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今一番推してるマンガを語る!【オンラインマンガプレゼン大会2020】レポート

どうも、クチコミとランキングでいいマンガが秒で見つかるサービス『マンバ』です!
昨年末に開催された「オンラインマンガプレゼン大会」みなさん見ていただけましたでしょうか!?

▼配信アーカイブ▼

「今、私が一番推しているマンガ」をテーマにマンガ好きの発表者6名が集結した大変ホットなこのイベントのもようを、マンガソムリエ・兎来栄寿さんによるレポートでお届けします!
配信アーカイブを聞きながら発表者の方が推された作品をぜひ読んでいただだければと思います。それではどうぞ!

◇◆◇◆◇

おはこんばんちは、マンガソムリエの兎来栄寿です。

昨年末に行われた、第4回目となる年末恒例のマンガプレゼン大会の様子をお伝えします。

▼過去のレポート▼

今年は世間の状況を鑑みて初のオンラインで開催となりました。

毎年、熱いプレゼンが行われてきたのですが、今回モニター越しであることにより生の熱量を感じられない分はどうなるかな……と思っていた時期が私にもありました。

しかし、終わってみればそれはまったくの杞憂でした。オンラインでも、むしろオンラインで物理的な制約もあるからこそ輝く素晴らしいプレゼンをして頂きました。

以下にて、当日の様子をたっぷりお届けします。

■リハーサル

開始時刻の18:00を前に、スピーカーの方々をお呼びしてリハーサルを行っていました。

かなりの多人数で同時にZOOMに接続し、画像とプレゼン資料を切り替えながら行うということで事前に諸々をチェック。

その時点で、既に画面越しに例年と遜色ない熱気が伝わってきていました。

「私が5分間永遠に喋り続けるんで! 5分間の永遠です!」
といったパワーワードも飛び出し、一体どんなプレゼンが飛び出すのか司会を務めながらもより一層楽しみになりました。

そして、18:00を迎えるといよいよイベントの幕が上がりました。

■プロローグ

開始の合図に全員で
「「「オンラインマンガプレゼン大会~!」」」
と同時に言うタイミングは見事にズレました(普段、二人だけでのタイトルコールも結構ズレてしまうのですが、その理由を今回は参加者の方々にも身を以て体験して頂けたかと笑)。

なお、2019年のマンガプレゼン大会や数多くの読書会は池袋の「Comic Cafe&Bar しょかん」さんで開催させて頂いていたのですが、大変残念なことに2020年いっぱいで閉店となってしまいましたので、最後にこれまでの感謝を述べさせて頂きました。この場でも改めて御礼申し上げます。しょかんさん、本当にありがとうございました。

司会の自己紹介の後に、今回のルール説明。1人当たりの持ち時間は、マンガのプレゼンが5分、そして自己紹介と質疑応答の時間も加えて全10分。その中で「今推しているマンガ」について全力で語っていただき、それを聞いた視聴者が最も良いと思ったスピーカーに投票を行い、最後にベストスピーカーを決めます。

今回は6名のスピーカーの方にお集まりいただきました。毎年のごとく、今回も人気作品から同人誌まで幅広い作品が集まりました。スピーカーとしては2018年にはペッパー君が参戦したこともありますが、2020年は遂にVTuberも参戦! 時代の最先端を行くビブリオバトルイベントではないでしょうか。

それでは、今回はどんな作品がプレゼンされたのか。その素晴らしきプレゼン内容も掻い摘みながら紹介していきましょう。
*それぞれの発表画像をタップ/クリックするとYouTube上のアーカイブを再生できます

■1人目 のれん雛さん『灼熱カバディ』

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トップバッターののれん雛さんが紹介したのは、マンガワンで連載中で2021年4月からアニメの放映が始まりブレイクが期待される『灼熱カバディ』。

インドの国技である「カバディ」を極めて真剣に描いた熱いスポーツマンガで、特に2020年中にほぼ1年かけて描かれた試合の中の描写は「灼熱」の名に相応しい激アツ展開のオンパレードでした。それ故、個人的にも2020年の中で特に好きで推したい作品としても投票しています。

実は、のれん雛さんは『灼熱カバディ』のプレゼンは今年で3年連続。それというのも、このマンガプレゼン大会のテーマが毎回「今推したいマンガ」だからとのこと。

前回は主人公の宵越にフィーチャーしたプレゼンでしたが、今回は双璧をなす人気キャラクターの王城の魅力について語り明かされました。のれん雛さんはこのプレゼンのために事前に王城推しの人にアンケートを実施していました。

