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青く残る落書きを胸に

僕の心の壁に書かれた君の落書きは いまだ消されずに残っていた

君の机に僕の名前が 誰にもわからぬ暗号として 彫刻刀で掘られていた

君の鼓動に耳を傾けられぬ程 僕は子供で 暗号を解いても何もできず 

数学の宿題の放物線上に残した君への答え 

美術のデッサンの中に隠した君の面影 

自ら引いた白線を踏み超えることができぬウサギのように震えている

一方君は言葉にならない愛の種を毎日グランドに蒔いて 

校庭全体をキャンバスにして大きな声で夢を描き

夏には花を咲かせ 秋にはその実を収穫 ますます黄金色の蛹となる

いつも僕の前を歩く君は振り帰る度に満面の笑みを投げかけるも

いつも僕は逆光で君の顔をみつめられず うまく応えることができない

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しかも転ぶことを恐れるがあまり 足元ばかり見ていたので

君と並んで歩く勇気を持てず いつのまにか季節は過ぎてしまった

君が遥かムンバイで全身を使い踊りつづけていることを風の便りで聞く

君の足かせとならぬことに胸をなでおろす哀しさ 

君の時間に私が関わらぬ安堵と切なさが 胸の底でのたうちまわる

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私の頭に上昇してくるモンスーンの火照りが 

長く時を刻まぬ柱時計の針を動かす力を押さえつけていて 苦しい

熱い涙とデッキブラシで落書きを洗い落とそうにも 洗い落とそうにも

心に刻まれし君の言葉は消えず 

幼い頃は上ばかり見ていて一点の曇りなき青空に

自由に旗めく一点の凧を目指し それをあげている友に向かって走る私

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上ばかり見ていたので 時にマンホールに落ちるも

擦り傷に目も向けず 涙も見せず 目に見えぬ 何かを掴み 

這い上がる僕を思い出させてくれた 蒸し返しの君の言葉

青く残る落書きを消すことをやめ 体の一部に刻み柱時計の針を動かす


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