『まどか☆マギカ』と好きを語る

先日、Twitterで「#いいねの数だけ些細なマイブームを紹介する」というタグがトレンドになっていて、ハッシュタグをつけているツイートに片っ端からいいねしました。

ここ数年で一気に、好きを語ることが美徳とされる世の中になったなーと思います。

SNSを見ていると、善意のマーケティング担当みたいな人がたくさんいて、自分の好きなものを巧みな文章やイラストで紹介している。もちろん無償で。

“好き”という気持ちの強さとその表現方法がエンタメ化して、本来ファン側であった人にファンがつくという現象もよく見かけます。つづ井さんとか、Vanessaさんとか。

“嫌い”ではなく“好き”を語ろう。

この考えには強く賛同します。だけど、時間、量、質のどれもが人より上じゃないと、好きと言いづらくなっている空気も感じるようになりました。

高校生の頃、『まどか☆マギカ』というテレビアニメが大好きで、3作ある劇場版もすべて映画館に足を運び、パンフレットもBlu-rayも買いました。

そして先日、このアニメの約10年ぶりとなる新作が発表されたのです。当然嬉しかった。

ところが、まごうことなき「まどマギファン」だった自分の、その自覚が揺らぐ出来事がありました。
新作発表の際、Twitterで「マギレコをやってない人に、今更まどマギ好きとか言ってほしくない」というツイートを見かけたのです。

マギレコというのはスマホゲームで、『スター・ウォーズ』でいう『クローン・ウォーズ』、『アベンジャーズ』における『エージェント・オブ・シールド』。つまりは公式に認められた外伝、という立ち位置の作品です。

くだんのツイートを見た瞬間、マギレコをプレイしていない自分の中に、「他人の“好き”を否定しないで」という反感と「モヤッとする気持ちも分かる」という共感の両方が生まれました。

誰かの“好き”にモヤッとする瞬間は、自分にもあります。たとえばYoutubeのファスト映画。あの手のダイジェストばかり観ている人に「趣味は映画鑑賞です」と言われたら、確実にモヤモヤします。

何を好きかがアイデンティティになると、だんだんその“好き”がバッジのようになって、人と比べてしまうようになってしまうのかもしれません。

だらだらと書いてしまったけれど、何が言いたかったかというと、冒頭に書いたハッシュタグの「些細なマイブーム」という言い回しが、対・他人の“好き”ではなく、あくまで当社比の“好き”ですよ。という感じがしていいなと思ったという話です。

あるいは、善意のマーケティングがしたかっただけなのかも。
『まどマギ』の新作映画『魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの廻天』は2023年公開予定です。ぜひ観てくださいね。


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