ゆとりのゲーム感想「ガンバード」
【ハード】Nintendo Switch
【メーカー】彩京、ゼロディブ
【発売日】
(AC稼働日)1994/9/26
(本作の発売日)2017/12/7
【購入日】2023/10/31
【定価】880円(DL版)
【購入価格】880円
【初クリアまでの時間】51時間
【はじめに】
ゲームの面白さは普遍的なものである。決してハードの性能なんか関係ないと。時代がどんなに進歩しようとも遊びの面白さというのは風化しない、これは私が今までずっと信じてきた考えである。昔のゲームは今のゲームと比べて面白さや気持ちよさが伝わりにくいだけだと。
面白いと感じる要素の1つとして、達成感、というものがある。人間もとより動物は適切な範囲内で与えられる苦痛や障害を乗り越えることで得られる達成感が大好きなのである。ヤーキーズ・ドットソンの法則って知ってっか?
・・・いや、私もさっき調べて出てきたのを言ってるだけなんだけどさ。「動機づけには、罰やストレスなどの不快なものが一定量あったほうが、効率が上昇する」というのを証明した実験によって立てられた法則らしい。これはゲームにも当てはまり、只管平坦なゲームよりも難しいゲームの方が得られる達成感が大きく、それを得る為にプレイヤーは必死に食らいついてプレイするみたいなのだ。
・・・まさにレトロゲームをプレイする動機にふさわしいじゃないか。今のゲームと比べて不親切で難しいからな。だから、貪欲なゲーマーはレトロゲームをやれ!弾幕がエグいシューティングとか!急にパスワードとか要求されるアクションパズルとか!なぁ、やろうぜ!?
・・・別に難しいゲームなんか今のゲームでも充分摂取できるよな。あと、不親切と難しいって微妙に違うし。はぁ…
・・・で、まぁ、シューティングですよ。シューティング。難しいことが面白い、という理論に感銘を受けたなら、シューティングはどうなんですか?と。グラディウスの時に言ったと思うんですけど、私、今度の4月から社会人でして東京で働くんです。東京って言ったら「ゲームセンターミカド」じゃないですか?え?知らない?
まぁ、ゲームセンターの聖地みたいな場所っスわ。HPだけだとどういう場所か分からないと思うけど、
もうイカニモなゲーセンでしょ?私はここの住民として楽しく暮らしたい訳ですよ。で、その為には、あることが必要だと思うんだ。
それは、「格闘ゲーム」か「シューティングゲーム」のどちらかにハマること。
まぁ、アクションとかパズルとか別のジャンルのゲームもあるし、この2つのジャンルに絞るのがオーバーな言い草なのは承知してるんだが、賛同してくれる方も多いと思う。
90年代のゲーセンの代名詞と言えば、やっぱり格ゲーか弾幕シューだったと思う。私は体験していないので分からないが、当時を記録した雑誌や当時ゲーセンで遊んでいた人達の話を聞くと、この二種類のどちらかに心酔していたゲーマーが非常に多い。80年代と違って、ハードのパワーも上がり、家でも充分楽しめるゲーム環境が出来上がっていくにつれてライトなゲーマーは、ゲーセンに行く意味が薄れてコアなゲーマーだけが残った。そんなゲーセン事情と比例してか、当時のACゲームもよりコアなゲーマーに向けたものが増えて言ったと思う(この辺は適当に話してるから流して)。より深い駆け引きが楽しめる格ゲー、より高難易度を追究する弾幕ゲー…両者が双璧をなすゲーセンは混沌を極めたと察する。
で、私はシューティングの方に興味があったんだな。正直、素人の私から見てどれも一緒に見えるシューティングを覚えて極めたら、長いことゲーセンで遊べるだろうと踏んだわけだ。フッフッフッ…武者震いしてきたな。ここから新しい道を歩み始めるんだ。よっしゃ!いっちょやるか!!!
