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ゆとりのゲーム感想「トルネコの大冒険2」


【ハード】PS(PS2の互換機能)
【メーカー】エニックス、チュンソフト
【発売日】1999/9/15
【購入日】2022/12/6
【定価】5980円(税込)
【購入価格】1980円(中古)
【初クリアまでの時間】250時間

【はじめに】

思いの外、時間がかかっちまった。200時間以上遊んだゲームは、オンゲー以外だとコレとディスガイアぐらいか?RPG嫌いだと言っているのに…やれやれ。

さて、

比類なきJRPGの王として鎮座しているドラゴンクエスト。RPGといえば、ポケモンかペルソナじゃね?うんうん、私と同じ現代っ子だな!太古の昔、ドラゴンクエストというゲームがあったそうな。いや、今でも全然あるんですけど…
私はこのドラクエを避けてきた人生であった。それはもう徹底的に。一切の興味が湧かない所かドラクエをプレイすることはゲーマーとして未熟とすら思っていた。何考えてんだか。私の対義語はドラクエだと言っても過言ではない。ドラクエが右に行くならば、私は左へ。光と影。山と川。ドラゴンクエストとマンホール石井だ。う〜ん??

しかし、今となってはそれも昔の話。最近はドラクエにも足湯程度には浸かっている。入院中に遊んだモンスターズやGB移植の初代を只管メモや写真を残しながらワシワシ進めていったのは今思い返しても面白かった作品だ。食わず嫌いイクナイ。まぁ、単純にJRPGが好きじゃないだけなんだけどね。でもさ、それだとその辺にいるただのゲーオタじゃん?だから、ドラクエに絞ることで面倒な卑屈ゲーオタを敢・え・て演出してるってワケ。
・・・分かる?

昨年プレイした「ドラゴンクエスト(ゲームボーイ版)」

そんなドラクエだが、外伝というのが非常に多い。先程のモンスターズもそうだが、ナンバリング作品で登場したモブキャラが外伝の主人公となって活躍する、みたいな作品が多いのだ。その中で有名なものといえば、トルネコであろう。トルネコの大冒険である。

スーパーファミコンで発売された
「トルネコの大冒険」

ドラクエに抵抗感が無くなりつつある今ならこのゲームをプレイしてもいいだろう。というか、そろそろ「不思議のダンジョン」系のゲームに挑戦したいと思っていた所だ。苦手なドラクエと未踏のローグライク、この2つに近づくことで、さらに私のゲームに対する熱意やら幻想とやらといったアツい何かが込み上げて来るだろう。
・・・まぁ、無事飽きずにやりきればの話だが。

【ゲーム概要】

PS用ソフト「トルネコの大冒険2」

「トルネコの大冒険2」(正式なタイトルは略す。長い!!)は、PS1用ソフトとして発売された。後にディレクターズカット版がGBAに発売されるが、この記事ではPS1版にのみフォーカスする。

さて、トルネコ。日本に「ローグライク」という一大ジャンルを広めた立役者であり、現在でもこのゲームをやり込む人が後を絶たない程の完成度を誇るゲームだ。SFC時代に産声を上げたが、見事シリーズ化を果たし、PS2、GBA時代にまで続編が作られることとなった。

驚くべきはそのゲーム性の完成度。SFCの初代からPS2の3、外伝まで殆どゲーム性は変わっていない。同じ遊び方なのに何回やっても飽きないんだって。しかも、中毒になる人がわんさかおるらしい。
・・・ただ、それも一部の層のプレイヤーの話。よく中毒になるゲームとしてローグライクは挙げられる気がするが、別に一つのジャンルに固執するユーザーなんかいくらでもいるだろう。いつのまにか誰でも、手軽に、夢中になれるゲームとしてローグライクは美化されつつあるような気がする。合う合わないというものがあると思うんだが。

トルネコ2は中でも評判が高い。というかトルネコ自体はナンバリングが3つしか無い(ヤンガスとかいう外伝もあるが)。開発のチュンソフトはすぐにシレンというオリジナルキャラでトルネコのフォーマットを上書きしたからな。だから、2が特別人気というよりかは、シリーズの中では2が面白い、という消極的な理由も多少は含まれている。初代は色々足りない、3はやり込むには仕様がキツすぎる。2が丁度よく適度に難しい。こんなイメージでいい。といっても私は2以外やったことないので、適当に言っているだけだが。

