日本の無国籍の子どもたち

今日の学び

(厳密にいうと、1週間ぐらい調べて読んで奮闘していたので、今日だけの学びじゃないのは内緒🤫)

日本にも無国籍の子どもたちは存在している。
2022年の移民局の報告書では、19歳以下の子どもたちは149人も無国籍として登録されていると述べているが、実数は不明確(理由は後ほど)。無国籍者で言うと、1万人以上いるのではとも言われている。

そもそも無国籍とは?
UNHCRは、「どの国からも国民として認められていない人々」と定義づけている。
ただし、厳密には二種類ある。

①法律上の無国籍
持っていた国籍の国が消滅した、国籍法の制度上抜け落ちたなどの理由で、無国籍になること。
②事実上の無国籍
親が国籍を持っていて、本来それが継承できるにも関わらず、出生届を出していないので、事実上の無国籍。国籍国から政治上の理由で迫害されている、日本政府が国として認めていない国籍の保有者なども、事実上の無国籍とされる。

なぜ無国籍になるのか?
理由 その①

1894年の国籍法改定以前に無国籍として出生しており、改定の移行期間には20歳を過ぎていたため。

1894年国籍法改定以前まで、国籍法第二条では、
子は、左の場合には、日本国民とする。
1)出生の時に父が日本国民であるとき。
2)出生以前に死亡した父が日本国民であるとき。
3)父がしれない場合又は国籍を有しない場合において、母が日本国民であるとき。
4)日本で生まれた場合において、父母が共に知れないとき、又は国籍を有しないとき。

日本は、血統主義、つまり親の国籍を子どもが継承する制度をとっている。(現在も)
そして、「親」は当時は「父」のみとされており、父が日本国民でないと子どもは日本国籍を取得できなかった。この法律により、特に沖縄において、無国籍の子どもたちを多く生んだ。
沖縄は当時、アメリカの統治下→国土復帰の混乱期であり、父アメリカ人ー母日本人カップルが多数いた。ただ、アメリカは出生地主義(生まれた場所の国籍を受ける制度)をとっている。そのため、アメリカ国籍取得のために外国籍妊婦が移動してくるというのも近年問題になっている。血統主義の日本人母と、出生地主義のアメリカ人父との間に生まれた場合、制度上、どちらの国籍も継承できなかったのである。

問題が大きくなり始めたのと、男女平等が社会的に謳われるようになったのとで、法改定をし、「父母」とされた。

その移行期間として、子どもたちに国籍を与える期間も設けられた。しかし、20歳以下の子どもたちに制約された。その理由として、政府としては、戦後の満州・朝鮮からの移民に国籍を与えなくなかったからではないかとされている。

理由 その②
両親が日本にオーバーステイ(非正規滞在)をしており、出生届を出すことで、その発覚を恐れているから。

日本において、3ヶ月以上滞在するときは、在留資格が必要になる。その資格(学業・就業などの理由が途絶えた)ときに、延長ができないと、オーバーステイになる。オーバーステイになっても日本に残る理由は様々。難民としてきて、難民申請の認定許可待ちの人もいれば、長年日本に住んできて、そのまま日本に残りたいという本人の意思による人もいる。

ただ、非正規滞在は不法滞在とも呼ばれ、犯罪になる。そのため、発覚すると移民局の収容施設へと送り込まれる。最近ニュースになっている、ウィシュマさんがいた場所であり、長期収容に関して国連からも指摘が入るほど問題となっているところ。

収容を免れるため、出生届を出さずに身を隠し、子どもは無国籍になるというケース。
届出がないため、書類上、どこにも存在が認められていない。
最初に「149人の無国籍者の子どもがいる」と述べたけど、実数がわからないのは、この在留資格なしの無国籍者がいるためである。

理由 その③〜
アンドレちゃんのケースみたいに、母1人で産んで、フィリピン国籍とされていたけど、フィリピンに問い合わせしたら、その存在が確認されず、無国籍に陥るパターン。
自ら、国籍を捨てるパターンもある。
総じて、人それぞれの経緯があって、無国籍になっている。


