57年間愛された”まるしまのおにぎり”に込められた、ご夫婦のあったかい想い。
静岡にある、ちょっと素敵な場所や気になる人を訪ね、そこにあるストーリーをのぞいてみる”子どもだけじゃない、大人だって学ぶ”。略して”おとまな”。
タイトルには「自分が知らなかった世界や、モノコトについて知るって、学びじゃないか」という意味が込められています。
静岡の名店、「おにぎりのまるしま」って知ってる?
静岡駅の南口周辺にお店を構える「おにぎりのまるしま」さん。
”レトロで昭和の雰囲気漂う”このお店は、知る人ぞ知る静岡の朝食の名店。
看板メニューであるおにぎりと、静岡ならではのおでんなどが楽しめます。
お店は、佐藤政夫さん(78)と、つた江さん(72)のご夫婦で切り盛りしており、お店に行くといつも「あら、いらっしゃい。今日は何にする?」と、声をかけてくれます。
実家に帰ったような、そんなあたたかな気持ちにさせてくれるお店です。
まるしまは、TVや新聞などのメディアでも度々取り上げられ、地元客はもちろん、観光客も訪れており、多くの人に愛されています。
ところが、そんな「おにぎりのまるしま」が、今年の12月25日をもって、お店を畳むことになってしまいました。
長い間、たくさんの人に愛され、地域のにぎわいをつくってきた「まるしま」。そのストーリーが知りたくて、まるしまの佐藤さんご夫婦にお話を伺いに行ってきました。
「まるしま」のストーリーのはじまり
それは、初めての東京五輪が開催される前年、まだ新幹線も開通していない1963年のこと。
「おにぎりのまるしま」は、現在もお店に立つ政夫さんと、今は亡き政夫さんのお母さまが開業したお店です。
1977年に、つた江さんが嫁いだ後は、暫く3人でお店を切り盛りしていましたが、1997年にお母さまが他界されてからは、夫婦二人三脚でお店を営んできました。
そして今年、開業してから57年を迎えました。
現在では、静岡らしいあたたかな朝食を求めて、朝早くから行列ができるほど人が集まる「まるしま」ですが、開業の当時から、朝早い営業をしていたわけではなかったと、つた江さんは話します。
おにぎりには、ご夫婦のあったかい気持ちが込められている
ではどうして、朝早い時間から開店するようにしたのでしょうか?
お話を聞いてみると、「うちは駅から近いから、駅で働く人たちが、夜勤明けに通ってくれてたりしたんだよね。そんな人たちに、”朝からあたたかいご飯をたべて、元気になってほしい”という想いで、約20年くらい前かな?朝早くから開けるようにしたの。」とのこと。
ご夫婦の優しさゆえ、朝早くから営業していたのですね。
その当時は、朝6:30からお店を開けていたため、ご夫婦は毎朝4:20に起き、仕込みをして、お客様を迎える、という生活を繰り返していたのだそう。
つた江さんは、その当時のことを、「本当に、よく頑張ったよ・・・」と振り返ります。
そんなご夫婦の作るおにぎりは、1個100円から、そしておでんは60円と、お手頃なお値段。「みんなに喜んでほしいから」と、この価格で提供しているそうです。
本当に、どこまでも優しい佐藤さんご夫婦です。
「おにぎりのまるしま」の大きな決断
そんなまるしまさんですが、体力の衰えから、今年12月25日をもってお店を畳む決断をしました。
お店への想いについて、つた江さんは、
「いま振り返ると、本当にみんなに愛されていたなと思います。みんなさみしいよと言ってくれるけど、自分たちも、やっぱりさみしく思います。たくさんの人に来てもらって、ほんとありがたかったです。」と、話してくださいました。
おわりに
多くの人に愛される「おにぎりのまるしま」さんを訪ねると、
ご夫婦が手作りした、家庭的で優しい味がする
”あったかい おにぎりとおでん”
そして、ご夫婦がお客さんのことを想う、
”あったかい 気持ち”
に、出会うことができました。
ご夫婦は、お店が閉まる最後の日まで、お客さんに感謝の気持ちを込めながら、おにぎりをにぎっています。
――まるしまさん、ありがとうございました。
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