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抑うつで休職した流れを思い返してみる

 わたしは2021年11月に抑うつで休職し、現在も仕事を休み、治療中の身です。
 休みはじめてからだいたい4ヶ月くらい経って、やっと落ち着いてきたというか、実際まだまだ波はあるんだけれども多少文章の読み書きくらいはできるようになってきて、「あの時、もうちょいこうできたな」と振り返れるようにもなってきたので、軽く書き残してみようと思います。
 わたしは医療や心理の専門家でもない、ただの当事者の振り返りなので、苦しくて悩んでいる人はぜひ専門家の情報を探してくださいね。(こころが苦しいとき、正しい情報を収集することが一番難しいことだというのは重々承知しておりますが)

[ 2021年8月 ] 異動命令が出、長時間通勤が終わる

 2020年の春から1年半くらい、片道2時間かけて会社に通っていました。いま考えると無謀なのですが、引っ越し先も見つけられず、どうすることもできませんでした。夜中に職場の駐車場で急に腹を下した人がいたようで朝から見知らぬ人の人糞を片づけたり、トイレにあった便座清掃用のアルコールが盗まれたり(当時はアルコールが入手しづらい時期でした)、ガラス窓にぶつかってきた小鳥を看病したり、いろんなことがありましたね。毎日動悸とめまいにも悩まされていました。肋骨にヒビが入って病院に行ったこともありました。ここで働いていたほとんどの期間体調が悪かったのですが、今まで健やかな体調でい続けてきたこともほとんどないので、「まあそういうこともあるかな」と思いながら働いていました。
 異動の話をいただいたときは、「ああ、やっと長時間通勤が終わる」とほっとした気持ちになりました。職場の部下たちからは「体調面が心配です」と言われたけれど、長時間通勤がなくなるだけでプラスしかないだろうとその時は考えていました。

[ 2021年 9-10月 ] 新しい勤務先へ、そして体調不良

 9月1日付で異動し、新しい勤務先へ行きました。新しい勤務先から家までは40分程度で、引継ぎの日の夜、帰路につきながら「こんなに家に近い職場なんてとても嬉しい」と泣きそうになったことを覚えています。
 わたしが異動した理由は詳しくは明示されていませんが、周辺で産休に入られる方が複数おり、その穴を埋めるためといったところだと思います。給料は変わらないながらも周囲からは「昇進した」という風に言われており、着任して間もなく偶然お会いした上司に「昇進したんだ! やるじゃん、おめでとう」と声をかけていただきました。
 着任早々やることは非常に多く、特に翌月に昇進試験希望者が3名いたことには頭を抱えました。面談の準備、前任者とのこれまでどのようなコミュニケーションをしてきたかを確認すること、またシステムトラブルがあるのかわたしが昇進希望者たちのなんたらの承認ができないので担当者に確認、などなど、毎日「なんでこんなにやることがあるんだ」と言いながら働いていました。
 ヒーヒー言いながらやっていたある日の夜、退勤し家に帰る途中、突如上司からLINEが入りました。「明後日から〇〇君を異動させるので、明日あなたは休みだと思いますが、彼に電話して内示してください」という内容でした。通常異動は2ヶ月前に決定されるので、翌々日から異動というのはかなりイレギュラーなことです。またその部下は当時の部署内でわたしが一番信頼している人で、実際彼がいなければ分からないことが沢山ありました。明後日というのは勘弁してくださいと伝え、その話はなかったことになりましたが、彼は翌月異動していきました。自分の1ヶ月やってきたことが振り出しに戻るような感覚もあり、また急な異動の話を退勤後に私用携帯に持ちかけてくる上司の感覚についていけないという思いが沸き上がりました。