ゲーム内容は只管にローグライク。ダンジョン系だ。"系"とまとめられるからには共通の要素があるわけだが、それは以下の3つに集約される。

・やり直す度にランダムに構成されるダンジョン
・やり直す度にレベルが1からスタート
・一度死んだらダンジョンの初めからやり直し

これらの要素は大体共通である。元々は「Rogue」というゲームが持つゲーム性だったのだが、コレ、ちょっとアレンジすれば面白いんじゃネ!?みたいな輩がわらわらと湧いた。その数があまりにも多いので、「ローグライク」という一大ジャンルになるまで発達したものだ。インディーズではこのローグライクのゲームの要素をさらに分解させた「ローグライト」というジャンルが幅を効かせていた。一時期本当にこのジャンルが多かったんだよ。(今も?)。
あー、ちなみになんだが私はこのローグライクとローグライトの振り分けにめちゃくちゃ厳しい。Dead cellsがローグライクと呼ばれると違うだろ、と突っ込みたくなるし、ただのハクスラがローグライトみたいに呼ばれるのもムカつく。分かりやすくする為にジャンルに分けたんじゃないのか?はぁ…

他にもグリッド移動の操作性や「空腹」の概念、呪い、モンスターハウスといったフツーの不思議のダンジョン要素も入っている。まぁ、所謂シレン系だ。シレンのような画面をイメージしてくれ。ポケダンを通っている人はそっちでもいい。

で、トルネコ2は初代と比べてどう変わったか、というとモンスターの数が増えたことが第一に挙げられる。初代をやっていないので分からないが、初代はたった32種類しかモンスターが出てこない。ちなみに本家ドラクエ1は40種類。いかに少ないかが分かるだろう。初代にも勿論、もっと不思議踏破がある訳だがこのモンスター数では延々と同じモンスターと戦闘を繰り広げる必要があるそうな。1000回遊べる、なんてまぁ無理だわな。下手したら普通のドラクエよりも変化が少ないだろ。
それに比べると2は130種類以上のモンスターが登場。色違いやコンパチもいるが少なくはないだろう。特徴あるモンスターも増え、それなりに変化は感じられるようになったと思う。

プレイ画面

他にもダンジョンが増えた。不思議、もっと不思議は勿論、「迷いの森」、「トロ遺跡」といった不思議に入る前のチュートリアルダンジョンが多く配置された。
・・・というか、初代が少なすぎである。ちょっと不思議、不思議、もっと不思議だけって!1000回遊べるのは虚偽すぎるな。
さらに、今作は転職ができる。通常のフォルムの商人以外にも戦士と魔法使いが新たに追加された。それぞれにできるアクションやコマンドが変わっているので、飽きさせない工夫となっている。また、それぞれの職業でしか攻略できないダンジョンもあるので、やり込み要素としてちゃんと機能している。

魔法使いに転職すれば
魔法が扱えるように

ダンジョン内にも変化が。一番大きいのは「店」が登場した。ダンジョンを探索しているとフロア内の部屋にランダムで店が登場する。そこには店員のガーゴイルがいて、アイテムを買ったり売ったりできる。単純にアイテムの補充ができるだけでなくダンジョン内で拾えないレアアイテムもあるので、店を見つけた時は脳汁がドバドバ出る。ミミックといった罠もあるのだが。
こんな「店」だが、ローグライクで店…といったらやはり泥棒だろう。トルネコ2でも勿論可能である。何ならアイテムで「とうぞくの壺」もあるので、公式が許している行為だ。

本作に限らず、ローグライクをクリアするコツとしては「アイテムを使うタイミング」である。これを正確に理解してモノにしなければ、クリアは到底無理だろう。某掲示板では、「シレンやトルネコをやり込むとエリクサー症候群が直る」といった書き込みを見かけた。エリクサー症候群とは、FFシリーズに登場する強アイテム、エリクサーというアイテムを使うのに躊躇していたら、ラスボス戦ですら使わずにクリアしてしまった、というあるあるネタである。本作はそんな生温い状況なぞない。1歩間違えれば死。アイテムの使用のシビアさが普通のRPGとは一線を画した難易度をもたらしているのだろう。

