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ゆとりのゲーム感想「妖怪道中記(PCエンジン)」


【はじめに】


80年代のナムコは正直狂っていたと思う。「ドルアーガの塔」のヒットが彼らをおかしくさせたのだろう。「ドルアーガの塔」と言えばやはりその理不尽とも言える難易度の高さが有名である。しかも、敵の攻撃が激しいとか穴に落ちてすぐ死ぬとかそういうのではなく、「何をすればクリアできるのかが分からない」という異次元の難易度調整だった。今こんなゲームが出ればすぐにク〇ゲーと扱われていただろう・・・いやThe Witnessのようにカルト的人気になるかもしれないな。未だに物好きはそこそこいるものである。

しかし、当時のアーケードではこれが大ヒット。全国のプレイヤー達を熱狂させ、ゲーセンが一体となってドルアーガの攻略を目指した。あぁ、そんな楽しいゲーセンは見たことないな。私の世代だとムシキングとかが流行っていた。知らないお兄ちゃんがカード貸してくれたりしたな。今の人からしたらこれもオドロキの一つなのかな。でも、80〜90年代のゲーセンは一度は体験したいものだ。それ以来、ナムコは高難易度を超えた理不尽なゲームをいくつかリリースするようになった。「イシターの復活」、「ローリングサンダー」、「パラデューク」、「アサルト」etc.....私もレトロゲームは好きだが、80〜90年のナムコ製ゲームはほぼクリアしていない。

しかし、そんなナムコが私は大好きである。ファミコンで一番好きなメーカーはと聞かれるとカプコンと迷うがやはりナムコである。理由は単純。めちゃくちゃ面白いからだ。ゲームシステム、世界観、キャラクター、遊び心、どれひとつとっても一級品。確かに難しいゲームは多いがクリアした時の達成感はハンパなかった。ナムコのゲームは私の血肉となり、今でも私の身体で渦巻いている。本当にあの時代に生まれたかったなぁ。私が小学校高学年ぐらいにはもうバンダイと合併していた。今のバンナムはお察しの通りなので、好きでは無い。

そんなナムコが1987年にリリースしたアーケードゲーム「妖怪道中記」も当時人気を博したと聞いている。可愛らしいキャラが描いてあるパッケージと積極的な宣伝。相当力を入れていたんじゃないかな。

今回、「妖怪道中記」のPCエンジン版をクリアしたので紹介する。

【ゲーム概要】

PCエンジン用ソフト
「妖怪道中記」

「妖怪道中記」は1988年にPCエンジン用ソフトとしてリリースされた。先述通り、元は1987年にリリースされたアーケードゲーム(以下AC版)である。PCエンジンだけでなくファミコンにも移植されていたようだ。

ジャンルは面クリア型の横スクロールアクション。マリオとかロックマンみたいなアレだ。

プレイ画面

ストーリーは以下のような内容になっている。

いつも村の人に悪さばかりしている少年たろすけは、神様に罰として、眠っている内に地獄の入り口まで運ばれ、閻魔様の裁きを受けるべく生きながらにして地獄巡りをすることになってしまった。運命を切り開くべく、神様から授かった「妖怪念力」を武器に、たろすけは妖怪蠢く地獄世界を練り歩くのだった。

妖怪道中記
Wikipediaより

本編で語られることは無いので、どうでもいい系だな。特に印象に残るものではないだろう。

操作は
・左右移動
・ジャンプ
・気合弾
・タメ

以上だ。

唯一の攻撃方法である気合弾は使い勝手が良く、敵にヒットすればすぐに撃ち直すことができ、連射できる。しかし、撃った気合弾は自分に戻ってくるのだが、この弾がたろすけに戻らないでずっと周りをクルクルしてしまうことがある。そうなると面倒。次の弾が撃てないのだ。ショップで強化していくと気にならなくなるが。下ボタンをタメをすることができ、最大まで貯めると貫通弾に変わる。しかし、溜めすぎると疲れて一定時間動けなくなるので注意。

