見出し画像

特等席 #エッセイ

彼女には特等席があった。

最前列から二番目
中央列、黒板に向かって右側

席替えしても
席替えしても
席替えしても
彼女はそこにいる。

彼女は頭がよくて
ハキハキとものを言う。

生徒会や部活でも活躍していて
志望大学のレベルも高い。

鋭さがあるのに、よく笑う
強いのに、悔しさや不安で大泣きする
まっすぐな人。


のほほんとしていた私は
彼女と話していると
豪腕投手とキャッチボールしているような
気分になるのだ。

少し怖く、少し痛く、
けれど、真正面から受け止められると
とても充実感があり、
なんだか自分を誇らしく思えるのだ。

一クラスメイト以上には満たない
間柄だったけれど。


まなを。ちゃん!おめでとう!!
すっごい努力してたから、嬉しい!

私が志望校に合格した時、
お菓子をくれた。

驚いた。

私は、
特等席に座る彼女を
若干後ろの席から
憧れ、見ていただけだったのに。

そんな私の日々を
小さき積み重ねを
認め、喜び、祝ってくれるのか。


やはり、あなたは

とてもかっこいい。


やはり、あなたは

その席にふさわしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?