<異世界最強ノート>ショートショート
ついに僕も異世界に転生した。
コンビニの帰りにトラックがこっち向いて走ってきた時はワクワクしたね。
「あ、これは異世界転生フラグだ」
そう思った。
もうね、ぐっちゃぐちゃですよ。トラックvs人間なんて即死です即死。
で、案の定異世界に来たってわけ。
本当にここは良いところ。
よくゲームとかで見る、綺麗な中世ヨーロッパっぽい雰囲気。
これよこれ。
そして主人公補正よろしく、僕の能力も最強。
なんと現実世界で死んだ時に持っていたノートが、転生した時に最強アイテムに変貌した。
そのノートに魔法を書くと発動することができる。
何の魔法でもオールOK。
だから、『時間停止』と書いてから『火の玉』と書けば確実に敵を仕留められる。
鬼のように強い。
ただし、注意点は魔法を発動させたい度に書かなきゃいけない。
何回も書くことになるから戦闘が終わる頃には腱鞘炎になっちゃう。これデメリットね。
あとスピードが速い敵にノートを取られてしまう危険性もある。
僕はノートに極振りして、それ以外は一般人レベルの力しかないから、ノートを取られたらこの世界では詰む。冒険なんかできない。
だから僕を、というか正確には僕のノートを守ってくれるタンク役が必要なの。
そういうわけで昨日酒場に行って仲間募集をして、ついでにその場にいた人たちと夜通し宴会をしちゃったのね。
で、昼に起きたら無いのよ。ノートが。
もうね、顔面蒼白。
必死こいて思い当たる場所を探したけど見つからない。
昨晩一緒にいた人たちは旅人だからもうこの町にもいないみたい。
そういえば酔っぱらって酒場の暖炉に色々放り込んだ気もするし。
てゆうか、ぶっちゃけノートを放り込んだ記憶バッチリあるの。
めっちゃ燃えてた。
昨日の自分本当に馬鹿。
ということで僕はこの町で就職して安定した暮らしを送ることにします。
ありがとうございました。
完
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