あと、ジャンプであるが壊滅的である。ものっっっっそいジャンプ力が低い。(タイトーの地獄めぐりもそうだが、何で坊主のコイツらは皆総じてジャンプ力が低いんだ・・・)
足場を次々に乗り移るジャンプアクションの要素も入っているので正直このジャンプはストレスを貯める調整だった。

ボス戦は少し特殊なもので、赤鬼・青鬼と戦う際には主人公のご先祖さまである「もんもたろー」を操作する。コイツは幽霊なので、上下移動ができる。攻撃も念仏弾に変化し、相手をホーミングするものとなる。こっちの方が強そう。

ボス戦

家庭用移植に定評のあるナムコゲーだが、今作も大幅に劣化なんてことはなく十分に楽しめる作品となっている。ただ、完全移植とはいかずマップを変更せざるを得なかったようだ。理由は、AC版の難易度の問題である。AC版は難易度がハチャメチャに高くクレームも多かったらしい。なので、家庭用に移植する際に難易度を緩和したマップが新たに用意された。AC版では段差や階段があって上下スクロールがあったのに本作は横に一本道があるだけで短縮されている。

さて、本作の最大の特徴は「お金」の存在だろう。地獄の沙汰も金次第、ということなのか本作ではお金は攻略には欠かせないものとなっている。後述するが、本作はお金をどれほど稼ぐかが攻略のカギとなっている。強化アイテムと交換するにも金。ステージを突破するにも金。少ない体力を回復するにも金がいる。金、金、金!!本作をプレイした子供はなんてお金は大切なんだ!と痛感するだろう。いや、ちょっと違うか。
とにかくこのゲームではお金を稼ぐためには多少のリスクも犯さなければならない程、重要なゲームシステムの根幹である。

あと、オリジナルとの違いとして「マップ分岐」があることだろう。これはPCエンジン版にのみ追加されたものである。AC版は一つの広いマップを登ったり下ったりしながら進んでいくものだったが、本作ではマップを切り替える、という手法を取っている。どういうことか。本作では落下死が無いにも関わらずそこらに穴が存在する。そこに落ちると別のマップに切り替わることができるのだ。これを利用して横一直線の単調なマップではなく、あちこち探索させるゲーム性となっている。中にはスタート地点に戻したり、何度も同じ場所を通らせるような構成になっているステージもあるので、ゴールにたどり着く為のルートを探す楽しさも味わえる。

もう一つの特徴が「マルチエンディング」の採用である。ADVやサウンドノベルでよく採用されている印象だが、アクションゲームでこれを採用しているのは珍しい。本作では最終ステージの進み方によってエンディングが変化するようになってる。必要があったのかはまた別の問題。

他にも特徴としてアイテムを買える「よろずや」や博打を行える「サイコロ道場」なんかもあり、これもゲーム攻略の幅を広げていた。特に「よろずや」は当時先進的だった「ゲーム内のお金を使って自身を強化する」というシステムであり、この存在は横スクロールアクションで希薄だった"敵を倒す必要性"なんかを問い直すものだったと言えよう。


よろず屋
サイコロ道場

最後にひとつ。

本作はコンティニューが無い。

ヒヒヒヒ・・・ビックリした?最新ゲームの鬼畜難易度(笑)とは違い、レトロゲームは基本コンティニューなんか無いのだ!おそれおののくがいい!!!

・・・いやいや、そんなことは無い。このゲームがおかしい。AC版やファミコン版にはあったんだし。難易度緩和が目的だったのになぜ削った?お前はアホか?

こんなところだろうか。

【感想】


このゲームも中学の時にWiiのバーチャルコンソールでプレイしていた。私が買ったPCエンジンソフトの三つの内の一つだ。これと残りの二つは「R-TYPE」と「源平討魔伝」だったのだが、その二つが面白すぎて影が薄い印象だったな。あぁ〜源平討魔伝やりてぇ〜

しかも当時はクリア出来なかった気がする。ただ、そこはもう安心できる。なぜかって?フッフッフッ・・・私はもうレトロゲームを何百本もクリアしている。「魔界村」も「忍者龍剣伝」もヨユーなのだ。いくら理不尽だなんだ言われても所詮は横スクアクション。私のホームグラウンドにすぎん・・・!