・・・・・
そう思い立ったのが、2023年の6月ぐらい。初めに挑戦したのはPSに移植された「雷電」だった。
が、撃沈。ステージ2すらも超えることなく終わった。
次に挑戦したのは、PS2に移植された「紫炎龍」。
これも撃沈。ラスボス相手に脅威の200連敗をたたき出し、奇跡的に勝つも、二度とプレイすることはないと決意したのだった。他にも色々触ってみたが、全て失敗。もうやりたくないな、と思うほどには負けた死んだ。ぽんぽこぴーん。
はぁ…私、シューティングが苦手なのが最近分かったんですよ。しかも、超が付くほどのド下手。自分のアイデンティティが"ゲームが上手い"ことぐらいしか無いもんですからそれはそれは落ち込んだわけです。「社会人になったぐらいには怒首領蜂とか余裕なんじゃね?」とか言っちゃう程の超絶おバカな私でしたが、この件については、かなりショックでした。
そんなトラウマを抱えつつ健気に今の今まで生きてきたある日、私は新幹線に乗って家に帰ろうとした。到着の時間まで、いつもならPSPでFC,GBを遊ぶんだけど、その時はたまたまPSPを忘れてしまった。あるのはSwitchのみ。しかし、もう大体のものはクリアしたからやるソフトが無い。Slay the SpireもEnter the Gungeonもクリアした。クリアしたゲームをもう1回プレイするのもな〜うーん…
色々手持ちのソフトを物色していたら「ガンバード」にカーソルがあった。そういえば、シューティングやる!とか言ってたな。ちょっともう1回腰を据えてやってみるか…
偶然とタイミングが重なってプレイすることになった初代ガンバード。このゲームをキッカケに私はようやっと弾幕シューティングに対する向き合い方を知ることになったのです。的な?
【ゲーム概要】
「ガンバード」は、1994年にアーケードで稼働を始めた縦スクロールシューティングゲーム。開発・販売は彩京。「戦国エース」に続き、彩京が放った縦シュー第2作目である。 全8ステージ。分岐あり。
縦シューというと、「怒首領蜂」や「虫姫さま」といった弾幕がイメージされるが、まだこの時代は良心的で、弾幕というのもメジャーではなかった。弾幕ゲーと呼ばれるものは2000年代以降の作品から増えてきたんじゃないかな?というのも、色々複雑化していった縦シューを一発で是正した、「雷電」を筆頭に、シンプルなゲーム性を土台としたシューティングが再び評価されるようになったからだろう。
本作もその流れを汲んだからなのか、ゲーム性はかなりシンプルである。操作は8方向のレバー操作とショット、ボム、これのみである。他にはボタンを一定時間押して放つ溜め撃ちとアイテムによるパワーアップ。東亜プラン製の縦シューや雷電とほぼ変わらない。
では、本作の特徴で言うと世界観とキャラである。本作の舞台は19世紀のヨーロッパをモチーフにしており、ステージもスチームパンクなものが多い(途中からあまり関係なくなるが)。キャラクターもそれに合わせているのかステレオタイプの魔法使いやトレジャーハンターのキャラが登場する。他にも自作のマシンで応戦するジジイや筋斗雲にのったチャイナ姉ちゃんとキャラの一貫性を崩したキャラも。これらのキャラは自機として操作が可能でシューティング=兵器、重機、バリバリのミリタリーといった考えを払拭しようとも思える。というかマトモなキャラがいねぇ…
そう、このキャラが複数あることが本作の魅力とも言える。ゲーム開始時にキャラを選ぶことができるのだ。キャラごとに性能が違い、攻略法も少し変わってくる。当時、格ゲーが流行っていたから"キャラ"という要素を入れることでプレイヤーの間口を広げようとしたんだと思う。本作はシューティングにも関わらず、ストーリーに力を入れており、キャラごとのエンディングがある。プレイ中にサクッと入るだけなので、テンポが悪く感じずに世界観を楽しむことができる。
他にも、敵に触れてもダメージを受けない、ボスとの密着が可能、前半の3つのステージは4つの中からランダムに選ばれる等、従来のシューティングでは見なかった要素もある。世間の評価も高い方で本作をシューティング入門の作品として勧める人も多い。
概要は以上。
【感想】
やけにあっさりした概要であったが、シューティングガチ初心者からしたら、「雷電」にキャラ要素と溜め撃ちを加えただけのものとしか思えなかった。「彩京弾」と呼ばれる彩京シューの代名詞である高速弾もどの弾のことを言っているのか分からなかった。
私が本作を買った理由としては、そこそこメジャーであるというのと、STGの難易度wikiというサイトでかなり楽なレベルであると書かれていたからだ。
うーん、音ゲーをやっていた頃を思い出すな〜 お金が無いから、Wikiや動画を見ながらどうやって攻略するかをイメトレで手を動かす(大抵上手くいかずに爆死)、というキモオタムーブしてたわぁ・・・
しかし、音ゲーと違うのは、表記レベルと乖離しすぎているハードルの高さ。音ゲーは多少詰まる所はあっても1ヶ月ぐらいでレベル10、20、30と上達していき、本格的に詰まるのは上級者入口と呼ばれるレベルからである。
Wikiによるとガンバードは17。初心者でも半年ほどでクリアができる程度のいわば"登竜門"としてふさわしい難易度であろう。ネットには本作に関する多くの情報や感想が転がっているが、ほぼ全てに本作を初心者に薦めたい、というコメントが含まれていた。
ふんふん、なるほどね。雷電や紫炎龍であえなくボコボコにされたが、ちょっとレベルが高すぎたみたいだ。じゃあ、チャチャッと本作をクリアして改めて縦シューの門を叩きますか・・・
・・・
・・・・・
バリクソムズいやんけ!!!!!