他にも「教会」という回復や途中離脱が行える施設もダンジョン内に登場。これも前作と比べての難易度緩和に繋がっているように感じる。

ふーっ、こんな感じか?大まかなシステムは前作と殆ど一緒で、それに色々付け加えたって感じだ。前作はローグライクというゲーム性一本で勝負しているかのようなゲームであったが、今作は肉付けされて大分JRPGっぽくなった。演出の面では進化してるし、何より分かりやすくなってるので、これでいいと思う。殆どシレンから引っ張ってきてるだけだけど。

【感想】

それで。まぁ、始めてみたわけだ。何の気なしに。軽ーく。言ったってもう色んなゲームをやってきたし、長くても50時間ぐらいで終わるだろう、と高を括っていた訳なんだが、これがどうにもこうにも、うんともすんとも上手くいかず、250時間かかってしまった。もう30時間ぐらいやった時から「このゲームは長い」と感じ、PSPにROMデータを入れて、通勤途中の電車の中でもPSPをモソモソやっていた。PS本体と同時並走でやってたもんだから、後述する不思議のダンジョン100F踏破は2回やってたりする。

一応、全てのダンジョンをクリアしたので、それぞれの感想を述べる。その後に全体の感想をちょびっと。いや、ドバっとかな。やっぱり250時間遊んだので、言いたいことは山ほどある。

・ちょっと不思議〜トロ遺跡

いわゆるチュートリアルダンジョンなのでここの感想を覚えている人も少ないだろうが、やり始めの時、めっちゃ死んだんよな。え、このゲームこっからもうムズいん!?って思ったもん。自分ってローグライク苦手なんだなって少しゲンナリした。

特に死んだのは迷いの森とトロ遺跡。ファーラットとエビルポット、きとうし、まどうし…コイツらに何回倒されたか。いわゆる初見殺しモンスで対策さえ知っていればなんて事ないのだが、バカなのか?と自分で言いたくなるぐらいにやられてた。まどうしを何回も素手で殴ったりな。ハッハッハ…正直、もっと不思議でしか攻略は見ないと決めていたが、この辺からガッツリ見てた。あー懐かしいな。4月にやってたな。

不思議以降のダンジョンと比べて武器やアイテムが貧弱なので、持ち込み無しだと不思議と同等に難しいと思う。特に迷いの森なんかはアイテム落ちてないからね。泥棒必須。しかし、フロア数は少ないし、モンハウもまだ無いので運が理由で負けることはほぼ無いだろう。不注意、ケアレスミス、愚行、ぐぬぬ…
ちゃんとチュートリアルの意味を成した適正な難易度だったな。もっと不思議までやり込みたい人は基礎を学ぶ為にチュートリアルダンジョンから持ち込み無しで頑張った方が後に響く。

・不思議のダンジョン(初回)

こっからが本番。初回なので28Fの悪魔の箱を倒せばおk。
・・・なんだが、全然キツイ。1ヶ月ぐらいここで足踏みしてた気がする。おそらく200回以上は死んでいるであろう。
一応、トルネコ2における最難関はもっと不思議か不思議100F踏破なのだが、こちらの方が記憶に残っている。ここでローグライクの立ち回りをようやく覚えたって感じ。今やればすぐにクリアできるとは思うが、それはもうローグライクをプレイする時の鉄の掟!みたいなのが身体に染み付いているからだ。私はバカなので、200回死なないと分からなかった。
というか、ここのダンジョンに限らず全体的にダンジョンの序盤である1F〜10Fがかなりしんどいと思う。序盤のモンスターは確かに弱いが、こちらの装備も弱い。裏を返せば囲まれたり不意打ちを喰らえばいくら雑魚でも即死んでしまう。20F辺りまででは同じ部屋に3体モンスターがいるだけでギリギリだ。ももんじゃですら強敵となる。いやマジで。ドラクエみたいな感覚では遊べないんだな。

また、素潜りでの挑戦となるとアイテムの貧弱さが目立つ。まず、剣。基本的に強い武器は拾えないと考えていい。ごくまれにせいぎのそろばんが落ちているが、それ以外は銅の剣やこんぼうといったパッとしないものばかりだ。盾はまだマシだが、皮の盾が拾えるぐらいでそれ以外はやはり微妙である。したがって、ダンジョンを切り抜ける為の強い武器は店で売っているものが大半である。お金や泥棒の価値は高いだろう。