さぁ、どっからでもかかってきなさい。そうさなぁ、ザッと30分あればエンディングが見れるだろうな。フフフ・・・

・・・

ウ、ウギャァァァァア!!!

か、変わってない・・・

難しい・・・

うわぁ、こんな難しかったっけ?下手したら魔界村よりもキツいわ。

そう、本作はやはりというかかなり難しい。難易度緩和でAC版よりもヌルくはなっているが、和風魔界村といっても差し支えないだろう。敵の配置や操作性等、今の横スクと同じ感覚でやるとあまりの理不尽さに不意打ちをくらう。

まず、気になったのが敵の配置である。例として魔界村と比較するが、魔界村は敵の配置が完全に固定されている。レッドアリーマーが急に出てきたりとかは無い。ただ、妖怪道中記は違う。さっきプレイした時は出なかったのに、急に変な敵が空中から出てきた!みたいなのが多発する。これによって動きを完全にパターン化する攻略法は厳しくなってしまった。しかもタチが悪いことにランダムに出てくる敵は一度に複数体出てくるんだな。これによりいきなり被弾してしまったりする。これは私が嫌いな配置パターンである。どんなに暗記し、どんなに極めても運一つで崩されてしまうこのパターンは嫌いだ。最初はノーダメクリアまで頑張ろうと思ったがこれのせいでやる気が一気に失せた。

あと、お金を強制的に払うイベントは少し窮屈に思えた。ステージ3をクリアするには、ゴール地点で30000Gを払う必要がある。つまり、その時点で30000Gを持っていないと先に進めないのだ。そうなると、お金を優先的に拾う必要が出てきて、そのお金も自分の強化に使えない。お金を集めることを意識させるギミックなのだろうが、私は強制的にお金を貯めさせられているような気がしてストレスだった。

フィールドの狭さも難易度の高さに拍車をかけている。本作のフィールドはとにかく縦が狭い!敵を避けようにも避ける場所が無いのだ。幸い、遠くから弾を撃ってくるような奴はいなかったが、突進してくるやつは先に倒すか、逆方向に逃げながら倒すかだ。一旦避けて・・・みたいなのはできない。これによりとにかく被弾する。被弾してノックバックする。それでまた被弾。そんなことを繰り返していくうちに体力が無くなり、ゲームオーバー。キツすぎる。

一番の問題は、裏技でのコンティニューがない事だ。いや正確にはあるんだが、公式もそれについての情報はリリース当時出さなかった。そして、いよいよ現在まで公式が出さなかったという。
深くは言わん。死ね!

・・・なのだが、つい最近、有志の手によって全てのパスワードが分かったらしい。解析するのに30年余りかかったそうだ。本作のファンや当時を知る者達からしたら何やら凄いことだったらしいが、私には凄さが伝わらなかった。これで当時公式に恨みを募らせていたプレイヤーも報われるだろう。

以下に調査記録を記した記事のリンクを貼っておく。

本編に戻るぞ。とにかく難しいゲームには変わりない。今回はこのゲームをクリアを目標にプレイした。

うん、プレイ感覚自体は問題なく楽しめる。先述した問題点もあるが、やればやるほど進めるようにはなってきた。魔界村を攻略していた時もこんな感じだったな。最初は「何だこのク〇ゲー」と思ったが、完全にこのゲームを読み切った途端、「素晴らしいゲーム」だと評価を覆した。中身は変わってないのにね。要は自分がゲームを攻略したことでストレスを感じなくなったからだろう。普通に考えておかしいゲームバランスなんだが。はぁ、でもアクションゲームなんかこんなもんだよ。

