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#3 採用人事の本棚「イシューからはじめよ~知的生産の『シンプルな本質』~」


こんばんは!
採用人事2年目の 満月ぽん と申します。

理解の整理や定着など、自身のスキルアップを目的として、人事・採用まわりの書籍について、読書感想をまとめています。

第一弾、第二弾は採用関連の読書感想を投稿したのですが、
今回は、問題解決、分析に関する書籍を選択しました。

採用人事として致命的ですが、もともと数値分析に苦手意識を抱いており、集めた数字からどんな意味を読み取ればよいのか、について悩んでいました。そこで、手にとった今回の課題図書がこちらです!

イシューからはじめよ ~知的生産の「シンプルな本質」~

著者:安宅和人
所用時間:約5時間
読了日: 2020/11/4

■概要

問題解決の生産性をあげるために一番重要なのは、「イシューの見極め」である。生産性の高い人は、問題を解くのが早いのではなく、解くべき問題の選択と集中ができている。生産性の高い人の問題解決手法を、イシューの見極めるフェーズから学べる内容となっている。

■読もうと思ったきっかけ・目的

トレンドの移り変わりが激しい人材業界において、多岐にわたる採用業務の企画設計と改善、日々の実務をまわす採用担当。わたし自身も「やったほうがいいこと」に追われるものの手が回らず、うまくバリューを発揮できなかった経験があります。そこで、重要なイシューを見極められるようになることで、生産性をあげ、バリューのある仕事をしたいと考えました。

■要旨

【序章】この本の考え方ーー脱「犬の道」

バリューの高い仕事かどうかは、下記2点で測られる。

①イシュー度 :自分のおかれた局面でその問題に答えを出す必要性の高さ
②解の質   :イシューに対してどこまで明確に答えを出せているか

②の「解の質」は簡単には向上しないので、量をこなして自然とスキルアップするという考え方はNG。多くの仕事を質の低いアウトプットで食い散らすことで、仕事が荒れ、いつまでも高い質の仕事を生み出せない。
まずは①のイシュー度の高い問題に絞り、重要なイシューに時間を使う。はじめから高い質を出すことは難しいが、数十回に一度は良いものができる。よい仕事に対し、周囲からよいフィードバックを得ることで、はじめて人は「解の質」を学ぶことができる。
これを何度も繰り返すことで高い質の解を生み出す確率をあげるためにも、イシューの絞り込みによって時間を浮かせることが不可欠なのである。

【第1章】イシュードリブン 「解く」前に「見極める」

イシューを設定する際には、「こんなことを決めよう」というテーマ設定にとどまらず、強引にでも具体的な仮説を立てる(スタンスをとる)ことが重要である。「やっているうちに見えてくるさ」は厳禁。仮説を立ててはじめて、本当に必要な情報や分析がみえ、その分析結果が十分であるかも判断ができる。さらに具体的な仮説や検証手法をできる限り言葉に落とすことで、見極め・仮説の甘い部分(=言葉にできない部分)が判明し、より詳細を詰めたうえでチーム内の認識合わせをすることができる。
良いイシューの条件は3つ。

①本質的な選択肢である
②深い仮説がある
③答えが出せる

上記の手法をつかってイシューを見極めると、解くべき+いま答えが出せるイシューは全体の1%程度となる。それが取り組むべき問題である。

イシューを特定するための情報収集は下記手順でおこなう。

①一次情報に触れる(現場の工夫、課題感、ローデータ、専門家の意見)
②基本情報をスキャンする(数字、問題意識、フレームワークを知る)
③集めすぎない・知りすぎない(情報収集効率、自分なりの視点を守る)

