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港区「愛育病院」の「ナチュラルバースコース」体験記。メリデメと最大の魅力とは

愛育病院では、助産師さんがお産までを長期的にサポートしてくれる、ナチュラルバースコース、通称「NBC(えぬびーしー)」というものがあります。 

私は2020年に本コースで出産をしました。もしまた愛育病院で自然分娩をするなら、同様に選択すると思います。ただ、申込み時に提供される情報が少なく、事前に知りたかった点、途中不安になった瞬間があったことは事実です。

実際にNBCで妊婦後半・出産を経験してみた気づきと感想を詳しくまとめました。(大切な友人に説明するつもりで書いたら相当な量になりました。)愛育病院での出産を控えている方のお役に立てればと思います。

ナチュラルバースコースとは

病院のサイトによると、NBCとは

産婦さん自身が持っている「産む力」赤ちゃんが持っている「生まれる力」を引き出し、 自然で安全なお産を目指すシステムです。異常がなければ助産師が中心にお産の経過をみていきます。 経験を積んだ助産師がチームを組んで妊娠中から産後まで寄り添い、 個別に応じてケア・サポートを行います。

引用:http://www.aiiku.net/departments/for_women/obstetrics_and_gynecology/naturalbirth.php

具体的なことはわかりませんね笑 さらに続きます。

妊娠経過が順調な妊婦さんを対象に、妊娠15週以降より主に助産師が妊婦健診を行います。妊婦健診では、助産師が30分時間をかけてその方に応じたアドバイスやケアを行います。
分娩は、担当助産師が終始付き添い、バースプランに沿ってその方らしいお産となるよう支援します。 安心して出産・育児に臨めるよう、ナチュラルバースコース担当助産師を中心にサポートします。

まとめると

・妊婦検診は助産師さん中心に実施(医師必須の回を除いては、"助産師外来"で予約)

・妊娠中寄り添ってくれる担当の助産師チームがあり、分娩時もそのメンバーがサポートしてくれる

・ママの「産む力」と赤ちゃんの「生まれる力」が引き出され、自然なお産ができる

・NBCを選択できるのは、妊娠・出産リスクが低い妊婦のみ

という感じです。病院でもウェブサイト以上の説明はほぼありませんでした。

無痛分娩率もかなり高い愛育病院ですが、自然分娩を希望している方へは、安定期に入る頃に説明があるはず。このタイミングで、これまで通りの妊婦健診を受けるか、助産師外来中心のNBCにするかを選ぶ流れになります。(私はいつも検診時に選択している先生がいたのですが、NBCにしたためここでお別れです…!)

※NBC以外でも、助産師外来を受けるよう推奨されている週数があり、助産師によるバースプランの選択や母乳マッサージの指導などは受けられます。

私がナチュラルバースコースに決めた理由

説明を受けて、割と即決でした。

理由は、出産本番の日に長い時間お世話になるのが助産師さんだから。そして、出産本や漫画でよく見る「一番大変そうな瞬間」(陣痛に耐えながら泣き叫ぶシーン)に寄り添ってくれるのも助産師さんだから。です。

味わったことの無い痛みに耐えることになるのなら、はじめましての方に担当してもらうより、考えや性格もよく知ってもらい、「知り合い」になった助産師さんにサポートしてもらえる方が安心だと思いました。通常の医師コースにしていても、分娩時のお医者様は選べないですしね…。

いざというときは高い医療技術を持つ愛育病院で、個人のこともしっかり見てもらえるなんて、大病院の良さと個人病院/助産院のようなアットホームさ、いいとこ取りじゃん!と思いました。

ナチュラルバースコースの6つのメリット

1.顔見知りになった助産師さんに出産をサポートしてもらえる

→上記の通り。

2.担当の助産師チームが、常に自分の情報を共有しあってくれる

→個人として覚えられ、気にかけてもらえるのは安心です。

3.検診の待ち時間が短い

→超人気の愛育病院。医師の検診は予約しても1時間待ちのことも。こちらは基本待ち時間なし。

4.検診時間が30分と長め

→医師の診察の場合、エコーと問診をちゃちゃっとやって5分〜10分で終わることが多かったですが、こちらは30分枠が取られています。初めての妊娠で不安もあったし、病院まで時間をかけて往復しているので、しっかり時間をとってもらえるのは個人的には嬉しかったです。余裕があるので、エコーも時間をかけて見てくれたりもしました。そして、助産師さんたち、丁寧で優しいです。