 そのあたりからだんだん身体の調子が悪くなってきて、毎日頭痛薬を服用するようになりました。出勤する直前に飲んで、お昼休憩の時にまた飲んで、という感じです。9月中に頭痛で内科にもかかっていて、筋肉をほぐす薬を処方してもらいました。その時に「ストレスで頭痛が慢性的になることはありますか?」と医師に聞き、「ありますね」と答えてもらったのを覚えています。今考えればそのときすでに「ストレス」というのが頭に上っていたので、今の状況がしんどい、無理だということはうすうす分かっていたのだと思いますが、そこで休むという選択肢を取ることができなかったのが悔やまれます。当時新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいる時期で、わたしは1回目も2回目も副反応が激しい方だったので、それで寝込めるのが嬉しく感じるほどでした。39度の熱は辛かったけどね……。

 というわけで、毎日頭痛薬を飲みながらやっていって1ヶ月ほど経ち、さらに調子が悪くなっていきます。
 今度は胃が動かなくなりました。栄養素がバランスよく摂れるBASE FOODというパンがあって、毎日そのメープル味とチョコ味を食べていました。食べる気力がないけど、パンなら水分で流し込めば食べられるし、栄養素が揃っているということは身体にもいいだろうという判断でのことでした。通勤時も「なんでこんな泣くんや?」と思いながら移動していました。別に悲しいことがあって泣くとかじゃなく、身体の反応として「泣いている」という感じ。通勤時間は前の3分の1になりましたが、業務が立て込んでいて結局帰る時間は前の職場のときと同じくらいでした。
 部下たちに「大丈夫ですか」、「無理しないでください」、「休めるときに休んでください」と言われまくっていましたが、謎に働きまくっていました。当時部下たちの間で裏LINEグループみたいなものがあって、毎日の職場の様子を報告しあっているというタレコミを聞いていたので、「そんなこと言っててもどうせLINEではいろいろ書いてんだろうに……」と疑心暗鬼にもなっていました。今考えるとその妄想がもうヤバいんだけど、当時は気づかなかったですね。

[ 2021年 11月 ] 限界、休職

 「もうアカンな」と思ったのは、11月の頭です。胃痛がひどくてご飯が食べられなくなり、また無理やりご飯を食べると胸やけがして気持ち悪く、どうすればいいか分からなくなりました。また、友人たちに送るLINEの文面が考えられなくなりました。
 「LINEの文面が考えられない」というのは説明が難しいのですが、たとえば、「来週〇〇に行かない?」と言われたとして、自分があまり行きたくないなと思った時、「ゴメン、その日は用事があるんだ」とか、「〇〇はあんまり興味がないかな」とか、「××なら行けると思うんだけど、どう?」とか、あるいは行かないという意思表示として微妙な顔をしているスタンプを送るとか、そういう選択肢がありますよね。そのどれもが30%くらい頭に出てくるのですが、途中で消えてしまって、ボタンを押下するところまでいかないんです。書けたとしても、それが正しい判断なのかが分からなくて、送信できません。当時のLINEのトーク欄は、ほぼわたしが既読無視しているんだけど、わたしの入力欄には送れていないメッセージが残っている というような、いびつな感じになっていました。
 ちなみにこの「LINEの文面が考えられない」はいまだに疲れると発生するので、自分の大きなバロメーターになっています。

 で、いよいよ他人とも思うようにやりとりができなくなった。どうしよう。と思っているときに、YouTubeの閲覧候補に偶然、精神科医のチャンネルが現れました。(なんで?)(以前、精神疾患系の本を読みまくっていたので、その影響かな?と思っているのですが)
 早稲田メンタルクリニックの益田先生という方がやられている、「精神科医がこころの病気を解説するCh」です。下の動画はわたしが休職をしてから出たもので、当時わたしが観たものとは異なりますが、とても分かりやすいので、休職しようか迷っている人がいたらぜひ。

