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鎮座DOZODESS


冬なのに夏の夢をみた。
舞台は夏祭りの夜。
広い運動場のような場所にぐるっと屋台が並んでいる。


私は屋台を一通り物色中で、買うものを決めかねていた。
しばらく歩くと、
やたらと見覚えのある人が屋台をやっている姿が目に留まった。


鎮座DOPENESSだった。


「へいらっしゃい、へいらっしゃい。
お姉さん!ちょいといかがですか?」
とリズミカルに声をかけられた。

お店のテントは怪しさ満点な紺色の無地で、何屋さんか不明だったが
よく見るとおでんを売っているようだ。

私は「鎮さん、大根とウインナーと厚揚げください。それと、こちらの底にあるのはこんにゃくですか?」
と尋ねた。
まるで鎮座DOPENESSだと信じて疑わない口ぶりである。
彼はコクリと頷き値段を伝えると、私はその金額分のお金を払った。

途端に彼はスラリとした腕を軽快に動かし
「そうです、そうです。
これはおでんです。俺はDOPENESS、君はどなたです。
おでんをどーぞです。
鍋にいっぱい敷き詰めら〜れた
これはこんにゃく、三角のこんにゃく。」
とラップをし始めた。

私は元から鎮座DOPENESSのリスナーだったのでこの信じられない状況を嬉しく思い、
気付けばお腹が空いている事も忘れ
すっかりフリースタイルに聴き入っていた。


満足顔で家に帰りつき荷物を置くと、
そこにはおでんの姿はなかった。


「やられた。」


鎮座DOPENESSのにやりとした顔が脳裏に浮かんだのだった。

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