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ままならぬ日々2

コロナ禍緊急事態宣言の最中、わたしは子どもを産んでいた。
新種のウィルスが胎児にどのような影響を及ぼすか見当もつかないでいた2月、フリーランスの教師である夫はあっという間に授業をオンラインレッスンに切り替えた。
私は相変わらず呑気で(夫から言わせれば無知で)切迫ぎみのお腹をさすりながら、自宅ベットで横たわる日々。「入院だけは困る!」と家族からきつく忠告を受けての自粛生活だった。
夫は、家事育児仕事をまるごと引き受けて、さぞ忙しかっただろうと思う。
産前産後の2週間は完全に休業して長女と二人きりで過ごした。
長女は、彼女の思い出せる記憶のほとんどの時間、パパがずっと家にいたもので、夫が外出の仕事を再開すると玄関でポロポロ泣いた。「なんで仕事に行くの?」と。
仕事には行かないでほしいとせがむ子になんと言ったもんか。
「お仕事してもらわないとご飯も食べられないし、お洋服も買えないのよ。」と口にすると、私の方もなんだかちょっぴり虚しくなった。

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都内マンション住まいで、狭い家に子どもを閉じ込めておくなんて、まさに緊急事態!
走り回る足音で近隣から苦情が来ないかビクビクする日々でもあった。
公園の遊具に黄色いテープが貼られた頃には、いよいよ子どもを走らせる場所がなくなった。
気づけば娘はよく転ぶようになって、次第に走るのを嫌がった。
あんなに体を動かすことが大好きな子だったのに。ムキっとアスリートのような脚も徐々に細々していった。
もっと自然環境の豊かなところで暮らしたい・・と以前からあった夫婦の移住計画が頭を過っては消えを繰り返した。


そんな折、長女の幼稚園探し兼他県移住計画を夫から持ちかけられる。夏の終わりのこと。
いくつも候補の上がった幼稚園を厳選し、幼稚園見学と家探しの日々。
いよいよ願書の提出期限が迫ってきたころ、当の娘が「わたしは学校には行かない」と言うのだ。
引っ越しは嫌、子どもの家(2歳から通っていた幼児教室)に行くのは嫌、いやいやいやあああ。聞けば、「ママとお家にいたい。」そう。
かくいう「イヤイヤ期」なのかもしれない。けれど嫌だと言う子を無理やり行かせるのは私も嫌なので、
来春の幼稚園入園も、夫婦の移住計画も全部取りやめになった。
ということで3歳児と0歳児の自主保育生活はまだまだ続く。
娘の方から「ママと一緒はイヤ」と言われるまで、やってやろうじゃないの。

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