見出し画像

ディズニーシーと写真

最近趣味のカメラが「初心者」から「アマチュア」「ハイアマチュア」くらいになった。
資格試験にも合格したので、知り合いのプロカメラマンにも
「これでカメラを堂々と語れるね!」と言われたりして調子に乗っている。
そんな調子に乗っている私が、先日ディズニーシーで写真について考えさせられたので、メモ程度に書いていきたい。

ディズニーパークのスタジオ化

直近でディズニーシーに行って感じたのは、とにかく写真を撮るために立ち止まってポーズをキメる人々の多さだった。
SNSでも#ディズニー写真部というハッシュタグが多用されている。

パークにおける写真撮影には、いくつか種類がある。

1.キャラクター単体の撮影
2.キャラクターと一緒に自分も映る撮影
3.ショーで歌って踊るキャラクター(パフォーマー)の撮影
4.パークそのものの風景写真撮影
5.自分たちがメインの写真撮影(自/他撮り)

ざっくり分けるとこの5種類だろうか。
それぞれについて軽く解説していこう。
興味がない方はスクロールしてしまって構わない。

1.キャラクター単体の撮影
いわゆる「キャラヲタ」のみなさんがよく行う
撮影である。
キャラクターのグリーティングスポットで、
「あくまでもメインはキャラクターな一枚」を撮ったり
望遠レンズを使って、ショー・パレードの一瞬、推しキャラだけが映るように撮影したりするタイプだ。
私が年末にTDSに行ったのはクリスマスシーズンだったこともあり、
推しのクリスマス舞台を狙った望遠レンズ群が想像以上に並んでいて
正直ビビった。安いものではないのに、皆さんすごい。
厳密には「グリ派」と「ショーパレ派」で別れているらしい。

でもキャラってホント、どこ撮ってもかわいい・かっこいいし
あれはファンつくよなあとしみじみした。

2.キャラクターと一緒に自分も映る撮影
スタンダードかつ、昔からある「ディズニーランド行ってきました!」系の写真である。
キャラクターとゲストをさばき続けるキャストさんの神業を見れる。
失礼のなく、かといってダラダラとさせないキャストさん、本当にすごい。
1.のキャラヲタさんたちと一部レイヤーがかぶっている撮影でもある。

あとベビーちゃんのディズニーデビュー、キャラグリーティングデビューみたいなシーン、すごくかわいい。
「一瞬困惑・・・」からのバチバチ笑顔のコンボが最強。

3.ショーで歌って踊るパフォーマーの撮影
キャラクターではなく、アクターさんを狙うタイプのファンである。
美しいダンス、楽しい表情、そして華麗な衣装。どこを撮っても映える。そりゃそうだ、プロだもの。
ただ一方で、「何故か」個人名が流出していたり、追っかけファンが生まれたりしていて一部問題化している。
オリエンタルランドが規制をかけているわけではないが、
本人の予期せぬ瞬間に高画質で自分が撮影、保存された上で場合によってはインターネット上に公開されてしまうのは倫理的にどうなのかと思う。

4.パークそのものの風景写真撮影
#ディズニー風景 というハッシュタグがあるように、
ディズニーのテーマパークの「異国情緒あふれるけどどこか現実味がない」感じは唯一無二である。そのため、パークの風景というのも写真的に非常に美味しい。4番目は、そんな「ディズニーのパークそのもの」を被写体として捉えることを楽しむカメラマンたちのお話だ。
カメラでパークを切り抜くと、ありふれた風景もどこか印象が変わったように映る。また、ボケ感やら収差が影響して
「自分の目では見られない風景」が一枚の絵になるのもなんだか楽しい。
また、設計として「実際よりも長く見える」やら「広く見える」という演出が徹底的に計算されているのでそれもまた影響する。
写真家がスタジオのライティングやらプロップの配置を計算するところをほぼスキップしてシャッターをきることができるのだ。
冒頭でもsが、パークそのものが「7500円で遊べるスタジオ」化している現象にも少なからず関係がある撮影だ。(4月から値上がりするけど)

5.自分たちがメインの写真撮影(自/他撮り)
昨今話題の「SNS映え」というやつである。
そして、ディズニーパークの写真界で最も大きなパイを占めている層でもある。
ディズニーのパークは「テーマパーク」なのでそりゃもう、
「「「テーマ」」」が「「「完成」」」しているのである。
背景にしろちょっとしたオブジェにしろ、現実味のないカワイさが溢れているのである。
4番目と少しカブる部分があるが、
5番目は特にパークを「カワイイ私達がもっと引き立てられる場所」として扱っている節がある。
そのため、行き過ぎるとこんなケースが起きたりする。
承認欲求の暴走、だめ、絶対。

長くなったが、こんなもんだろうか。
とにかく現在のディズニーパークの楽しみ方はもはや
「写真ありき」なのである。
何回か述べたのでくどい気もするが、
東京ディズニーシー・東京ディズニーランドはもはや新しいカタチの
「スタジオ」なのだ。

「あ、そうやって撮ればいいんだ」

印象深いエピソードがある。去年の年末、私は彼氏とディズニーシーのとある場所でこの写真を撮影した。

DSC09812のコピー


この場所は、エリア全体がこぢんまりとした港町をモチーフにしており、
クリスマスだったこともあって「映える」写真を狙うグループで溢れていたことを覚えている。
そんな少し混み合ったエリアで一瞬空いたスキをついて撮ったのがこの1枚だ。
めちゃくちゃいいカメラにめちゃくちゃいいレンズをくっつけて、
シンプルにSNS映えーーーーなやつを一枚撮った。
私も大概俗物なので。

狙ったものが撮れて満足した私が、作品を確認しながらにやにやしていると、後ろの女子グループが
「あ、そうやって撮ればいいんだ」
と言いながら
同じ構図でカチューシャをつけたシルエットをスマホで狙い始めた。

かなり不思議な気持ちだった。
「構図を目の前でパクられた、ムカつく」とか、
そういう気持ちも無いではなかったが、どちらかというと
「そんなに写真に重きをおいているのか」とか
「他人と同じ構図でも良いから映えるやつが撮りたいのか」とか
なにかそういう気持ちだった。
(いやこのシルエット構図自体使い古されてはいるのだが)

誰も何も法律を破っていない。
道徳的に間違ったこともしていない。
ただ何か、皆が同じ場所で同じような構図で写真を撮っている様が少し気持ち悪く、もやもやしたのだ。
(2回めだが、シルエット構図自体はありきたりなものだ)

Instagramでディズニーの写真を観ると、
スマホ世代の写真は同じ構図で同じような加工で
AIが自動生成したかのように、かなり似通っている。
余談だが、カメラガチ勢は意外と個性が出てたりする。

自分もSNSはかなり使うし、写真もアップするのだが
それでもこういう出来事に遭遇すると
「写真ってなんだろうなあ・・・。絵と違ってボタン押せば作品になっちゃうしなあ・・・。」
と思ってしまうのだ。

ボタン押すだけじゃない、レンズだF値だシャッタースピードがどうのこうのという反論が来るのはわかっているが、
そんなことを気にしているのは社会においてはマイノリティのグループなわけで。
スマホでかんたんに高画質かつクオリティもそこそこ高めな写真が撮れてしまう今だからこそ、
「写真ってなんだろう」という問いを考えさせられてしまったのだ。

答えはまだない。

おまけ

少し似ている出来事のツイートを見つけたので引用する。

人間って、おもしろ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?