それ以外だとパンの少なさ。マーーージで落ちてない。体感であるが死因の1/5は餓死であった。なので、探索を辞める引き際と階段を降りるタイミングを測る能力も重要であった。私はこの餓死に必要以上に怯えていて、メダパニ草やラリホー草なんかを拾ったら、相手に投げつけるより真っ先に食ってた。今思うと、あんまり意味は無いのだが。

このダンジョンの攻略法はアイテムの持ち数と使うタイミングである。先程も述べたかもしれんが、1歩遅ければもう詰みである。強いアイテムをコンスタントに拾い続ければ、すんなりいけるだろうが運が絡んでしまう。
少なくとも15階に行くまでに1回はお店が出てないとしんどいだろう。こればっかりは運なので、出なかったら諦める。特に欲しいアイテムは必須レベルのパンや合成の壺、回復の壺の他に、18階以上に向けての透視の指輪や悪魔の箱対策の聖域の巻物があると安定する。この辺になってくると、攻略情報を事前に調べてモンスターテーブルを把握してないと初見殺しや事故死が多発するだろう。私がそうだった。

正直、この手のゲームはプレイヤーのスキルよりもいかに有用なアイテムを持っているかで左右されると思う。どんなに上手い人でもアイテムに頼らなければ大部屋モンハウといったピンチを切り抜けるのは無理だろう。ただ、プレイヤーのスキルも高いレベルのを求められる。なんだろう、立ち回り方・攻略法を知ってる、みたいな感じ。アイテムの重要性が核となってはいるが、それをスキルで補う必要があって、例えば、「剣の合成よりも盾を優先」、「ある程度レベルを上げたら即降り」、「挟み撃ちにされないように逃げる動線を考える」といった攻略する上での基礎知識も必ず必要である。

特に重要な攻略は、と聞かれたら金策と泥棒になるだろう。これはもはやテクニックの話なので、やっぱり攻略本とかは必須なんじゃないかと。
先程説明した通り、ダンジョン内にはお店が設置されているのだが、実はアイテムを使えば、商品を泥棒することが可能なのだ。一番メジャーなのは、盗賊の壺を使ったもの。これは公式より「泥棒の為にお使い下さい」と言われているようなもので、これを使って商品を壺の中に入れてしまえば、何食わぬ顔で泥棒できる。他にもつるはしを使って逃げ道を確保する、とか大部屋の巻物で場所入れ替えとか・・・やはりこれらを知らないとクリアするのは難しいんじゃないかな。

さて、肝心のダンジョンについてだが、今やればなんて事ない難易度だと思う。初心者がちょうど苦戦するぐらいでローグライク入門編としてはまぁ悪くない。要は知ってるか知ってないかなので、このダンジョンで何回も死んでローグライクというものを理解すべきだ。このダンジョンにおいては最悪、透視の指輪がなくてもクリアは出来ると思う。要注意すべきなのはシルバーデビルとアークデーモン、ドラゴン、爆弾岩ぐらいかな。悪魔の箱は初見でめっちゃビビると思うが、聖域の巻物があれば通常モンスと同じく何もしてこない。

・魔のダンジョン

ストーリークリア後に入ることができる職業限定ダンジョン。職業が魔法使いでないと入ることが出来ない。全35F。魔法使いは商人と違って、以下の特徴が挙げられる。

・剣や盾を装備できない。
・レベルアップで魔法を覚える
・満腹度が減ることがない

以上が主な特徴である。

剣や盾を装備できない、というデメリットの代わりに杖や巻物のような効果を持つ魔法で切り抜けていくダンジョン。個人的には1,2番目ぐらいに好き。

この魔法というのは、ドラクエ本家でも登場するメラやヒャドといったものであり、杖や巻物でもあったラリホー、レミーラといったものも覚える。魔法を使うと、魔法に応じた分のHPを失う…のだが、満腹度という概念が無いので、足踏みすればすぐに回復する。この魔法を上手く使いながら敵を倒したり、敵を回避するのが主な立ち回りである。

魔法はレベルアップしたら1つか2つ覚える。ただ、際限なく覚える訳では無い。覚えられる魔法は30個と決まっており、力尽きると全ての魔法を忘れてもう一度、という仕様。魔法は全50種類なので、毎回どの魔法を覚えるかはランダム。毎回決まった魔法や戦術は使えない。

