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HSPのしんどさは単に五感が鋭くてきついということだけじゃない:「HSPのこと結構調べたけど、生活に活かせない」人のことを考える

 はざます! HSP(Highly Sensitive Person=非常に繊細な人)という言葉もすっかり人口に膾炙している今日このごろですが、ご自愛してますか? 知らない方向けに簡単に説明すると、HSPとは「普段の生活の中で非常に疲れやすく繊細な性質を持っている人」的な感じだと思います。正確に知りたい人はぜひ検索をしてもらうとして、HSPは病気ではなくその方の気質なので、ネット診断でもまあまあ自分の傾向がわかります。ちなみにわたしはさっきここで診断テストしたらこんな感じでした。

--- 診断結果 ---
スコア:113
(-52~140)
HSP度:【強】
非常に強いHSPの可能性があります。他の人に比べ困難な点が多くあると思いますがその反面、他の人よりも優れた点が多くあります。世界に必要な才能を備えているあなたは自分に自信を持った生き方をし、そして疲れた時は休息をとりましょう。

 この傾向は幼少期から出て、大人になってもずーっと保持される方が多いかなと思います。わたしは近所の子どもが「遊びましょ♫」と家の前にやってくると家の中から「やだよー」と答えてワープロ遊びに勤しむ子どもだったらしいですし、夏休みキャンプに行くと発熱して帰ってくるような子どもでもありました。今でもららぽーととかダイバーシティとかの巨大ショッピングモールに遊びに行くと、音と光がうるさすぎて寝込みます。そういうところで働く仕事なのに……。あと人が怒られているところを目撃するとキツくて死にたくなります。そういうこともある仕事なのに……。

 昨今、HSPブームと言っていいくらい、書店でもネットでもyoutubeでもHSPの情報をたくさん見つけることができますが、多くは「HSPの気質とは?」みたいな、良書を2〜3冊読めば解決できそうな情報ばかりだと思っています。そこをいくら見ていてもHSPという気質に対する知識が多少増えるだけで、「自分を生きやすくするためには?」というところで立ち止まっている人は(わたし含め)いるのではないかな、と思いました。この外出自粛期間を利用して自分なりに学びが深まったので、「#いま私にできること」として、今日はnoteらしく「自分なりにHSPの活かし方を考えてみた」的な文章を書いてみようと思います。

1.HSPのことを知る

 まず前提として、HSPとは単なる気質のことで、自分のことを完全に言い当ててくれて行動指針を示してくれるものだと思ってかかると、「HSP 性格」「HSP 仕事」みたいなキーワードでgoogleを検索しまくった履歴ばかりが残ることになります。自分がどうなりたいか、自分がどうすべきか考えるには別のツールを使うべきで、あくまでHSPは「自己分析」の一つとして使うものです。ちなみに「自分がどうなりたいか」「どうすべきか」で迷っている人、cotreeのコーチングはめっちゃいいよ!(PRではない)

 というわけで、「自分はHSPかも」と思っているけどネットの情報をさらっているだけという方は、まずHSPに関する本を2〜3冊読んで体系的な理解を得ることをお勧めします。HSPに関してはいろんな良書が出ています。有名なのはこのあたりか。「匂いがきつい」「触覚がきつい」というような人に対して、具体的なTipsを与えてくれる本です。しんどいときに弱い度数のメガネを持っておくというのは本当にオススメです。

 あと、HSPというよりは内向型の人向けの本ですが、わたしはこれもすごく勉強になりました。わたしは特に音や光、色がきついのが無理なのですが、その問題が出てきたときにまず刺激に耐えられるようにしようと考えて、結局全然無理だったんですよ。そこでこの本を読んで、「生まれた時ならこういう気質ならもう仕方ないわ」と考えられるようになった。タイトルちょっと胡散臭いですけど、原題は「Quiet」です。つまり静と動であれば前者を選ぶ人のための本ということ。いい本です。

 これ以外にも大量に本が出ているので、ざっくり何冊か読んだらいいと思います。なんせブームですからね。それで「HSPに全部当てはまるわけじゃないな」と思う人は、「内向型」の方も調べてみるといいと思います。

2.自分のことを知る

 HSPのことをインプットしたら、「では自分は特にどの気質が強いのか」というところを探ります。なんにせよ重要なのは、「自分はHSP(・内向型)だから○○ができない」と自分を哀れむのに時間を使いすぎないこと。これめちゃくちゃ楽しいんですけど、やりすぎてるとまた問題が出てきた時に普通に対処できなくて死にます。

 上記の『「繊細さん」の本』などを読んで「あるある」と思った項目から意識していくのもいいですし、今まで嫌だったなと思ったことをとにかく羅列してみるというのもいいのかもしれません。わたしは気づいたらTwitterに書くようにしていて、時々Twilogで「最悪」とかでソートして調べています。それで「光が強いところ」「音がうるさいところ」がダメだということが分かりました。あと、これはHSPに関係ないかもしれないけれど、睡眠時間が不安定になっているとより音をうるさく感じるとか、お腹が痛くなるとか、そういう傾向が分かると、次の項「嫌な時の対処法を考える」時に役立ちます。