ステージ1と2はノーダメでクリアできるようになった。問題はステージ4である。ステージ3で被弾が増えていき、4の中ボス三連戦でどんなに金を増やしても力尽きる。特に岩のボスがどうにもならん!被弾しないのは無理なんじゃないか?体力がみるみる無くなりあっけなくゲームオーバー、という展開が連発する。

何か手は無いのか、と色々やってみるとステージ2の奥に隠しアイテムであるハートを見つけた。これは自分が体力が無くなった時に体力を満タンで復活させるアイテムである。これと店で売っている饅頭を使い、何とかステージ4も突破した。

さて、ステージ5なのだが、あっけなく突破。あれ、思いの他簡単だったな。と思っていると、「にょらい」が道を塞いでいた。

「お前にいくつか質問をする。嘘偽りなく答えるように。」

はぁ。答えてやろう。

そして、そのにょらいは色々な質問をしてきて、私は正直に答えた。すると、ある所で同じ質問をループするようになった。え、何これ?

延々とループ。気づけば30分が経っていた。これどうすればいいん!?そう思って私は泣く泣く攻略を見た。すると、

「ある質問が出された時にだけ操作が効く その時ににょらいを通り過ぎると進める」

・・・

分かるかぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

キレた。クリア目前で再プレーも考えていたが、もうやらん。二度とやらん。こんなのありか。しかも本作オリジナルの仕様らしい。

はぁ。これがウケると思ったんですかナムコさん。ドルアーガがウケたからって何も家庭用でこんなチョケなくてもいいじゃないですか。普通にテンポの良さを阻害する要素となっており、私はストレスMAXになっていた。

そして、攻略通りの動きをしたらボスもいなく、クリア。・・・だったのだが、なぜかバッドエンド。うーん、確かにグッドになるようなことはしてないが。どこでバッドになる分岐になるのだろうか。

クリアはしたので攻略を全部解禁。すると、グッドエンディングの条件を発見。

「最終ステージでお金を取らず、敵を倒さなければグッドエンディングです」

・・・

・・・・・

・・・はぁ。

・・・はぁ?

はぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!????????!!???!!!

難しすぎるわボケェェェェ!!!!
!!!!!!!!!!!!

しかもどれか1回でもアウトってふざけんなヨォォォォ!!!!

もう絶望した。はっきりと絶望した。もう無理だ。このゲーム。極めようもんなら私はストレスで一気に全ての内蔵をダメにしてしまいそうだ。

が!しかし、やってみた。ゲーマーの意地である。クリアだけでも相当な奇跡だったが、リセットしもう一回完全クリアを目指した。運の要素でブチ切れ、ジャンプの低さに本気で頭を抱えたが、ようやく完全クリアできた。はぁ、本当にキツかった。

プレイ時間は10時間程度。しかし、はるかに長い時間を共にした気がする。一周自体は15分くらいで行けると思う。

音楽はあまり耳に残らなかった。和とテクノが合わさった音楽だったが、どことなくのんびりしていて緊迫感に欠けていた。

グラフィックは、うーん微妙。少し綺麗なファミコン程度だと思う。AC版はヌルヌル動いて凄かったが、こちらは特に凄いとは思わなかった。ハード相応のものである。

こんな所だろう。色んな意味で疲れてしまった。

【まとめ】


魔界村が好きな私にとって魔界村に変わるやりこみゲームの候補だったのだが、敵の配置パターンとにょらいの要素でお蔵入りである。ゲーム自体はよくできていたのに残念だ。
最初に言った通り、ナムコはこんな理不尽なゲームばかりを出していて狂っていた。今でも通じる要素があるゲームなのにも関わらず、イマイチ現在でも話題にならないのはそんな理由からなのだろう。好きとは言ったが、やはりこの理不尽さは頂けないものだな。




(本作をプレイするには実機かWiiのバーチャルコンソールでプレイすることができる。前者は購入するか後者はデータが入ってるWii本体を探すしかないようだ。AC版はPS4、Nintendo Switchで配信されているのでプレイしてはどうだろうか)


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