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幼稚園の同級生が私に教えてくれたこと

⒈はじまり

 小さい頃、私は物づくりをすること、文章を描くことが大好きだった。頭の中で描いたものを様々な形にして人に伝えることが楽しくて、毎日、色々な挑戦をし、日が暮れるまで遊んだ。そして幼い頃は、作品を作ったり、文章を書いたりすると沢山の人が誉めてくれた。だから自信もあった。
 しかし、年を重ねるうちに段々と誉められる機会は減っていった。そして代わりに職場で「大学出ているのに、使えない」と言われたり、友人から「刺繍が趣味っておばあさんみたい」と言われたりするようになった。そういった言葉を日々掛けられる中で、幼い頃は満ち溢れていた自信は徐々にそぎ落とされ、自分には誇れるものがないと考えるようになっていった。物づくりが出来たり、文章が書けたりしても意味がないと考えるようになったのだ。学生時代から行っていた刺繍の作品の制作は続けていたが、「趣味は?」と聞かれても「刺繍」とは応えないようになったし、作品は自分の部屋の壁に飾るだけになった。そして幼い頃からの癖で、文章も書いてはいたが、ブログなどでの発信はしなくなり、自分だけが見るノートに書くようになった。人目に自分や、自分の作ったものが触れることに対して不安を抱くようになったのだ。

⒉再会、そして文通

 そんな時、1通のメールがきっかけで、私は20年ぶりに幼稚園時代の幼馴染と再会した。彼は建築が専門で、大学院でも研究をしていた。そんな彼は、文通をしている中で、東京の面白い建築物や、建築の歴史など沢山のことを私に教えてくれた。対照的に私は何も話せなかった。自分だけの味…がないと思ったのだ。20年以上生きてきたのに、何をなってきたのだろう…彼と文通をするといつもそんなもどかしさを感じた。
 「休日はいつも何をしているんですか?」彼がある日質問をしてきてくれた。「休日かぁ…そんなに自慢できるような活動はない」私は回答に悩んだ。「とにかく沢山回答して、深掘りされないようにしよう」私はそう考え、「映画鑑賞をしたり、散歩したり、文章を書いたり、ダンスしたり、刺繍したりしています。」と回答した。
 「嫌じゃなければ、刺繍や文章を見せてくれませんか?」後日彼からメールが来た時は心臓が飛び出そうになるほど焦った。「書かなきゃ良かった…自分の馬鹿…」心からそう思った。しかし、書いたのに見せないのも悪い。私は「全然大した物じゃないんです…適当に作っただけなので、すみません…」と長い前置きの文章を付けて、ユニコーンをモチーフにした刺繍作品と、転職の体験を纏めた4コマ漫画の写真を彼に送った。

上:1転職活動の経験を題材にした4コマ漫画
4コマ漫画はこちらから読めます💁‍♀️


 「凄いじゃないですか」彼から直ぐに返信が来た。「刺繍は、図案から全て作っているなんて、凄いし、漫画も話が分かりやすいし、イラストもかわいいです」と。私は反射的に傷つきたくないと思い、「たいしたことはないです。」と返信した。すると彼は「色々な才能を持っているんだから、自分をもっと誉めてあげて下さい」と私に言った。「こんなに誉めてもらうの、何年振りだろう…」私の顔は恥ずかしさのあまり真っ赤になった。たいしたことのない作品しかつくれないし、私なんて、たいしたことのない人間と思っていたが、その私の考えが彼の言葉によって揺さぶられたのだ。

⒊気がつき、そして変化

 そのやり取りの後から、私の中である変化が生まれた。制作した刺繍や文章を彼に見せるようになったのだ。ニューヨークの街並みをモチーフにした刺繍や、結婚式のお祝い用の刺繍、絵本の原画、エッセイの初稿。様々なものを私は彼に見せた。彼は作品や文章を見るたびに「凄いね。素敵だね」と声を掛けてくれた。そして行き詰った時には「こういうアイデアはどう?」と新しい視点を与えてくれ、作品ができると「これはもっとみんなの目に触れるようにした方が良いよ」と情報開示用の様々なツールを教えてくれた。
 私の創作活動は彼の声かけに呼応するように活発になっていった。刺繍はキットを使用した作品やワンポイント刺繍からA3サイズの作品へと進化していき、今まで自分にだけで発表していた文章はオンラインへ投稿されるようになっていった。
彼に出会えたこと、そして彼が声を掛け続けてくれたことで、私は自分にもできることがあること、そして自分のやりたいことに自由に挑戦していいということに気が付けたのだ

⒋挑戦の今〜刺繍、絵本、エッセイ〜

 今、私は会社員として働きながら、刺繍作品の制作、絵本の執筆、エッセイの執筆など沢山のことに挑戦している。こんな挑戦を自分がするなんて、彼と出会う前の2年前の私は想像もしていなかった。
 これらの挑戦は全て1人の幼馴染に出会えたから出来ていることだ。2人だからこそできたことだと心から彼に感謝している。これからも2人で様々なことに挑戦し、2人でしか見れない沢山の景色を見ていきたい。

最後に彼と出会ってから制作した刺繍の写真載せて終わりにしようと思う。

⒌作品集

1枚目:母のアトリエのロゴを刺繍した作品
2枚目:彼の27歳の誕生日プレゼント。イギリスロックバンドCuluture Clubのボーイ・ジョージ
3枚目:クリスマスプレゼント。幸せになりますようにという願いを込めて、ユニコーン🦄
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