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書評「不平等の謎: 憲法のテオリアとプラクシス」遠藤比呂通 法律文化社

法曹、研究者、それを目指す人に読んでほしい :法における正義とはなにか?

本のタイトルはティリッヒの同名の神学論文からとられている。

その論文は「もてるものはさらに多く与えられ、もたないものはさらに多く奪われる」という「不平等の謎」はどうすれば解けるか?という問題を提示する。

この本はその問題に対する著者の解答の試みだ。

著者はその過程で憲法学に対してラディカル=根源的な問い、異見を提示する。

しかし、そのThesis(論旨)はクリアで、それに至る議論は英語圏でのアカデミックな正統な方法を踏み明瞭だ。

最初に、まえがき、最初の講演と「法における正義」について著者の考えを述べた最後の講演を読むとより個々の論文を理解しやすくなるかもしれない。

法曹、研究者、それを目指す人にこの本を読んでほしいと思う。

著者の主張に同意する、しないに関わらず、提示する問題は上記の人たちが必ず考え続けるべき問題だと思うので。

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