけるフィリピン人が一人いるだけでも安心感はすごく違います。私の勤め先は、基本的に私が滞在している住居に関するサポートは、すべてコンドミニアムの管理オフィス(PMO)に相談してくれというスタンスですが、それでもPMOだけでカバーしてくれる範囲には限界があります。

日系の不動産管理会社

最後に、フィリピンにある信頼のおける不動産管理会社を紹介して終わりたいと思います。

エイブル (Able)

特徴: エイブルは日本国内での賃貸仲介事業で知られている大手不動産会社で、フィリピンにも進出しています。フィリピン国内でも日本と同様に、高品質なサービスと豊富な物件情報を提供しています。特にマニラ首都圏の高級コンドミニアムやサービスアパートメントを中心に取り扱っています。

サービス:

  • 日本語対応: 日本人スタッフが常駐しており、日本語での対応が可能です。現地の言語や文化に不慣れな日本人にも安心して利用できるサポートを提供します。

  • 物件紹介: 賃貸物件の紹介から契約手続き、入居後のサポートまで一貫して行います。特に、日本人駐在員やビジネスマン向けの物件を多く取り揃えています。

  • トラブル対応: 入居後のトラブル対応も迅速に行い、安心して生活できる環境を提供します。

スターツ (Starts)

特徴: スターツは、フィリピンを含むアジア各国に進出している大手不動産会社で、特に駐在員向けの高級賃貸物件を多く取り扱っています。スターツは、物件の質とサービスの両面で高い評価を得ており、日本人にとって非常に信頼できる不動産会社です。

サービス:

  • 日本語対応: 日本人スタッフが在籍しており、日本語での対応が可能です。フィリピンでの生活に不安を感じる日本人に対して、安心して利用できるサービスを提供しています。

  • 物件紹介: 高級コンドミニアムやサービスアパートメントなど、駐在員向けの物件を中心に紹介。マニラ首都圏の主要エリアに強みを持っています。

  • リロケーションサービス: 新たにフィリピンに赴任する駐在員向けに、リロケーションサービスを提供。空港でのピックアップから一時滞在施設の手配、生活必需品の手配まで、包括的にサポートします。

  • 契約サポート: 賃貸契約の手続きや更新手続き、退去時の手続きなど、全てのプロセスをサポート。契約内容の確認や交渉も代行して行います。

  • コミュニティサポート: 現地での生活に役立つ情報提供や、日本人コミュニティとのつながりをサポート。現地での生活がスムーズに進むように、さまざまなアクティビティやイベントを開催しています。

まだまだ多くの日系不動産管理会社存在しますが、今回は私がお世話になった2社のみを紹介させて頂きました。他にもおすすめの日系不動産企業などあれば、コメント欄にて共有して頂けますと幸いです。

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