無国籍になると、どんな弊害があるのか?
日本においては、在留資格を持っているかどうかで大きく違う。

整理すると
①在留資格あり無国籍
②在留資格なし無国籍
の2パターンがある。

もっというと、
①在留資格有・法律上無国籍
②在留資格有・事実上無国籍
③在留資格無・法律上無国籍
④在留資格無・事実上無国籍
の4つだけど、細かいので割愛。

①在留資格あり無国籍の人は、
在留資格を届出しているが、実効性のない国籍の記載がされている。
A国の国籍と日本ではされていたけど、A国に問い合わせたら、その国籍を有していなかったなど。
この場合、在留資格を持っているので、日本に住む外国人と同じ権利を受けることができる。基本的な生活に関わる権利は与えられるが、投票権・海外に出た場合本国からの保護などは受けられない。

②在留資格なし無国籍の人は、
前述したオーバーステイなどにより、出生届を出していないなど。
この場合、日本政府に存在が知られていないため、たとえば学校登校期・予防接種などの案内が届かず、本来受けられる権利も授与できない。

日本では、教育基本法で無国籍でも教育を受ける権利を、母子健康法で日本人と同じ権利(母子手帳の保有など)が与えられている。
ただ実際には、権利が与えられていることを知らない・言語的にわからなかったとして、また病院に関しては医療費が払えないなど、様々な脆弱性を絡んでいる。

何より、無国籍という存在の認知度が低いために、賃貸契約ができない・銀行口座が作れない・仕事が見つからないなど、実生活での弊害は大きい。もちろん、パスポートの発行も難しいため、国外に行くこともできない。


現状を変えるには

①無国籍者の地位に関する1954年条約、無国籍の削減に関する1961年条約の締約国になること。今、世界の約半分は締約国にも関わらず、日本は未だ未加入。

②日本国内での、無国籍の定義を明確化すること。

③日本国内の無国籍者数を明確にわかるシステム、全員が権利へのアクセスができるサポート体制をとること。

④帰化申請がしやすいようにすること。
帰化申請をするためには、①日本で出生を受けていること、②無国籍であること、③日本に3年以上在住していることが条件とされている。しかし、在留資格がない無国籍者にとって、3年以上在住していることの証明はできない。さらに、全ての条件が揃っても、法務大臣に一任されているので、法務大臣がNOと言えば、ずっと日本に住んでいても日本国籍が取得できない。

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自分の中での不明点

・なぜ国籍を自ら放棄する人がいるのか。
・在留資格がなくなり不法滞在になっても、なぜ日本に残りたいと思う人がいるのか。
・なぜ、在留資格(難民申請による特別在留資格含め)を与えたり、帰化しやすい制度にしないのか。
・なんで、1954年条約・1961年条約の締約国にならないのか。

掘れば掘るほど、なんでが止まりません。多分、調べたら他にも色々あります。

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個人的見解

掘れば掘るほど、訳が分からなくなり(情報によって書いてある内容も違ったりもして)、途中頭を抱えながら調べて、読んで、論文執筆していた。おかげで、今検索エンジンで「無国籍」って調べたら、どれも紫色で既読済の表示になっていて、我ながら頑張ったと思う。日本において、無国籍に関する論文が少ないのもあり、研究者たちとも、論文上で一方的にお友達にもなれた。

ただ、無国籍は難民とは違いつつも、関連している部分もあり、そこの交わりと隔たりの棲み分けが、最後まで難しかった。

あと、総じて排他的な印象は受け、歯痒い気持ちになっていた。もう、バンバン国籍与えちゃえばいいじゃん!って思ってしまう楽観主義者なので、なんで、そこまで国が慎重になるのかも分からず。途中、移民局の収容施設の動画とか見て、悲惨さを目の当たりにして、改めて現状改善が必要と確信しつつも、移民局側としては、収容者たちが嘘をついて放免を受けようとしているのではないかと疑心暗鬼になっているのも知り。それと同時に、どうして不法滞在になってまで日本に残りたいと思うのだろうと疑問を持ち(祖国から迫害を受けている場合は理解)。まだまだ、想像力と知識量が欠如しているなと実感。

そんな難しく考えないで、もっと寄り添って、みんなが生きやすい社会にしようよ。
あと2割でもいいから、みんなが人に優しくなれたらって、本当に思う。
平和にいこうよ。。

そんなことを考えている、2023年お正月。
(海外でのお正月は、毎回お正月感0で通常の生活送りがち。)

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