その詳細な回答はのれん雛さんによってまとめられています。

寄せられた文字数の合計が軽く小論文ほどにもなっており、それくらい魅力的なキャラクターが存在するということで、たったひとりのキャラクターを紹介することによって、他にもこれくらいの熱量で人を狂わせる魅力を持った登場人物がいるであろうことを予感させてくれるプレゼンとなっていました。

ちなみに私自身も王城が2020年の男性キャラクター総合でも上位の推しなので僭越ながらアンケートに回答させていただきましたが、単行本未収録の172話は本当に神回で推したい気持ちの次元がさらに一段回高次なものとなったのでぜひ読んでみてください。

次回も『灼熱カバディ』プレゼンをしてくださる気満々のようで、もしかしたらその頃にはアニメ化によって大人気になっているかもしれず今から楽しみです。

■2人目 コニシさん『サブスク彼女』

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2人目のスピーカーは、マンガブログ「こにわっか。」を運営しているコニシさん。ラブコメと福本伸行作品がお好きだそうです。

コニシさんが紹介するのは、『サブスク彼女』。

繋がる個体』や『戯けてルネサンス』の山本中学さんの作品です。

日本文芸社のマンガTOPで連載中で、イベントの時点では単行本未発売でしたが(1巻が2021年2月19日発売予定)、それにしても面白さの割に言及数が少ないと感じて紹介してくださったそうです。しかも、マンガTOP編集部にも声を掛けて公式公認で行ってくださったとか。

『サブスク彼女』の内容はコニシさん曰く「ヒロイン全員メンヘラ」「メンヘラたちの『アウトレイジ』」。とても便利に今を楽しむために好きな時に呼び出されるサブスクのような女、という切り口でヒロインたちを描く力量は流石山本中学さん。時代に即した人間の描き方に冴え渡りがあります。

「いい感じにヘラってますよね」など、パワー強めのワードが並べられながら、淀みなく丁寧に作品の魅力をわかりやすく紹介し、時には強く情感もこめて、素晴らしいプレゼンを行ってくださいました。
「ありそうでなかった今どきでエモいテーマ」
「可愛くてHみのある絵」
「めんどくさくて愛らしいキャラのわかりみが深い心理描写」
が『サブスク彼女』の主な美点であると主張。

コニシさんは時間内に収める練習も全然していないとのことでしたが、制限時間5分の中で過不足もありませんでした。

今回は6名とも本当に素晴らしかったのでベストスピーカー投票は非常に悩みに悩みましたが、それでも敢えてひとり選ぶとしたら、というところで私はコニシさんに票を投じさせていただきました。

コニシさんによって改めて文章で『サブスク彼女』の魅力を語っていただきました。

なお、コニシさんは作り手としてノベルゲームも制作したそうです。ノベルゲームがお好きな方は遊んでみてください(宣伝を歓迎していくスタイルです)。

■3人目 紙屋凪さん『吸血鬼の食卓』

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3人目は、遂にVTuberが登場。「今回のマンガプレゼン大会にはVTuberも参加する」と聞いた時は本当に衝撃でした。プレゼンを行ってくださったのはバーチャル書店員の紙屋凪さん。

紙屋さんはご自身のチャンネルで日々新作を中心にマンガの紹介を行っているのですが、そのラインナップが玄人そのもの。おそらく、普通に生活していると出会えないであろう作品が多数紹介されているので、面白いマンガを探している方はチャンネル登録してみてください。

そんな紙屋さんが紹介したのは、吉田了さんの『吸血鬼の食卓』。

COMICジンガイというレーベルですが、知らない方も多いでしょう。

『吸血鬼の食卓』は、吸血鬼が人間に知られず血を得るため、そして他の吸血鬼に権威を示すために餌としての人間と専属の契約を結んで飼っているという設定です。恋愛でも友情でもない、唯一無二の関係性が三組の人間と吸血鬼を通して描かれる「未来への希望と切なさを併せ持った物語」であると、解りやすく魅力が伝わってくるプレゼンを行なって頂きました。

視聴者の方々からも「顔がいい」「声がいい」と評判で、司会のTさんもうっとりと聞き惚れてしまう名口上でした。まだVTuberとして活動を始められたばかりですが、今後どんどん飛躍して頂きたいです。

なお、Amazonレビューではほとんど★5なのですが、「表紙が百合っぽいのに百合だけではなかった」という理由で低評価が付けられているようで不当な評価であると紙屋さん。相当な数を読まれている中で選ばれた1冊である『吸血鬼の食卓』、間違いのない面白さなのでぜひ読んでみてください。