イシューが分からないときは、一度頭を休ませてもう一度基本作業を繰り返すとよい。しかし、それでも特定できない場合は、下記5つのアプローチが効果的である。

①変数を削る
②視覚化する
③最終形からたどる
④「So what?」を繰り返す
⑤極端な事例を考える

★学び・気づき・感じたこと
振り返ってみると「とりあえず始めよう、やっているうちに見えてくる」をよくやっていたなと反省。施策を提案してもなかなかGOサインが貰えなかったのは、ここの詰めが甘かったのだと思い知りました。また、仮説が十分でないために情報の「集めすぎ・知りすぎ」もやりがち。自分なりの理解やアイデアが出てこないと悩んでいましたが、情報が足りないのだと思い込んでいました。集めすぎが一因だったとは、思いもかけない気づきでした。

【第2章】仮説ドリブン① イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

生産性を高めるためには、見極めたイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どのような論理と分析によって検証できるか、を考える。そのままでは解けない大きなイシューは解けるサイズまで分解し、分解したイシューとそれぞれに対する仮説に基づき、イシュー全体を検証するためのストーリーラインを組み立てる、という手順が有効である。イシューを「ダブリなくモレなく」「本質的に意味のある固まり」で分解することが肝要である。

【イシューを分解する効用】
①課題の全体像が見えやすくなる
②サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる

分解後、サブイシューについてもスタンスをとって仮説を立てる。それをもとに、下記手順でストーリーラインを組んでいく。

①必要な問題意識・前提となる知識の共有
②カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
③それぞれのサブイシューについての検討結果
④それらを総合した意味合いの整理

例)事業コンセプトを検討する場合
①解くべき問題は、「狙うべき市場ニーズ」と「事業モデル」の掛け算
②狙うべき市場ニーズは……(ニーズの広がり、トレンド、自社の強み)
③その分野で取りうる事業モデルは5つ、内モデルA,Bが●●の理由で適当
④ニーズ×モデルで有望な事業コンセプト数種と、それぞれの具体イメージ

ストーリーラインは「決め打ち」ではなく、サブイシューに答えが出たり、新しい気づきが得られるたびに、書き換えて磨いていくものである。問題解決の段階ごとにストーリラインの役割は下記のように遷移する。

▶立ち上げ段階 :見極めどころ、検証に必要な活動を明確化する
▶分析・検討段階:イシューに対する仮説検証の進捗を明確化する
▶まとめの段階 :最終的なプレゼン資料、論文のベースとなる

★学び・気づき・感じたこと
入社当時、上司に「スタンスをとれ」と言われたことを思い出しました。未経験であること、たまに発言しても力不足により指摘が入ることなどから、自身の考えや発信に自信がもてず、もっと理解が深まってから、といつしか逃げの姿勢になってしまっていました。イシューに対して無理にでも仮説を持つことで、その後のイシューに対する理解や自身の成長が促進されるのだと腹おちしました。

【第3章】仮説ドリブン② ストーリーを絵コンテにする

ストーリーラインの個々のサブイシューに対して、必要な分析・検証のイメージをまとめるのが、絵コンテである。「最終的に伝えるべきメッセージ」に対し、相手がどういう分析結果があれば納得するか、を逆算して考える。
「どんなデータがとれそうか」ではなく「どんな結果が欲しいか」が重要。

■絵コンテづくりの3つのステップ
▶軸の整理:どんな軸で何と何を比較し、条件の仕分けをどう行うか
 ※定量分析の3つの型は、「比較」「構成」「変化」
▶イメージの具体化:どんな精度のデータが必要で、何の比較が鍵になるか
 ※チャートの意味合いを意識する。典型例は「差」「変化」「パターン」
▶データの取り方:どの情報源からどんな手法で、どんな比較を実現するか
 ※手法の広がりを把握する。「検討内容」×「調査の役割」「調査方法」

★学び・気づき・感じたこと
実は、最終的なアウトプットのかたちをイメージしないまま走りだして、失敗する経験をしたところでした。データの取り方まで具体的にイメージすることで、アウトプットイメージも、分析にかかる工数も予測できるのでサボってはいけない部分だと再認識しました。