いや〜無理やな。1CC(ワンコインクリア)なんぞ夢のまた夢。雷電程ではないが、紫炎龍と同じぐらい果てしない道が見える。うーん、どうしたものか。
まず、弾。速い。特に黄色の高速で向かってくる弾が絶対避けられない。次に密度。動画で見た東方や怒首領蜂ほどでは無いが、初心者が困惑する程にはある。当たり判定も大きいので被弾待った無し。そんで、敵の数。これもそこそこある。
私は苦悶した。これが初心者向けなのかよォォ…!いや、難易度を下げたモードもあるが、やっぱり"ノーマル"モードで1CCしたい… とはいえ、行けて4面の私には茨の道だ。どうしましょ。
・・・しょうがないがやるか。
秘技!!!
攻略サイト!!!
こうりゃくサイトをつかうとは
なさけない…。
・・・うるせ。真似るなんぞ勉強の基本のキじゃねぇか。どんな天才でも最初の1歩を踏んでるんだ。同じ道さ。じゃあ、何でずっと足踏みしてるのかって?ぐぬぬ…
一筋縄で行かないと思い、思い切って攻略情報をクリアする前から解禁したが、本作、もとい縦シューは何ら問題なかった。見てもクリア出来なかったから。
攻略情報を見るに、シューティングというのは、パターンを確立する→パターンを正確に実行する、が土台となっており、弾よけのテクニックはそこまで重要ではないらしい。ほう…動画とかでは、ヒュンヒュン避けてるイメージだったが、あれは計算された避けだったのね。アクションの要領とほぼ変わらんな。
で、攻略を見てもパターンを確立するの過程をスキップしただけで、パターンを実行する方は自力。といっても動画とかでも確認してるんだし、イケるやろ。初心者に優しいらしいマリオンを選んでいざ出陣。
・・・前言撤回。無理。しんど。は?
いやね、舐めてましたわ。キャラの動かし方がアクションよりもカッチリとしていてちょっとでもズレるとボカン!だ。まだ、ステージ3も越えられないのに死にまくる。マリオンのウワー!という断末魔が非情にも木霊する。スマソ。
しかし、もうこれ以上ズルはできない。難易度を下げる、というのもスタート時にはできるのだが、ヌルすぎるし表記が「easy」の他にも「child」「monkey」とかもあって笑ってしまった。難易度を下げるのは癪に障る。頑張るしかないのだ。どうすれば上達するのか方法が見当もつかなかったので、1プレイごとにメモを付けることにした。死因とどのステージが苦手なのかを自分で把握するためだ。
・・・しかし、全くといっていいほど役に立たなかった。ステージ4で死んだかと思いきやステージ1でも死んでしまう。パターンが入っているはずなのに、安定しないのだ。これは長くなりそうだぞ…
10時間ぐらいプレイしてやっとステージ4を突破できた。長いな。1ステージ1,2分くらいでクリアできるから全7ステージの一周は10分くらいか?いや、下手すぎるだろ。まだ半分あるの?ふぅ。ステージ4に入ると、弾の数が明らかに多くなり、素人目線でもこれはパターンを組まないと避けれない、というのが分かる。攻略サイトと動画を何度も見ながら、時には自分の動きを取り入れながらパターンを組んでいく。
始めてから15時間経過した辺りでステージ5を突破できた。これは、ステージ5が難しいんじゃなくてそこまで行くのが大変なんだよ。大抵ステージ3,4で被弾してしまう。リセット。こんなにも安定しないんかってぐらい当たる。この辺から段々イライラしてきて、このゲームの面白さというのが分からなくなってくる。ステージを突破した時はやっぱり楽しいし、動画とか見てると「自分でもいけんじゃね?」みたいに思えるんだけど、やっぱり下手だ。軽く自己嫌悪に陥ったよ。はぁ…
始めてから30時間が経過。パターンは完全に覚えたものの雑なプレイが目立ってくる。ボムのタイミングが少しでもズレると被弾するシビアさに無償に腹が立ってきた。向いてないのか?こんなもんなのか?挙句の果てにステージ1で被弾することも増えてきたが、ステージ6をクリア。