■4人目 あうしぃ@カワイイマンガさん『不思議なゆうなぎ』

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4人目のスピーカーは、マンバにおいていつもクチコミの量と質がすごいあうしぃさん。遂に本邦初登場してくださいました。

「名前の通りカワイイマンガ、百合マンガが好きです」というあうしぃさんが紹介したのは、まさに2020年でも屈指のカワイさを持つ百合マンガ、good!アフタヌーンで連載されていた大庭直仁さんの『不思議なゆうなぎ』。

12月10日より、COMICリュウにて大庭直仁さんが『恋の好奇心』という新連載を始めたので併せて興味を持ってほしいですとあうしぃさん。

『不思議なゆうなぎ』は、女の子2人を中心に次々と不思議なことが起こる物語です。あうしぃさんは物語の内容もさることながら、その「独特」で「カワイイ」、そして「面白い」絵や表現の持つ魅力に「すごいものに出会ってしまった!」という所感を抱いたそうです。

私も思わず特典ポストカードが付くお店まで行って買ったほど絵が可愛くて魅力的な作品ですが、この特徴的なヴィジュアルはどこにルーツがあるのかと考えた時、石黒正数さんやつばなさんのようなテイストもあるものの、衛藤ヒロユキさんの『魔法陣グルグル』ではないかという考察をなさっていました。

「『不思議なゆうなぎ』が『魔法陣グルグル』から受け継いでいるのは絵柄と拙い恋心の化学反応」
としてプレゼンを締め括ったあうしぃさん。

更に、後日「マンガプレゼン大会補遺」ということで、当日に語ってくださった内容から更に掘り下げて語って頂いています。

文章での紹介も面白いのですが、実際に口頭で魅力を語っていただいてもとても充実した内容で、一視聴者として楽しく聞かせていただきました。

『魔法陣グルグル』が好きだった方は『不思議なゆうなぎ』も読んでみてはいかがでしょうか(ちなみに全2巻ですが2巻は電子のみでの発売となっています)。

■5人目 なかやまさん『火消しの鳶』

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5人目は、前回のプレゼン大会にて2位に輝いたなかやまさん。

ちなみに、その時にプレゼンして頂いた『きつねとたぬきのいいなずけ』がこの度めでたく単行本化され、2月10日に発売されるそうです。

自身が強く強く推した作品が、こういう展開になると嬉しさも一入ですね。

そんななかやまさんが今回紹介するのは、坂上暁仁さんの『火消しの鳶』。何と、なかやまさん自身が火消しの衣装を纏いその姿を上映しながら、今回も誰よりも情熱的にプレゼンを行なって頂きました。

『火消しの鳶』は下記のサイトで購入できる、坂上暁仁さんのサークル「すいかとかのたね」によりCOMITIA131で頒布された全60ページの同人誌です。

このプレゼン大会によって在庫が切れていることがわかり、作者さん自らリアルタイムで在庫を追加してくださって買えるようになり、すぐにポチられるという素敵な一幕も。

『火消しの鳶』は火事がとにかく多かった江戸を舞台に、当時ヒーローだった火消しと火事で父を喪った少女を描いた物語。スピード感と迫力、セリフ回し、綺麗にまとまり奥行きのあるストーリーが魅力的で、江戸の温かみを感じられるキャラクターは脇役にも違う物語があるのを感じさせられ想像させられるといいます。

とりわけ一瞬で打ち壊される家屋を描いた見開きは圧巻で「ボクはこの見開きに惚れて今この場に立っています」となかやまさん。

坂上暁仁さんの作品は第71回ちばてつや賞入選の「死に神」がWEB上で読める他、

『コミック乱』2020年12月号にも読み切りの「神田ごくら町職人ばなし~桶屋~」が掲載されているので、なかやまさんが激推し&大注目する坂上暁仁さんに興味が湧いた方は読んでみてください。


■6人目 すなわ食堂さん『忍者と極道』

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華々しくトリを飾ってくださったのは、すなわ食堂さん。

紹介されたのは、「このマンガがすごい!2021オトコ編」でも8位に輝いた話題作である、コミックDAYSで連載中の近藤信輔さんの『忍者と極道』。

内容はもちろんのこと担当編集を始めとする外部もノリノリで、忍極語ステッカーや名場面アクリルスタンドなど公式グッズの攻撃力も相当高く、SNSでの更新される度の盛り上がりもあって存在自体がある種のお祭り感のある作品です。

「『忍者と極道』を一言で言い表すと『治安が悪くて景気が良い!!!!!!!!』
「1話で30人の生首がトび、2巻終了時点で9万人が死に、極道車3万台のために"兆円"(チョウ)が突っ込まれ、一夜に5万人の暴走族が集結するとにかくスケールがデカい『クソデカ忍法帖』」
とすなわ食堂さん。