魔法の効果は様々で中にはフロア全体に大ダメージを与えるものもある。これを覚えて無双するのは何とも気持ちいいのだが、弱点がある。それは魔法使い系のモンスターには攻撃魔法が効かない、ということだ。そうなると貧弱な魔法使いでは逃げることしかできず、ラリホーやバシルーラといった補助魔法で逃げ続けるスタイルに切り替える必要がある。勿論、深層に進むにつれてモンスターの攻撃力も高くなり、一発ですら命取りになるので、通常のモンスターも脅威となる。

この「敵を一掃する」と「敵から逃げる」という立ち回りがすごく良いバランスで両立している良ダンジョン。基本的に一度クリアしたダンジョンに入り直すことはしなかったが、このダンジョンは5回程入り直してクリアした。面白かった。ドッグスナイパーがいるフロアの緊張感はすごくて、1歩ずつ行動して、対峙しても対処するにはどうすればいいのか、と冷静に考えるのがすごく楽しかったし、ローグライクっぽさを実感できた。

・剣のダンジョン

ストーリークリア後に入ることができる職業限定ダンジョン。職業が戦士でないと入ることが出来ない。全35F。戦士は商人と違って、以下の特徴が挙げられる。

・巻物、杖が使えない
・指輪が装備できない
・剣と盾に「わざ」というものをセットできる

以上が主な特徴である。

魔のダンジョンとは対照的なダンジョン。こっちでは巻物、杖、指輪が使えない。代わりに剣と盾にセットすることで使える、「わざ」を使用して進んでいく。

この「わざ」というのはかなり特殊な効果を持っており、敵を倒すとパンを落とすようになる「パンおとし」やお腹が減らなくなる「ハラヘラズ」というのがある。魔法とは違って、一度覚えればそれを忘れることはない。剣自体に技をセットする、という形なのでその剣が無くなっても別の剣に付け替えればいいのだ。その技を習得するのは、普通に探索していれば覚えるものやこんなの分かるか〜い!レベルなのもある。技を使うには体力を必ず消費して使う。

・・・ここまでの説明で何となく分かるだろうが、このダンジョンは、技の習得方法を知っているかどうかである。一度覚えてしまえば死んでも忘れることはないので、覚えた技の数によって難易度が大きく変化する。しかも、技を組み合わせると一切の死ぬ理由が無くなる程度にヌルくなる。

私が使っていた組み合わせは、

敵からパンを落とす「パン落とし」
盾の強さが減る代わりにダメージを1にする「1ダメージ」
こちらのHPを1にする代わりに相手を一撃で倒す「とっこう」
ワナが見えるようになる「ワナみえ」

これらだ。もう分かるだろう。一切負ける理由がない。だから、これらの技を覚えるために攻略サイトを見て作業を行い、あとはこの技を剣と盾にセットしたら終わり。ローグライクの面白さとは真逆の興ざめダンジョンであった。つまらないしただの時間の無駄であった。まぁ、攻略に頼るな、ということなのだろうが結局技を覚えたら一緒だしな。どう転んでも面白くないだろう。後述するが、私がトルネコを物凄く高く評価しないのは、このような糞ダンジョンが複数あるからである。もうストーリーをクリアした時点で大体のプレイヤーはやめるんだから、クリア後のダンジョンはもう少しこっち向けのユーザーに配慮してくれよ!

・・・言うまでもなく、すぐにクリアしてしまい、特に思い入れも無いので次のダンジョンへと向かった。魔のダンジョンは面白かったのに、どうして・・・

・不思議のダンジョン100F踏破

さっきの剣のダンジョンとは打って変わってこっからはガチのダンジョン。先程の不思議のダンジョンと仕様は同じだが、今回は最奥地である100Fに到達したらクリアだ。持ち物を持ち込むこともできるが、そんなことしても面白くないので、裸一貫で素潜り。
・・・結果として150時間以上、ここのダンジョンに費やすことになるのだが。

