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GHOST(feat. DJ TAGA)

5/4放送のCreepy Nutsのオールナイトニッポン0(ZERO)で、敬愛するDJ松永さんが紹介した曲をずっと、ずっとずっと聴き続けている。

1年ほど前、お2人のラジオと衝撃的に出合って以来、放送を1回も欠かさずに聴いているが、松永さんが曲の紹介をしたのは、私が聴き始めてからは初めてのことだったように思う。すごくびっくりした。

どんな放送だったか、詳しくはみやーんZZさんの書き起こし

DJ松永 USU,DJ TAGA『GHOST』を語る https://miyearnzzlabo.com/archives/73901


またはラジオクラウドでご確認のほど。


2021/05/04 Creepy Nutsのオールナイトニッポン0(ZERO) 

https://nhsw9.app.goo.gl/Qo2U 


新潟のHIPHOPシーンの顔役、USUさん。2年半ほど前に突然引退されたのだそうだ。この度復帰され、MVが公開された。

松永さんの熱い語り口で、アーティスト名と曲名が紹介され、曲がかかる。「USUでGHOST」。

イントロで気持ちを全部もっていかれてしまった。ガチャッとドアの開く音と、チクタクと時計が(多分)再び動き出す音。I'm a player, I'm a player, still player…の歌い出しでもう涙が溢れて止まらなかった。気持ちを抑えて淡々と歌っているように聞こえるけれど、魂の絶叫のような歌声だと思った。

曲が流れた後、松永さんがRさんと掛け合いをしながら、リリックの解説をしていく。Rさんが「ラッパーは(自分の身の上に起こった出来事を)ライムにすることで踏み越えていく、乗り越えていく」と言った後、松永さんがこう言うので、ようやく止まりかけていた涙がまた溢れ出てきてしまった。
「辞めたいときに辞めて、戻りたいときに戻って、で、いいじゃん?」
なんて懐の深い、器の大きい人なんだろう。

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このラジオの前日、VIVA LA ROCKという音楽フェスに出演していたCreepy Nutsのお2人。
このフェスでは「VIVA LA J-ROCK ANTHEMS」という名物コーナーがあり、J-POP、J-ROCKのレジェンド曲をゲストがカバー、このコーナーのために結成されたスペシャルバンドとコラボして演奏する。バンドメンバーは亀田誠治さん、加藤隆志さん(東京スカパラダイスオーケストラ)、ピエール中野さん(凛として時雨)、そして津野米咲さん(赤い公園)。

2018年、このコーナーにゲストとして招かれたお2人はTHE HIGH-LOWSの「日曜日よりの使者」をカバーした。

昨年、Creepy Nutsのアルバム「かつて天才だった俺たちへ」にこの曲を収録することになり、多忙な中、J-ROCK ANTHEMSの4人がスケジュールを合わせて集まってくれ、改めてレコーディングが行われた。このスケジュール調整は、針の穴に糸を通すような作業だったとラジオで松永さんが語っていたのを覚えている。

そして今年2021年、VIVA LA ROCKのステージにこの曲を引っ提げて凱旋したお2人。曲紹介のMCで松永さんは胸を張り、誇らしげにこう言った。「このトラックには、津野さんのギターが入ってますから」。Rさんはこう続けてMCを締めくくり、そのトラックの上で堂々と歌い上げた。「鳴らし続ける限りいつまでも現役です」。

お2人の津野さんを想う優しさに涙が止まらなかった。

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その日から、以前聞いたことのある言葉が、私の頭の中をぐるぐる回るようになった。
人は二度死ぬ、という言葉。一度目は肉体の死。二度目は忘れ去られることによる死。この世の全ての人に忘れ去られたとき、人は本当に死ぬのだという。
誰の言った名言なのか、出典を調べたが、どうもはっきりしない。松田優作さんだという人、三谷幸喜さんだという人、永六輔さんだという人。どなたもすごい方々なので、その全員ということでいいのかもしれない。

お2人の中に津野さんがいる限り、津野さんは生き続ける。津野さんの残した音楽を聴き続ける人がいる限り、津野さんはずっと現役だ。
私の中でジョンレノンが永遠であるように。

これを裏返して考えると、肉体は生きていても、誰からも忘れられてしまうことは、半分死んでいるのと同じことなのかもしれない。

奇しくも、USUさんがGHOSTのリリックにこう書いている。

「今じゃ誰?って皆 覚えてますか?」
「I know your name そこの夢見るyoung boyz, You know me?」
「君らが俺を知らないなら」
「君が俺を忘れても この曲に身体 預けてよ」

忘れられることに対する猛烈な恐怖。それは死に対する恐怖と等しいのだろう。そもそも曲のタイトルが「GHOST」。1バース目の歌い出しも「俺は未だに成仏出来ない彷徨うGhost」だ。

だから松永さんはUSUさんにきっとこう伝えたかったんじゃないかと思う(勝手に)。
USUさん、俺は忘れていません。だからあなたは死んでなんかいません。

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私はHIPHOPのことも、新潟のHIPHOPシーンのことも、全く分からないド素人だけれど、USUさんはこれからもきっと大丈夫だと思う。

MVのメイキング映像を見たからだ。仲間の皆さんと、楽しそうに撮影している様子が伝わってきた。病の元凶と思われるアルコールの空き缶を前にして、軽口を叩いたり、撮影の合間にダンスを踊ったり。この皆さんの心の中にUSUさんはいると知らしめる、めちゃくちゃ素敵なメイキングだった。

1年ほど前、Creepy Nutsの曲を聴き始めたばかりの頃、HIPHOPの魅力についてRさんはこう教えてくれた。
「HIPHOPというのは、ひたすら自分語りの音楽で俺物語。そのリリックの中にふと今の自分の気持ちと重なる部分があったりする。勝手に重ねて、自分のことを歌ってくれてるって思えるのがHIPHOPのいいところ」

USUさんのリリックに、娘の気持ちを勝手に重ねて、日々ずっと励まされ続けている。
娘も毎日数個のタブレットを飲みながら、2年近く、隠れず明日を探しもがいているところだ。
今はまだ準備ができていないけれど、いずれそのときが来たら、また立ち上がって人の輪の中に戻っていってくれると信じている。

辞めたいときに辞めて、戻りたいときに戻って来ればいい。その言葉とこの曲をお守りにして、闘病生活の伴走を続けようと思う。

USUさんのこれからのご活躍に期待したい。
「落ちる所まで落ちた」を経験したUSUさんだからこそ書ける、バリバリのボースティングソングも是非聴いてみたい。



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