無限の魅力がある中で、今回は「一番好きな○○」という形で絞って語ってくださいました。

一番好きな対決は多仲忍者VS粋田恵介。
「こんな形で出会わなければ親友(ダチ)になれていたかも」
という主人公・忍者ですが、その後の「こんな絵面ある!?」というシーンは必見とのこと。

一番好きな忍者は覇世川左虎。
「男ななのにと思うかもしれませんが、左虎くんはマジでギャルなのでぜひ自分で真相に辿り着いてください」

一番好きな極道はガムテ。
「トップクラスに読者の心を掻き乱してくるキャラ。こんなに人ひとりにここまで人生詰め込めるんかい! と思います」

一番好きな番外編は「君のてのひらに」。
「読んであまりの感動に30時間くらい眠れなかった。本編を含めてもブッチギリに大好き」

「生首・ルビ芸・フラッシュ☆プリンセス」
「マンガを読んでいるというよりは『他人の人生に触れている』感じ」
などなど超パワーワード連発のパッショナブルなプレゼンをキメて頂きました。

忍者と極道 外伝 - 近藤信輔 / 「獅子の華」第1話 獅子と出逢う | コミックDAYS 

今から読む方はこちらの無料公開されている過去の話を描いた外伝から時系列順に読むこともできるし、本編から読んでもいいので幸福、とにかく読んで! ご清聴有難(アザ)ッス! と駆け抜けるように締められました。正にGod speed。視聴者からも「偉大(パネ)ェプレゼン…」というコメントが出ていました。

■投票、ベストスピーカー発表

6名全員のプレゼンが終了したところで、投票タイムに。甲乙付け難く、悩んでいる様子が見て取れましたし私自身本当にかなり悩みました。

映えある今回のベストスピーカーは……

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『火消しの鳶』をプレゼンしたなかやまさんとなりました!

なかやまさん、おめでとうございました!!
マンバのクチコミにも作品の魅力についてご投稿いただいています。プレゼンと合わせてこちらもお読みくださいね。

なお、裏話としてなかやまさんは諸事情により自宅では配信ができないので弟さんの家から配信してくださっていたとのこと。ご協力頂いたなかやまさんの弟さんもありがとうございました。なかやまさんの火消し装束を纏っての勇姿はぜひアーカイブで御覧ください。

改めまして、今回ご参加くださった6名のスピーカーの皆さん。
そして、ご視聴くだった皆さん。
本当にどうもありがとうございました!

■終わりに

プレゼン大会の終了後には、参加者の方々と共にオンライン懇親会を行いました。普段は読書会として決められたテーマの中でマンバのTさんやゲストの方々とお話してきていますが、直接参加者の方とフリーに話せる機会は久々でした。

「今年の中で特に良かった作品はなんですか?」
と尋ねると、『普通の人でいいのに!』『iメンター』『ラブスコア』などの名前が挙がりました。

この挙げられた作品にしてもそうですし、振り返ってみればプレゼンされた作品もWEB連載作品が4作品、雑誌連載作品が1作品、同人誌が1作品とかなりアンテナの感度が高い方々によって充実したイベントにして頂けたなと感じます。

マンガプレゼン大会を開催するたびに、純粋無垢で燃え上がるような「好き」という気持ちに触れられて、それだけで毎回とても幸せな気持ちになります。

この1年間は過去にないとても大変な時間となってしまいましたが、むしろこんな時だからこそ、こうした状況下でも生み出される素晴らしい作品の数々に触れた時の理屈を超えて生ずる「好き」を大切にし、生きる糧として、その素晴らしさと幸福の輪をできるやり方で広めていきたいなと強く思いました。

オンラインでも変わることなく、皆さんの強い「愛」に触れられて今回も幸せでした。また次回のプレゼン大会で鮮烈な「愛」に触れられることを楽しみにしています。

◇◆◇◆◇

2020年を締めくくるにふさわしいイベントを発表者の皆さまと一緒にお届けすることができました。配信見ていただいた方の中には発表者として参加したくなった方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。いらっしゃったらとっても嬉しいです。ぜひ次回以降の参戦、お待ちしております!

さて、新年最初のマンバ読書会も配信でお届け予定です!
1月23日(土)18:00より「2020年のマンガ」をテーマにみなさまのクチコミとともに、素敵なマンガを沢山語り尽くしたいと思います。

みんなで去年のマンガを総振り返りしましょう!今年もよろしくお願いいたします!

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