子どもが食べない!・・・
質問
フォロワーさんから、こんな質問を頂きました
「1歳2ヶ月の子ですが、果物、せんべいなどの好物しか食べず困っています。時間帯、環境、食感、味、ベビーフード 、食器など色々変えてみましたが改善しません。
他のものは食べなくても好物は食べるので、お腹がいっぱいなわけでもなく…好物を出さず、時間を決めて食べさせるのをやめても、次の食事でたくさん食べたりしません。
栄養の心配はもちろんですが、あまりにも食べず、食事の時間が憂鬱です。
このような場合、モンテッソーリの教育現場では、どのように対応するのでしょうか?心構えでも構いません。何が助言をいただけたらと思います…!
完全母乳でかなり出が悪くなってきましたが、出なくても安心するのかよく欲しがります。食事中も求め、飲むまで泣き叫ぶこともあります。断乳はお互い負担が大きく、できずにおります。」
答え
時期が来れば、必ず食べるようになります!今は食べてくれるものを楽しく食べられればよい!と肩の力を抜きましょう。
解説
食事・睡眠・排泄。この生きていくための基本的なことは、小さな子どもの子育て中の親の最大の悩みにもなります。
思ったように食べない、寝ない、排泄がうまくいかない、などママパパは、へとへとになるくらい、常に悩みはつきませんよね。お疲れ様です!
今回は「食べる」ことに関してですが、私は卒乳や離乳食の専門家でも、栄養士や医師でもないために、あくまでもモンテッソーリ教育を学んだ一教師の立場からアドバイスさせてください。
①うまくいかなくて当たり前
離乳食の本などを見ていると1歳ころは離乳完了期とかパクパク期(このネーミングがまたうらめしいですよね・・・)と言われていて、まるで給食で出て来そうな素敵なメニューの写真が並んでいます。そんな食事をしてくれるのは勿論理想的ですが、人間には皆個性があります。
オーストラリアのモンテッソーリケア(モンテッソーリ教育の思想を取り入れて高齢者の介護を行う施設)を訪れた時、大きな食堂がありました。
入居者は朝も起こされず、いつでも好きな時間に来て、好きなものだけを食べてよいそうです。この人は朝はなし、とかこの人はワインだけ、とかこの人はパンと目玉焼きとベーコンをがっつり食べる人、とか様々な要望があるでしょう。もしかしたら、食堂にさえ来ずにタバコをふかしている方もいるかもしれません。全員一斉に朝の同じ時間に、同じがっつりメニューを食べられるわけではないんです。小さな子どもや高齢者は、食べたくないけど食べてあげようなどと、理性的に食に向かうよりも、特に本能に忠実だと思います。
小さな子どもにも個性があるし、一般的にこの時期にはこのくらいの量を食べる(食べられる)べきという概念を捨てましょう!
②何が原因で食べないの?
さて、果物、せんべいなどの好物があるとのことですが、何故それ以外を食べないのでしょう?真実は本人にしかわかりませんが例えば他の物を食べたくない原因として・・・
・ドロドロしている食感がいや(固形がいい)
・見た目がいや
・色々な味が混じっているのがいや
・食べさせられるのがいや・手づかみで食べたい
・じっとハイチェアに座らされているのがいや(手軽にさっと食べたい)
・プレッシャーがいや(他の物を食べさせようとして必死なのが伝わる)
例えばこのような原因が考えられます。この中のどれが一番近いのかをよく観察してみて、例えばせんべいのように、手に持って食べられるドロドロしていない物を試してみたり、じっと座って固定の席で食べなくてもよくするなど、ゆっくりじっくりと気長に別の好物を探してみてはいかがでしょうか?
③一番大切なこと
この時期の子どもが食事と向き合う際に一番大切なことは何でしょうか?
モンテッソーリ教育の0-3歳教師養成トレーナーで医師であったシルバーナ・モンタナーロ先生は次のように言っています。
『スプーンに少量の食物をのせて、子どもの口のところまで持っていきます。そして子どもが自発的に口を開いたときにのみ、食べ物を口の中に入れます。この点は介助するときに注意しなければならないことです。口という入り口は、自分が管理していて、自分の許可なしにここを通って自分の体に入り込めるものは何もないと、子どもが常に感じていなければならないからです。食事どき、介助者は子どもに無理強いしがちです。それは、大人がなるべく早く子どもに食べさせてしまおうとするからです。私たち大人はこのことが子どもたちに重大な影響を与えていると言うことを忘れがちです。食べ物は生涯を通して、いつも私たちに楽しみをもたらしてくれるものなのですから、食事どきには子どもに無理強いをすることは、一切ないように気をつけなければなりません。」(シルバーナ・モンタナーロ『いのちのひみつ』KTC出版)
食事はもちろん栄養をとるために必要ですが、何よりも「楽しく食べる」ということがとても大切だと思います。椅子に座って、ママのつくった献立をパクパク食べるという理想とはほど遠かったとしても、子どもが自分で食べられるもの好きな物を美味しく食べる、ということをまずは第一優先にして過ごすと、ママも気が楽です。
それに、子どもの一か月の成長は目覚ましいです。認知能力が発達すると、大人がおいしそうに食べるものにも興味を示したりと、数か月先には違った姿が見られると思います!嫌がらなければ、本人は食べない時間でも、一緒にダイニングテーブルに参加させて、ママパパの食べる様子をみせたりするのもおすすめです!
(イラスト出典 あべようこ『0歳と1歳のモンテッソーリ子育て』河出書房新社)
④参考
この方のブログ面白いです。その後の結果や現在の様子など、追記もしてあるので、気持ちが楽になると思います!
後、ツイッターをやられていたら、こんなハッシュタグもあります。
#食べない子をお持ちの皆様うちの子のメニューを聞いて気を楽にしてください
他の人があげているメニューの中にも、もしかしたらお子さんが食べてくれる何かが発見できるかもしれません!
⑤まとめ
意外に世の中のママパパは、子どもが食べなかったり偏食で苦労しています!そして、必ず、時期がくれば食べるようになります!!
今はママがストレスを過度に感じず、「食べるものを楽しく食べる事」「食べられるものに共通点を探して、それを少しずつ増やしていける事」などをテーマにしながら今の時期を、少しだけ気を楽にして過ごされたらいかがでしょうか?
あべようこ
著書
子育て中のママパパに役立つような情報を書いています。 これからも頑張りますので応援お願い致します!! 保育士、モンテッソーリ教育資格者(0-12歳)、おもちゃコンサルタント、おむつなし育児アドバイザー。