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「おじさん」との馴れ初め

元カレBから、

“About 1? Shall I get u an Uber?”

(1時くらい?Uber呼ぼうか?)

とメッセージが来ていたが、

「1時にここ(私の家)を出るのか」

または、

「1時に彼の家なのか」

よく分からない感じだった。

だが、私はちょっと面倒くさかったのと、

有り余るほどの時間があるのと、

なるべく相手からのメッセージの量に合わせて

返信を返してるので、

確認しなかった。

これが仕事なら、大ごとだし、

絶対に確認したほうがいいと思うのだが、

なにせ元カレである。

この彼は、私の方からサヨナラした。

だからなのか、

別れてから「復縁したい!」と思うことが

比較的少なかった。

正直に言うと、時々、

「やっぱり別れない方が良かったのかな?」

と、一人の不安な夜は感じたことがある。

しかし、別れた当時や直前は彼のことがけっこう

嫌いになっていたので、

「これで良かった。別れて良かったんだ」

と自分に言い聞かせていた。


私は、人間関係を手放すのが、

あまり得意ではない。

だから、この元カレのことを好きに思ったことも少ないのに、

嫌いに思うことも少なかったから、

元カレCと別れてから、

約1年半以上もこの元カレBと会っていた。

私の男性遍歴は、少しいつも重なってることが多い。

だけど、今回は本当にスッキリ、クリアにしたなと

満足だった。

【元カレBとの出会い】

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元カレBとは、もともと人の紹介で知り合った。

私は同い年か、年下の男性が好きで、

歳上に全く興味がなかったのだが、

紹介してくれたお友達は、

「彼は歳上で包容力もあるし、超お金持ちだから!」

と会うことを勧めてきた。

彼女は面白くて可愛くて頭が良くて、人を惹きつけるのがとても上手な人だった。

しかも、面倒見が良かった。

だから、どうやってつながった?

という謎の人脈を多く持っていた。

あなたがコミュニケーションが苦手で、

人とつながるのが下手だったら、このような友人を一人作ることをおすすめする。

私は元カレCと別れて落ち込んでいたところだったので、

誰かと会うのは気が紛れるかもしれないと、

元カレBと会うことにした。


会った瞬間、見た目で彼が私より相当歳上なことは感じていたが、

しばらく年齢のことはハッキリ聞かなかった。

ま、コッチもけっこう歳がいってることもあるけど、

一番はあんまり興味がなかったから。

だって、見た瞬間、

「ちょっと小太りの、チャンドラーおじさん」

という印象だったのだ。

チャンドラーとは、アメリカのドラマ『フレンズ』に登場するキャラクターの一人である。

シニカルで、おちゃらけたイメージのチャンドラーは

性格的にも私の好みのタイプではなかったが、

チャンドラーの顔そのものが、

私の好みのタイプから程遠かった。

面食いの私からすると、おじさんがニタニタと

笑うのが時々気持ち悪くすら感じた。

とにかく、好みのタイプではなかった。

また、ファッションも?という感じだった。

私たちが落ち合う場所は、九龍駅の上にある、小洒落たバーの一つだった。

私は黒のトップスに、青い花柄のエレガントなスカートで現れたのに対し、

ハッキリ覚えていないが、

彼はお世辞にも洗練されて見えなかった。

「いやー…これはハズレだわ」

心の中で大きく落胆したが、

人の紹介だし、失礼のないように、

適当に話を合わせて帰ろうと思っていたところ、

ステーキの美味しい店が隣にあるから、店を変えようということになった。

九龍駅のすぐ上は、エレメンツという

高級ショッピングモールがあり、素敵なレストランやバーが、吹き抜け階に入っている。

金曜日の夜ともなると、

近くで働く金融系のエキスパット(外国人のこと)たちが

お酒やディナーを楽しんでる、

ハイソで、オシャレな場所だ。

また、その近隣には、

たぶん、香港一高い飛び切り高級なマンションや

マリオット系列のホテルがある。

おじさん(元カレB)は、そこのホテルで

サービスアピートメント契約をして住んでいた。

年間何百万円か忘れたが、とにかくエライ金額だ。

とにかく、金には困ってない。

だが、見た目がダメ!!

私はもう、ステーキ食べたら帰る気満々だった。


おじさんが、ステーキを飲む前にワインでも飲む?と

すすめてくるので、別に飲みたいわけではないが

日本人は飲めるよね?という暗黙のプレッシャーから

赤ワインをグラス一杯注文した。

しばらく、おじさんの話に適当に相槌を打っていたが、

ちょっとなんか気持ち悪くなってきて、

トイレに行きたくなった。

「ごめんなさい、ちょっとお手洗い行ってきます」

と言い、席を立った。

彼と会う前に、ズンバの運動をして、さらに

空きっ腹だったために、もともとアルコールに弱い私は

すでにけっこう酔っていた。

本当、お酒の弱い私からすると、

「日本人」というブランドは、

本当にマイナスでしかない。

日本人はお酒を飲むのが大好きで、皆んな沢山飲めると思われているから。

「日本人だから、飲めるよね?」

このプレッシャー。。

出来ないと言えない負けず嫌いな私は、

お酒で数々の失敗をしてきた。

日本にいる時から、

日本人の飲みニケーションが嫌いだったが、

香港に来てますます、その文化が嫌いになってしまった。

立ち上がると、立ちくらみのようになってしまい、

トイレにたどり着く前に階段で座り込んでしまった。

すると、店員が気がついて、

「あなたのお友達が気分悪くなってますよ」とおじさんに耳打ちしたらしい、

おじさんが心配そうに駆け寄ってきた。

「大丈夫?」

「うん、大丈夫です」

それに返事を返すのが精いっぱいだった。

「でも、気持ち悪い…」

「ステーキは今度にしよう」

おじさんは丁寧にステーキをキャンセルして、

私を抱き抱えて店を出た。

なんかしばらく、

以前付き合っていた日本人の女性もお酒が弱くて

びっくりしたけど、キミはそれ以上だよ

なんて言ってるような、ないような、

気がついたらおじさんのホテルのサービスアピートメントで、ベットに横たわっていた。

気分は次第に落ち着いてきた。

なにせよく考えたら、

ビール一杯とワイン一杯しか飲んでない。

さすがに恥ずかしくなってきた。

おじさんは水を持ってきてくれたり、優しかったが、

そのうち興奮してきたらしく、

キスをしてきた。

私は酔っていたので、だいぶ判断が鈍り、

「ま、チャンドラーだけど、いいか」

と、その場の勢いに任せることにした。


しばらくして、目が覚めるとおじさんが水を持ってきてくれた。

近くのテーブルには、パイロットがかぶる帽子が逆さまに置いてあった。

パイロットってなんだろう、スタッフカードとか、

リップクリームとか、ネクタイとか、

忘れないようになのか、

パイロット帽子に入れてる人が多い。

おじさんのがどうだったか忘れたけど、

彼はパイロット帽子を私に被せて写真を撮ってあげると

言ってきた。

頼んでもいないのに。

私はパイロット帽子を被り、ひきつる笑顔で笑った。

どうもおじさんは私を気に入ったらしい。

というわけで、

それが元カレのおじさんとの出会いのだったのだが、

今回のことで懲りたのか、

おじさんといる時、私はお酒を飲まなくてよくなった。

というか、友達とか誰かに会うと

出会った時のエピソードを、

おじさんが何度も繰り返すので、

だいぶ恥ずかしかった。















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