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麻雀プロだったよ。②ロッキーさん

 

◆リーチ麻雀は日本の文化です◆
 私が麻雀プロになったらやりたいこと、それは麻雀の健全なイメージの普及でした。そもそも麻雀は賭けてないと面白くないという人も少なくはありません。私は賭けなくても卓を囲んでいるだけで幸せな気持ちに浸れるほど麻雀が好きです。

 学べば学ぶほど奥深さや細かい点数の設定など調律の良さ沢山気づいていきまさに完成されたエンターテイメントが麻雀なんだと思っていた私は、これがアンダーグラウンドなもので終わってしまうのはおかしいと当時感じていました。

 そして歴史を紐解くとリーチ麻雀は日本の文化なのだと思い知らされます。だとしたら是が非でもこの文化を守っていくのがプロとしての使命じゃないかと思っていました。

 余談ですが、ファミ通さんが何年か前に数々のゲームクリエイターの人に後世に残したいゲームと謳ったインタビュー記事があったのを思い出しました。そこには伝説と言われるビデオゲームが連なっていたのですが、そこにテーブルゲームとしての麻雀という項目が多く見受けられました。そうリーチ麻雀は後世に残す価値があるのです(そこ!ファミ通の記事だから安心だね!とか言わない!)。

◆出会い@大宮◆
 雀荘に通うことは麻雀の練習にはなるけどお金を賭けるという行為は避けられません。なので、当時ノーレート麻雀を探していきついた先がこれがまた運命でもありました。

 麻雀好きなら8割は知っているだろう今や亡き大宮の麻雀SPロッキーです。亡きというのは文字通りであり、あるじであるロッキーさんは5年ほど前に亡くなってしまいました。このロッキー堀江さんというオーナーはプロの経験者であり、タイトルも獲得したことのある知る人ぞ知るレジェンドです。

 私はそんなことを微塵も知らず大宮へと赴きSPロッキーを尋ねました。入店して初めてっすと言い着席。さっそくロッキーさんが卓にはいり麻雀を打ちました。これといって会話をすることはなくひたすら4半荘くらい打った覚えがあります。慣れない地ということもありこの辺で辞めておくかと思い精算していたときに、あまり見かけない顔なせいかロッキーさんが話しかけてくれました。そこでなんかすごく安心できる人だなって思った私は、「実はプロを目指してるんです」と打ち明けました。

 そうするとロッキーさんは「そういうことなら・・きっちり言っておくね」と前置きをして、私の姿勢としてダメなところを沢山教えていただきました。その当時、牌をカチャカチャやるのが好きだった私はまっさきにそういった今後”どう見られるか”といったところを修正していただきました。

 数多くのプロを目指すものと去るものを見てきたロッキーさんだろうけど、こんな一見の私でも丁寧にアドバイスしていただけたのはいつまでも印象に残っています。私は濁してプロを辞めた人間だったのでその雀荘には戻れず、ロッキーさんとは今生の別れとなってしまいました。

 そこの雀荘は来る人も様々です。ただ麻雀が打ちたいおっちゃんやほんの好奇心で訪れた女性や、ふつうのセットのお客さんもいます。そんな中、日本プロ麻雀連盟の仁平宣明プロもよく顔を出していました。仁平プロは当時トップリーガーでもあり、そんな人と打てるなんて、なんてラッキーな雀荘だと思っていました。

 しかしこれといって上手くない私は、なにかを学ぶわけでもなく、上手い人と麻雀を打てたという事実のみが印象に残り、その対局から何か学べるほどの実力なんてありませんでした。

◆おじさん怒らせ事件◆
 ひとつ強く鮮明に覚えている事件がありました。それはよく通い詰めてるおっちゃんと同卓したときでした。そのおっちゃんは中と發をポンしており大三元張ってるんだぞオーラを出しまくっていました(大三元は超強い手で上がられるとめっちゃ痛いです)。私が張った手はリーチのみ手で西となんかのシャンポン待ちだったかなと思います。この西は絶対あがれると踏んだわたしはリーチをして、見事に他家からあがれて役満チャンスを蹴ることができたのですが、これにおっちゃんは怒り心頭。あろうことかマナー違反でもある攤牌(タンパイ:本来はあがったら牌を倒して見せる行為だけど、あがってもないのに手を開いて解説するのも指す)をしてきて大三元はってたんだぞ!と啖呵を切ってきました。

 そんなん知るかよだったら黙って大三元あがられるの待ってればよかったのかよと頭の中で叫んでましたがチキンな私は「アッ,ハイ」くらいしか言えなかったです。それからことあろうごとにいちゃもんつけてくるおっちゃん。ポンの発声しても「あ?聞こえねーよ」とかほんと些細なことでもつっこんでくる老害と化したのです。

 もうこんなんこの半荘でラストだと思って耐えていました。まぁ地獄でしたよ。

 精算時ロッキーさんが声をかけてくれました。「まぁあがり方は人それぞれだから何も言わないけど、プロ目指すならもうちょっとうまくやらなきゃね」と助言をくれました。

 みなさんお気づきだと思いますが、私は世渡りがめっちゃ下手くそです。麻雀も下手なら世渡りも下手ってそりゃ麻雀界で生き残れるわけないんですけど、ロッキーさんはそんなポンコツな私にもほんとに優しかったです。

 そんなロッキーさんとの思い出で今回は締めたいとおもいます。


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