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『故事成句でたどる楽しい中国史』(井波律子)
忙しい先生のための作品紹介。第40弾は……
井波律子『故事成句でたどる楽しい中国史』(岩波ジュニア新書 2004年)
対応教材 故事成語
ページ数 218
原作・史実の忠実度 ★★★★★
読みやすさ ★★★★☆
図・絵の多さ ★☆☆☆☆
レベル ★★☆☆☆
生徒へのおすすめ度 ★★★☆☆
作品内容
伝説の五帝時代から、辛亥革命で清王朝が滅亡するまでの中国史を一冊にまとめた本です。基本的には歴史の流れを説明しているのですが、その中で約200もの故事成語が紹介されており、歴史と言葉、双方の勉強ができる一冊です。
歴史の流れはもちろん現代日本語で書かれていますが、故事成語の核になる部分には、書き下し文もついています。そのため故事成語生まれた場面の文脈や臨場感を少し味わうことができるのが特徴です。書き下し文にも現代語訳が添えられているので、安心して読み進められます。
巻末には、故事成語索引や年表もついており、気になった故事成語の成立した時代や背景がすぐに調べられるようになっています。
おすすめポイント こんな言葉もあったの? 言葉の教養が身につく一冊
本書には200近くの故事成語が収められているため、中には「これも故事成語だったの?」と思うようなものも紹介されています。「馬鹿」「白い目で見る(作中では「白眼」として紹介)」など、普段何気なく使っている言葉も故事に基づいているものが多くあります。実際に故事成語が生まれた文脈を知ることで、言葉感覚が豊かになるでしょう。
一方で、「減竈の計(げんそうのけい・戦争中に竈の数を減らして戦力が低下しているように見せかける手法)」、「髀肉の嘆(ひにくのたん・評価されないまま一生を終える嘆き)」など、日常ではあまり使われていないような言葉もあります。これらは、言葉自体はあまり目にしませんが、その内容は現代にも通じるものです。本書を一冊読み終える頃には、自分の中の言葉の世界が広がっているのではないでしょうか。
活用方法
本書は200ページ程度で200弱の故事成語が紹介されているため、一つ一つの解説はそこまで長くはありません。しかし、逆に言えば歴史や思想などの背景を端的に知るには使いやすくなっています。そのため、授業で故事成語を扱う際に、冒頭で資料として配付することができます。簡単な前提知識を持っているだけでも、本文の理解の助けになるでしょう。
また、本書は文章が読みやすい上に、中国王朝の歴史が一冊にまとまっており、生徒に薦めるにはもってこいです。一冊通しても読みやすいですし、気になったところを拾い読みするだけでも、良い勉強になるのではないでしょうか。
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