【第4章】アウトプットドリブン 実際の分析を進める

分析・検証はいきなり着手するのではなく、もっともバリューのあるサブイシューを見極め、粗くてもよいから本当にそれが検証できるのかの答えを出してしまうべきである。「前提」と「洞察」が重要となる。

空:課題の確認 }ストーリーラインの中で絶対に崩れてはいけない部分
雨:課題の深堀 }ストーリーラインの中で絶対に崩れてはいけない部分傘:結論

「答えありき」ではなく、フェアな姿勢で比較をし結論を導くことが大切。

ほしい数字や証明がでない場合には、フェルミ推定のように構造化して解を導き出すほか、足で稼ぐ方法、複数アプローチでの推定などから導き出すことができる。自分の知識や技では埒が明かない場合には、人に聞きまくるか、期限をきって解が出せなければ代替手法に切り替えることでトラブルを回避できる。

バリューを生み出すには、軽快に答えを出すことが求められる。いくつもの手法を持つことで1つの手法に固執せず、回転率とスピードを重視することで生産性をあげることが、解の質を向上させるコツである。

★学び・気づき・感じたこと
1つの手法に固執する、数字をこねくりまわして回転率が上がらない、など自身の悪い癖を見破られたようでした。また、自身には手札が圧倒的に少ないと感じるので、60%であってもまずは解を導き、どんどん次に進むことで技を増やしていきたいと思います。

【第5章】メッセージドリブン 「伝えるもの」をまとめる

まとめの作業に入る前に「どのような状態になったらこのプロジェクトは終わるのか」という具体的イメージを描く。例えば、受け手に下記の状態になってもらえればプロジェクト成功(終了)といえるだろう。

①意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
②最終的なメッセージを理解してもらう
③メッセージに納得して行動にうつしてもらう

受け手は「賢いが無知」だという前提にたち、基本的な考えや前提、イシューの説明からはじめ、最終的な結論とその意味を伝えれば理解できる存在として信頼することが大切である。「本質的」で「シンプル」なものに絞ることが重要だ。ストーリーラインの磨きこみには3つの確認プロセスがある。

①論理構造を確認する:前提が崩れておらず、基本構造で整理できているか
②流れを磨く:流れ、締まりが悪いところ、補足が足りないところはないか
③エレベータテストに備える:結論を端的に、部分を速やかに説明できるか

ストーリーラインの次は、下記コツを意識してチャートを磨きこむ。

①1チャート1メッセージ
②タテとヨコの比較軸を磨く
③メッセージと分析表現をそろえる

★学び・気づき・感じたこと
正直に言うと、ここまで緻密にプレゼン準備をしたことがなく、情けないことに過去の経験を省みての直接的な反省ポイントは多くありませんでした。ただ、全体をとおして感じたことは、『神は細部に宿る』ということ。論理構成や検証は4章までにほぼ完成しているものの、人に伝えるための表現を本当に細かい部分まで磨くことで、やっと伝わるものなのだということ。
そりゃあ、自分の説明は伝わらないよね、という妙な納得感がありました。

■自身の考え・アクション・仕事での活用方法

採用活動に関する問題解決を「イシューからはじめる」ことで実現したいです。実践が一番身につくということと、過去の採用活動を振り返る機会が今までなかったため、良い機会なのでチャレンジしてみたいと思います。

■最後に

最後までお読みいただき誠にありがとうございます。感謝感激です!
今回はいままでに増して、読了にも要旨まとめにも、感想文にも時間がかかってしまいました。
どんな仕事にもつかえる手法でありながら、専門で勉強することがほとんどない事項なので、お恥ずかしながら理解に時間がかかる部分が多く、いつも使っていない脳にたくさん汗をかいた気がします。

今後も、人事・採用以外の分野の読書についても、業務にからめて感想を投下していこうと思います。

ご感想、小さな疑問などなんでも、コメント欄にいただけると嬉しいです。
フォローいただいた方のnoteにもお邪魔しますので、是非ぜひお気軽に。

また来週更新いたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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