 このチャンネルにとても助けられました…… 益田先生ありがとうございます!! これなかったらマジで死んでいたかもしれない、いい時代になりました。そしてこれを候補にあげてくれたyoutube、ありがとう。いつもはヒカキンとはじめしゃちょーとゲーム実況しか観ていないわたしにこれを出したのは本当になぜなんでしょう……(YouTubeキッズの趣味を持つ大人です)
 このチャンネルの動画を片っ端から見て、「今の自分はもしかしなくてもメンタルが結構まずいな?」ということと、「休職ってどういう流れなんだ?(どういう制度なんだ?)」ということが分かっていきました。

 が、実際に自分が休職をした方がいいのか、まだ頑張れるのかというのは実感としては全然分かりませんでした。
 胃痛が本当にひどかったので、まず仕事を2日、休みました。病院にかかる待合室の中で、ふと「今ならLINEの文面が考えられる!」と思い、友人たち複数に聞いてみました。「仕事のストレスで胃痛がひどくて、今日仕事休んでる。辛いんだけど、どうしたらいいかな?」みたいな感じで。3,4人くらいに送り、全員から「休んだ方がいい」と来たので、あ、そうなんだ、と思い、上司に「メンタルも辛いので、診断書を貰えるかどうか相談したい。その相談が終わるまでしばらく休みたい」と連絡しました。(上司からは「そうですね。そうした方がいいと思ってました」と言われて、もっと早く言ってくれよ!と思いました(笑))。

 休職をするにあたり、「診断書が必要」というのは知っていたのですが、それをどのようにして貰うか というところが不安材料でした。ここまで来ていても、医者に「働け」って言われるんじゃないかと思っていたんですよね。
 弊社には保健師がおり、電話面談で相談ができるとのことだったので、仕事を休み始めて5日後に話をしました。当時すでに精神科にかかって抗不安薬と睡眠薬を処方されていたので、「その先生に事情を説明して、『休職診断書を書いてほしい』とお願いしたほうがいい。電話で十分だから、やってみて!」とアドバイスを受けました。あのアドバイスはとてもありがたかった。実際、そのあと電話してみたら翌日には「抑うつ状態として休職」という内容の診断書がもらえ、無事正式に休職することになりました。

[ 2021年 12月~ ] その後の休職生活、そして現在

 そして現在まで、休職し、療養しながら、病院とカウンセリングに通って治療をしています。
 短期的に見ればわたしの病状は適応障害的というか、過重労働が重なって潰れたように見えると思うのですが、現時点では、それは正解でもあり不正解でもあるんだろうな、と思っています。何しろ、異動前から体調不良は慢性的にあったし、その前からだって別にすこぶる元気だったってわけじゃないですからね。わたしが育った環境や社会環境、その他いろんなものが複合してこういう状態になっているんでしょう。
 ちなみにカウンセラーに休職したことを伝えたら、とても喜んでいました。休職する前からお世話になっている方ですが、本当に無理してる風に見えていたんだろうな。

 ちらほら、「休職中に転職活動を頑張った」とか、「休職中に資格を取った」みたいな話も耳に入るのですが、今はそういうことをする気は全くありません。だって治療中だもの。
 散歩しているときに見つけた公園の遊具の黄色が鮮やかだったとか、久しぶりに米が炊けて嬉しいとか、そういう小さなことから、自分が慢性的にストレスを解離させていたことに気づきはじめました。
 「解離」もまた難しい言葉なんだけど、わたしの場合は、めちゃくちゃ嫌な記憶がスポーンと抜ける性質があるようです。今まで上司に「仕事で困っていることある?」と何度訊かれても全く出てこないということが多々あったのですが、それもたぶん、解離を起こして一時的に忘れていたんですよね。怖……
 同様に幼少期の記憶が抜けまくっているので、今そのかけらを集めている最中です。

 はあ…… すごく書いてしまったな…… まさか5000字近く書くと思わなかった。
 でも久しぶりに長い文章を書いて、頭を整理できて、とても楽しかったです。
 こころが辛くて悩んでいる方は、ぜひ早く専門家と繋がって、ご安全にお過ごしくださいね~。

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