 また、「嫌なことを知る」のと同じくらい、というかそれ以上に、「好きなこと・自分にできることを知る」のが大事です。本やサイト、youtubeの情報って、ネガティブなものに吸い寄せられる傾向にあるので、そればっかり見ていると自分の良いところについてはあまり目を向けられないんですよね。心の中の抑うつっぽいわたしが「うさんくせーよ、自分にいいところなんてあるのか?」と言っているので苦しくも理性のわたしが話しますが、本当です。例えばわたしは集団行動が苦手ですが、一方で人に頼まれていなくても一人でずっと家にいられて本が読めて、これだけの長文を書き連ねられるという特性があります。ただ、特性ってみんなやろうと思えばできるだろうと思いがちなんですよね、無理しなくてもできるから……。これはわたしも友人たちに書いた文章を読んでもらったり、反応をもらったりしてやっと知りはじめています。人生勉強です。

3.嫌な時の対処法を考える

 なんかこんなにえらそうに書き連ねているけど、需要あるのか?と思う内なる自分が発生してきていますが、すでに筋道が立っているので書き続けます。ここでどうでもいいことなので興味がない人は次の段落まですっ飛ばして欲しいのですが、「ソーシャルスタイル理論」というものがあって、cotreeのコーチングでやっていただいた時にわたしはメインが「アナリティカル(分析的)」でサブが「ドライバー(行動的)」だったんです。これ、前者は「熟考する」で後者は「結論をさっさと出す」と言う特徴があるんですが、文章を書いている時にこの二つの属性がマジで相反することを言いまくっていて、しばしば激しいコンクリフト状態になります。ドライバーの自分が「さっさと結論書けや。記録をとって自己研鑽しろ。終了」と言っているんだけど、アナリティカルの自分が「いや、それを言うにはね、まず定義と、それからこの本を紹介して……」みたいなこと言ってるんですよ……。はあ……。(さらにどうでもいいことなのですが、会社でこの簡易版テストをやった時は「ドライバー」と出て、周囲の同僚たちに「絶対それでしょ」と言われまくりました。スピード感を重んじベンチャー気質な会社にいるのでそこの部分が評価されやすいのかもしれない。)

 話を戻します。わたしが行き詰まっていたのは、前項の「自分を知る」、特に「自分が嫌だと思うことを知る」で止まっていたがゆえのことでした。自分の特性を知り、自分の得意なことを知るのがいいよね、という話でしたが、今度は「嫌な時の対処法を考える」というフェーズです。長々書いてきましたが、要はHSPというのは「人より嫌なものが多い人」なわけです。ですから、「嫌なものに出会ったら、どうするか?」というところを先回りして対策しておくのは非常に重要です。

 嫌な時の対処法を考える上で、わたしが使ってよかったなと思ったのは、「PCOP(心理的危機対応プラン)」です。無料です。これ、サイトを開くと「死にたい、と思うくらい辛い気持ち」の対処法として出るのですが、そこまで行かずとも自分の不調を管理するのに非常に有用です。単にコーピングリストを作るのでもいいと思うのですが、PCOPのいいところはそれをいつも自分の近くにおいて、習慣的に見るものとして位置付けているところです。わたしは夜寝る前に飲んでいる薬があるので、その薬を飲む時に見るようにしています。そうすると自分で「警告サイン」として書いた状態を使って自分をスキャンニングすることができて、例えば「今肩こりがあるな、コーピングリストから一つ選んで何かしよう」とか思えるわけです。

 コーピングリストを作るのと同時に、「行動に対する思考パターンを減らせるか」というのもカギだと思っています。そもそも、HSPは社会的にマイノリティだから、問題が発生した時に判別するコストが余計にかかるというのがネックなんですよ。他のマイノリティ性をお持ちの方はよく分かると思いますが、情報を眼の前にして「自分がターゲットになっているのかいないか、一旦考えなければならない」というのがありますよね。恋愛論を読もうとしたら異性愛者限定だったとか、「母の日は何か贈るもの」という風潮に対して元被虐待児はやるべきなのかと迷うとか、そういうのがマイノリティの日常的に抱えるストレスの一つなわけです。HSPじゃない人でもあるかもしれないギリギリのラインのところでいうと、「行きたくないところに行こうとLINEグループで盛り上がっているけど、行くべきかどうか(どう断ろうか)」みたいなことですね。これに対して、「行きたくない場合の定型文を決めておく」とか「そもそもそういうLINEグループに参加しない」とか「リーダー格の人にこっそり行きたくない意向を伝える」とか、自分の行動様式をある程度決めておくと楽だと思います。そういう意味でいうとわたしはそういう小さな決め事めちゃくちゃありますね。基本的に4人以上の集まりには参加しないとか。(そのあと楽しそうな飲み会があると考えられる場合は行きます。酒好きなので……)

 わたしもこんな記事を書いていますが、自分の中で最適解が出ているわけではありません。PCOPを作ってもそれを読むことにしている夜以外の時間に嫌なことがあったら気づけないこともままあるし、まだまだなんですが、それでも年単位で考えると、どんどん楽になっていると思います。「行動に対する思考パターンを減らす」。「PCOPを利用する(自分の警告サインと、コーピングリストを作る)」、オススメです。

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