5.医療に関すること以外も相談できる

→食事、運動、メンタル何でもOK。友達に話すように、「ヨガ続けてたら骨盤底筋の動かし方わかってきました」「皆さんどんなパジャマを持ってくるんですか」みたいな話までしていました笑。母乳育児に向けたおっぱいチェックもほぼ毎回ありました(そんなことまでしてくれるとは知らなかったのでびっくりした)。

6.妊婦健診の価格が安い

→医師が担当の場合と比べると価格が安いそうです。

私は事前説明は受けず、後からたまたま知りました。具体的にそれぞれいくらなのか、わかりませんm_ _m ただ、助産師外来のみの検診・区のクーポン使用で自己負担0円だったことがありました。医師の検診ではそれはなかったです。後期は妊婦検診とセットで何かしら受けることが多いので、0円は1,2回だったかな。

実際どこまで上記の通りだったか?は後述します。

先に知りたかったナチュラルバースコースのデメリット

・検査機器とエコーの違い

→「事前に知っていたら、NBCを選ばなかったかも」とまで思ったデメリットは、エコーの精度が格段に落ちたこと。それまでは、あ、「手動いている」と言ったことが素人目にもわかったのでとても楽しみにしていましたが、NBCコースにしてからは、何を見てるのかほぼわかりませんでした。写真を持ち帰っても、夫も「?」笑

<例:エコー写真実物を比較>

左:4ヶ月 経膣エコー(医師) 右:8ヶ月 経腹エコー(助産師/NBC)

無題54_20200820213031

↓↓一応補足すると…↓↓

無題54_20200820213202

正直、右は同じアングルのものを載せられているかもわかりません。手元に残っている写真はどれも、そのくらい何が写ってるかわからないのです。

エコー写真の精度が下がるかも」なことだけわかれば良い方は以下飛ばして大丈夫です!!!!

もう少し正確に整理します。どちらも経験した訳ではないため、あくまで自分の体験/リサーチと助産師さんに聞いたことをもとにしています。気になる方はご自身でコース選択前に確認してくださいね。

・そもそもエコーには大きく二種類ある。

経膣エコー…内診台に上がり、膣内に器具を入れて見る。細部まで見える。

経腹エコー…器具をおなかの上から当ててみる。より広範囲を見ることができる。

→初期は経膣エコー、中期以降は経腹や併用のことが多いようです。後期でも子宮頚部のチェックをするときなどは、経膣(*)になるようです。

*NBC選択でも医師が行う。さっと長さだけ確認されて、エコー写真などはもらえませんでした。

・(私の場合は)NBC前は経膣エコー、NBCでは経腹エコー。タイミング的にたまたまそうで、医師の検診を続けた場合でも、経腹エコーになっていたのかもしれない。

・ただ、医師による経腹エコーと、助産師による経腹エコーでは、機械が別もので、エコーの精度も違う(らしい)。

<エコー写真の精度(ヒアリングベース・予想)>

経膣(by医師)>経腹(by医師)>>>経腹(by助産師) 確信なし。

話を戻すと、エコー精度は本当にショックでした。当時、まだ胎児の性別がわからなかったものの、NBCの経腹エコーでは特定が難しそうだなと早々に諦め、2度の超音波外来にかけていました。(ここでしっかり見てもらえたので良し◎)

・担当者の指名はできない

通常の妊婦健診では、予約時に医師を選択する仕組みですが、NBC(というか助産師外来)ではそれがないです。「助産師外来」を選んで予約するだけ。誰が担当かは、当日ドアを開けてからのお楽しみ。診察を待ちながら内心「先日の人だったらちょっと不安だな…」「また○○さんに会いたいな」なんて考えていました。

実際どうなの?(戸惑うこともあった出産前編)