後述するもっと不思議との主な違いは以下の通り。

・草、巻物が識別されている。
・神父が登場する
・一部のアイテムは出現しない、もしくは店売り限定になる
・中断ポイントが出現する
・モンスターテーブルが異なる

有利な点もあるが、ヤバいのはもっと不思議で強力だったアイテムが手に入りにくいことだろう。印付きの剣や効果のある盾は全然手に入らなくなる。他にもいのりの巻物やすいだしの巻物はそもそも出現しないので、壺関連で制限がかかるものとなっている。
そんな中で、100F踏破を目指すのだから、まぁ、運が必要となる。剣は良いとして盾を合成できなかったら20F辺りでタヒる。モンスターも特性を知っていないと対処できないものばかり。

ここで、自分はローグライクに向いていないとはっきりと自覚したな。私はアクションが好きなので、コントローラーを動かしていない時間というのが嫌だ。しかし、カードゲームやボードゲームとかだと考えて次の手を考えるのが定石だから、そこは普通にできるのだが、ローグライクはダメだ。どうしても一手一手が軽く感じられる。

だから、色んな死に方をした。

モンスターから逃げてたら挟み撃ちにあって死!
逃げた先に罠を踏んで死!
まどうしに眠らされて死!
モンスターハウスにいるドッグスナイパーで死!
爆発の指輪を外さずにいたら爆発→敵の攻撃で死!
餓死!
剣と盾が呪われてサビまくって死!
大魔導で剣と盾を捨てられて死!

・・・初歩的なミスを何百回と重ねてもまだクリアできなかった。というか同じミスを連発してた。はぁ…

しかし、やるごとに力尽きる階層も上がっていった。着実に成長はしてた。57Fで力尽きて発狂したこともあったが、その頃には5Fでフレイムに倒されて死ぬことも無くなっていた。そして、私はローグライクの攻略法について持論を持つようになっていた。

トルネコ2、もといローグライクは勝つためには運で負ける、という要素を徹底的に排除させるプレイをする為に運を使わなければならないゲーム。透視の指輪、皮の盾、必中の剣・・・これらは本作をクリアするには必須レベルだと言われているが、それはやはり運の要素を消す為のアイテムである。運の要素を楽しむゲームなのに、皮肉な程パラドックスである。しかし、それだけではまだ足りない。どんな状況でも切り抜けられる対応力が必要なのだ。ローグライクは地形が変わるのではなく、戦況が毎ターン異なる。アイテムや敵の数、階段の場所…毎回変わるダンジョンの中でどこにリソースを割り振るのか、いつトリガーを引くのか、というアクションやシューティングにも似た感覚が必要だということを知った。

現にシレンを作ったチュンソフトのある社員はシレンやトルネコをシューティングゲームと称したことがあるらしい。敵に当たらないようにすることやパターンを予め組んでおくことは確かに本作の攻略法と通ずることがあるな。

立ち回りは、序盤はレベル上げとアイテムを揃えることを意識、後半になってくると、まともに戦えない相手ばかりなので、只管逃げる、逃げるを繰り返す。これがものすごく頭を使った。手持ちのアイテムと相談して使うのか、タイマンするのか、引き返して逃げるのか、後半になるにつれて1ターンの重要性の重みが増してきてプレッシャーとなる。もし、一瞬でも負けるビジョンが頭にチラついたらもうダメだ。とにかく慎重に慎重に…
ずっとこんな感じで立ち回らないといけないので、自分の精神がかなりしんどかった。私はアクションゲームが好きなので、ゲーム内における"死"に対してあまり抵抗が無い。すぐにリトライしてその場でもう一度チャレンジするだけだ。ただ、このゲームを攻略するのにそのマインドはかなり邪魔だった。これを完全に矯正するのに200時間程度かかった、といっても過言ではない。

特にしんどかった層は、おおめだまがいる25〜30F、ドッグスナイパーがいる41〜50F、だいまどう、あくましんかん、あくまのつかいがいる31〜79F、キースドラゴンがいる82F以降だった。殆どじゃねぇか。序盤はアイテムが少ないと早々に負けるので、もう本当に全部しんどかったかもしれない。しかも、意識していてもどうにもならない時は割り切るしかない。特に82F以降でモンハウを2回引いた時はリアルに動けなくなってしまった。挑戦した回数は300回以上で、クリアした時は運良く1Fで透視の指輪を手に入れることができたからだ。正直もう二度とやりたくないダンジョンだ。