あとは最終ステージなのだが、まだ道は長そうだ。だって1CCってことは道中1回もミスは許されない。一度でもミスをすると、パワーアップ状態が解除されるので、再起はほぼ不可能だ。こんなの難しいに決まってる。私もかなりゲームはやってきたが、ノーダメでクリアできたのは、100回以上クリアしてしゃぶりつくすまで遊び倒した初代ロックマンだけだ。あれは特別好きだからやり通せたのであって普通に遊んだ程度のゲームはそこまでやり込んだことが無い。
私は・・・
このゲームを始めたことを少し後悔し始めた。
プレイを初めてから40時間。ラスボス戦どころかそれ以前でも全く安定しない。
ここで被弾。
ここが避けれず、
ここは運任せ。
ここはタイミングが完璧に合わないと物凄い弾の数が来る。
私は再度パターンを見直したり、ボムのタイミングを少しズラす等調整を施していて少しでも安定するように心掛けた。
・・・
・・・疲れた。
そして、プレイしてから51時間か経った。
幾度となくリセットし、私は無我の境地に達していた。
ただただ決められた位置にマリオンを動かし、弾を撃つ。何度も見たステージ7のドラゴンを倒してラストのステージまで来た。
途中の中ボス5連戦でも、弾を避け、見つけた安全地帯で弾を撃つ。この時もかなりボーッとしていた気がする。
そして、ラスボス。溜め撃ちからのボムで先制攻撃を仕掛けた。もう一度ボムを撃ち込み、後ろに下がる。
ババババババババッ!
適当に弾を撃つ。
ドドドドドーン!チュドーン!ドドドーン!
地に落ちていくラスボス。
え、倒した?
・・・
・・・・・
うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
よっっしゃっっ!!!!
うわぁぁぁぁ…!
いぇすイェスYES!!!
ふぅぅぅぅわぁぁっ!
あ〜しんどかった〜 もう何だかんだ1ヶ月近くやってたよ。もうやらん。ちょっと暫くはええわ。うん…!頑張った!!
いや、でもね、ここまで頑張れたのはやっぱりこのゲームが面白いのは勿論、"丁度良い"難易度だったからだと思う。現に雷電とかは投げてるから。本当にパターンの完成度が全てだと思う。攻略サイトも最初のうちは頼ったが、やっぱり最後まで行くには自分の経験をもとに作ったパターンだった。それとシューティング力。明らかに上手くなってるのが分かるよ。何度も積み重なった"死"が先に進めた時の達成感を何倍にも増幅してくれる。先に進めた時に自分の努力が報われたと肌で感じるのが気持ちよかった。脳汁がバシャバシャだったよ。
キャラについて。キャラがウリになっているゲームなのだが、あまり魅力には思わなかった。それぞれ別々のアニメの人気7位ぐらいのキャラみたいな感じ。唯一使い込んでいてマリオンには愛着を持てたが、それ以外のキャラは・・・微妙だな。
性能差について。これもマリオンばかり使っていたのでよく分からなかったのだが、貫通レーザーが強いバルナスと弾消し能力があるヤンニャンは使いやすそうだった。しかし、それぞれのキャラの当たり判定が異なっているので、一つのキャラをやり込んだ後に使うと矯正するのが大変そうだと感じた。
世界観について。ドット絵は細かな所まで書き込んでいてすごく綺麗だった。BGMも爽やかな曲が多く、ファンタジーである本作の世界観を彩っていた。
感想は以上。長かった。ふぅ…
【まとめ】
さて、早速家庭用のはクリアできた。ただ、これはアーケード版をクリアする為の布石でしかない。さぁ!ゲーセンの世界に飛び立つぞ!
・・・
・・・・・
・・・・・・・
お、置いてねぇ…ゲーセンミカドにガンバードが無い…前に行った時はあったはずなのに。はぁ…仕方ない。交流ノートが置いてあったので、私の気持ちをストレートに綴って本作の攻略を終わりにしたいと思う。
シューティングからは少し離れようと思う。というかトルネコやってたからやっとそっちが再開できる。またな、シューティング。叩いて開いた門は申し訳ないが閉じさせてもらう。ただこの門はまた開くことになるだろう。今は少し羽を休めたいだけなのだ。
よし、トルネコやろ♪
(本作はSwitchやPS4等でアーケード版が配信されている。縦置きモニターがあればより当時の環境に似たプレイ感覚が味わえるだろう)
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