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実り過ぎた赤い実はなんだ

実り過ぎた果実は
鈍感に膨らんで
長い時間を費やして
甘やかされてきた

欲しいものだけを平らげた胃袋が
もたれかかってきて
重たくて落ちてきそうな雲
やがて泣き出して雨になる
雨は雪になり降り積もった

この潔白の大地に
赤く弾け散ったものは
血ではなかった
数字なのか
思考なのか
夢なのか
神話なのか

春を期待していたのに
気の病に侵されてしまった
風評だけが吹きつけてくるからだ
怖くて身も心も悴んだからだ

しかし退廃しているのは
傷口の一部分だけだ
鳥よ咥えて連れていって
くれないか

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