・もっと不思議のダンジョン

おまたせ。
所謂やり込みダンジョン。このダンジョンをクリアすれば完全にクリアしたと胸を張って言えるだろう。言うまでもなく、

・草、杖、巻物、指輪は未識別
・持ち物持ち込み不可
・レベルは1からスタート

この条件は共通。張り切って行きましょう。

不思議100Fをクリアした後だったからこちらの方が簡単に感じた。いや、実際簡単だったかもしれない。武器も良いのが落ちているし、いのりや吸い出しもあるしね。ただ、モンハウ率が高かったな。ほぼ必ず3回以上はモンハウを引いた。

こちら側のデメリットとして殆どのアイテムは未識別なのだが、正直そこまで痛くなかった。草と巻物はすぐに判別できるし、杖も1,2回振れば判別可能。余ったインパスの巻物を指輪に消化して終了、と序盤以外は苦労しなかった。ただ、その分のメリットがあまりにも大きくアイテムが普通に落ちてるだけで、もっとの方が良心的だ。先に言った通り、アイテムゲーなので…

こちらは強いアイテムが拾いやすいこともあって、すぐにクリアできた。しかし、前述の不思議100Fもそうだが、私はアイテムに頼りすぎた感が否めない。どちらとも透視の指輪をかなり早い段階で装備していたこともあって、それに頼って甘えたプレイをしていた。上手い人は透視が無くてもクリアできるだろう。アイテムに頼るゲームではあるが、特定のアイテムが無いとクリアできないゲームではないので、これはもう少しプレイスキルを上げたい、と悔しく思っている。

ちなみに不思議ともっと不思議ではモンスターテーブルが少し異なる。その中でももっと不思議はミニデーモンが出てくることはかなり優位点だ。こことベビーサタンの所で思い切りアイテム稼ぎができた。トルネコ2のもっと不思議が簡単と言われる所以は稼ぎ場が多いからだろう。後半になってくると、アイテムも沢山あるので、余程運が悪い場合を除いて、負ける要素はほぼ無いだろう。不思議のバランスよりもこちらの方が私的には楽しかったので、PSで2回楽しんだ。楽しかった。

・・・さて、これで全部だ。

ん?試練の館と井戸のダンジョンはどうしたかって?

持ち込みありはね、なんか違うんだよね…

という訳でこの2つを除いたダンジョンは全て素潜りでクリアした。250時間かかるとは思っていなかったが、今思い返せば、もう遠い過去のように思えるのは不思議である。

全体的なまとめで言うと、やっぱり書いていて思ったのが、この系統のゲームは「自分」が一番の敵だ、ということで腑に落ちた。本当に1回1回の動きを意味のあるものにしないと、クリアは遠のいていく。

大丈夫だろ、は大丈夫じゃないし、
勢いで!と行ったら一瞬で追い込まれるし、
勝ったな、はまだ勝ってない!

これらは本当に学んだね。頭に叩き込まれた。免許は無いが、かもしれない運転はその辺のドライバーより上手くなった気がする。油断を誘う自分の思考が一番の強敵だったな。

という訳で、感想はここまでで終了。この記事を書くのにも1ヶ月程度かかってしまった。

【まとめ】


今こうやって記事を書いている間にも、私は1つのゲームを挟んで、風来のシレンGBをやっている。しかも、次のゲーム候補にドラクエ3を検討しているのだ。

やっていた時は、ものすごく苦しくて、「これいつまでやるんだ…?」と不安になったが、クリア出来て、ローグライクにハマっただけでなくちゃんとドラクエに興味を持たせることにこのゲームは成功している。ローグライクにハマるのは一部の人間だけであって、私のような手広く浅くやっている人間には、関係の無い話…と思っていたのに、この有様だ。これが本当に中毒、というものかもしれない。無意識のうちに蝕まれていたらしい。はぁ…

さて、ローグライクへの道もとうとう開いてしまった。この道を極めるのにも果てしない時間が掛かるだろうが、やってみたいという気持ちの方が強い。このゲームは私から250時間も奪ったと同時に私に新しいゲームの遊び方を教えてくれたある種分岐点のゲーム、はさすがにいいすぎか。もうちょっとだけゲーム上手くなりたい。はぁ…





(このゲームは、実機で遊ぶしかないようだ。GBAにも移植されているので、気になった人は自身が持っているハードと相談してやってみて欲しい)


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