鬼滅の刃に学ぶ~鬼滅キッズのボキャブラリー~

"鬼滅キッズ" と呼ばれる人たちがいる。

例えば、

これ鬼滅のパクりじゃん。
なんだかんだで『鬼滅の刃』がNo.1だし。他はたいしたことねーし。
鬼滅で言うとこのアレね。鬼滅のあのシーンってさ~!…(※ネタバレ含むコアトーク)

……と言ったような『鬼滅の刃』至上主義が行き過ぎて

とる態度が他人にとってただの迷惑となってしまうガキのような人を、そう呼ぶ。


たいていは、迷惑行為に対する慣用句として用いられることが多い。


けれど、そんな ”キッズ” は、あらゆるところに存在する。

今も、今までも、そして私も、どこかで何かの "キッズ" だった。


そこで、”鬼滅キッズ” が考えていること

見ていること、持っている語彙を 見つめ、考えてみる。


”キッズ”=語彙の習得段階

"キッズ” という呼び方は、”ガキ”に対する皮肉として

使われているのがメインだけれど、

きっと、本当は それだけのことではない。

ただの蔑称じゃないと、思いたい。


赤ちゃんや、小さな子どもが、

知らない言葉や 新しい世界に触れて

それらを習得していく大切な段階の形容でもあると、私は考える。


何かにハマるとき、

何かを推すとき、

私たちは、あくまで「今の自分」がハマっているのだと

信じて疑わないけれど、

実は、そのたびに子どもに生まれ変わっているのだと

私は思う。


●【『鬼滅の刃』の世界観がある世界】に生まれた子ども

●【推しのアイドルがいつも尊すぎる世界】に生まれた子ども

●【愛する人が隣にいるという日常世界】に生まれた子ども

……好きになったり、ハマったり、推したりしている時に

世界が輝いているのは、

推してる対象そのものが輝きを放っているというだけではなくて、

自分自身が、【その世界】に生まれなおしたから。


何も知らない状態から、

得るものしかない、吸収する他ない、当たり前に愛せる【世界】

降り立つことができたからなんだ。


違う世界に降り立ってしまったのだから

ちょっと周りのみんなと違う言葉や振る舞いをつかうのは当たり前。


ただし、本人はあくまで「今の自分」がハマっているのだと

信じて疑わないから、

【世界】外の人を傷つけてしまう。困らせてしまう。


手に入れた輝きや

習得した新しい世界での大切な語彙は

【世界】の外に悪影響を及ぼすことのないものにしたいもんですね。



”○○キッズ”だった私たち。

思い返すと、私は昔 “ポケモンキッズ”だった。

ポケモンがボキャブラリーの中心にいた。

日常生活で

〇〇ってポケモンの真似でしょ?
この言葉、ポケモンにもじってるね。

なんて、

ポケモンが世界の言葉の始まりかのようなことを言っていた。

(もはや ”キッズ" どうこうでなくただの子ども時代だけど…)


この語彙感覚が、

"鬼滅キッズ" を生んでいるのだろうと思う。

『鬼滅の刃』が創った世界観、キャラクター、設定、時代背景、……

フィクションとはいえ、現実世界に則った細やかな設計がある。

ハマる人達が、自分の【世界】の中心語彙に据えてもなんら不思議ではない。


作品の中には、確かに【世界】がある。

その【世界】の中に入って楽しむ人

その【世界】を外から見つめ楽しむ人

その【世界】をもはや自分の【世界】として住み着く人


様々な、みんな違う、【世界】の楽しみ方があるから

誰もが、"キッズ" だったかもしれないし


"キッズ"にならなくとも、

「楽しい」や「好き」が嘘になることは決してない。


”(鬼滅)キッズ”は悪か?

周りの人の【世界】を傷つけるという意味では、悪である。

けれど同時に、

【世界】の楽しみ方に違いがあると分からず

自分より【世界】の内側に入って楽しむ人を

"キッズ" と決めつけて糾弾するのも、また悪である。


同じ【世界】への向き合い方は十人十色。

その上

向き合う【世界】そのものさえが多種多様。

みんながきっと、どこかで何かの "キッズ"。


ただし、キッズは成長しなくてはならない。


子どもはみんな、大人になる。

いつまでも子どものままでいたい…その気持ちは愛おしいけれど

いつまでも餓鬼でいて、気づかず人を傷つける人間は

きっと、滅すべき悪鬼



鬼滅キッズのボキャブラリー


何かを愛する "キッズ" よ、

もっともっと成長しろ。


好きなものを想う中で

新しく知ること、出会う価値観、ときめく感情を見つける。

自分の中だけにあった【世界】が

【世界】の外にいる誰かとつながるための

ボキャブラリーを育てる。


困った "キッズ" はいるけれど

「好き」をもってる一人一人のボキャブラリーは

餓鬼から、成長していけるはずの人がもつ力。


自分のボキャブラリーを、

誰かと共有するボキャブラリーへ。


自分の「好き」を、

誰かと共有できる「好き」へ。

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