あくまでも私の体験談となります。今は変わっていることもあるかもしれません。

<良かったこと>

概ね上記に記載しているメリットはその通りでした。

バースプランを細かく相談に乗ってもらったり、仲良くなった助産師さんが「あ〜私お産担当したいなあ」なんて言ってもらい心強くなったり。

そのうえで、不安になることもありました。

<んんん…なこと>

・待ち時間

「待ち時間なし」は公式に謳われていたものの、2回に1回くらいはまあまあ待ちました。「待ち時間なし・30分枠」前提に、次のスケジュールを入れてしまっていたのに、30分待って焦ったことも…。通常の検診ならイライラもしませんが、わざわざ待ち時間なしを謳っているがために、「あれ…?」となります。ただ先方も「本来待ち時間なし」という認識でいらっしゃり、遅くなるとめっちゃ謝ってくれるので、忙しかったんだな〜^^となりました。

・共有ミスや手続きミス

原因がどこにあるのかは不明ですが、NBCに申し込んだ翌回も翌々回もNBCの案内をされたり(ん、ってことは今はNBCコースとして扱われてないってことだよね、この助産師さんは「担当チーム」ではないってことか…??と混乱&不安に。さすがに指摘しました。)、

こちらが「今回はOOの検査もあるはず」と言わなければ、やるべき検査が漏れていたこともありました。

また、NBC「担当チーム」の方が全員来れないということで、チーム外の助産師さんが診察をしてくださることもあり、そういう日は引き継ぎ(orカルテのチェック)がされていませんでした。「前回と言われていることが違う」「それは前回既にやりました」みたいなことが起こりました。

・結局会えた「担当チーム」の助産師さんは2名だけ

そんなこんなで、

期待「毎回の検診で担当チームの方々に会え、メンバー全員と顔見知りになった状態で本番を迎えられて安心」

 ↓

現実「結局チームの方が何人いて、誰なのかわからない状態。出産直前までに会えたのは結局2人だけ。この2人は3回ずつ検診してくれたし、親切で頼もしいので、どちらかがシフトに入っている時に産めることを願うしかない…!」(以下、AさんBさんとします)

本当に「産む力」「生まれる力」が引き出されているのだろうか、と思ってしまったことも。とりあえず体づくりをしっかりして、夫と事前に話しあって、どうあってもいいお産が出来るように頑張ろう…と考えていました。

<番外編>私のマタニティ生活とお産(不要な方はスキップ◎)

簡単に。ご参考になれば嬉しいです。

<マタニティ生活>

・体作り

安定期からマタニティピラティス(近所/マンツーマン/週1)とマタニティヨガ(オンライン/SOELU/週5くらい)を始めました。どちらも初めてでしたが、呼吸法や身体のほぐし方、お産に大事な骨盤底筋のことが学べ、良かったです。妊娠に伴う不調も色々とありましたが、都度講師に相談して早期にメンテナンスできました。おすすめです。臨月は夫婦で散歩をしまくりました。

安定期以降の食事はタンパク質・野菜・鉄分の量をざっくりと意識していました。葉酸はつわりで気持ち悪くて飲めなくなって以降フェードアウト。

・体重

5ヶ月頃→安定期の初期までつわりがひどく、出産前ー1キロ

7ヶ月後半→反動で美味しいものを食べすぎて出産前+7,8キロ(やばい)

10ヶ月→気を付けつつも、食べておきたいものを外食しまくり、+10キロ

途中、急増して焦りましたが、運動していたおかげか最後は持ちこたえました。

・バースプラン(抜粋)

・✗「私が頑張った、辛さを乗り越えた」ではなく

 ○「赤ちゃんを全力でサポートした、旦那が頼もしかった、家族皆でがんばった」と言えるお産を

→産後クライシス回避も意識して、後者で終わりたいと考え、夫婦で当日のコミュニケーション方法を入念に話しあいました。助産師さんには「夫が妻をサポートできるようサポートしてほしい」「とは言え、長丁場になりそうな時は夫に睡眠や食事も勧めてあげてほしい」などとリクエストしていました。

・(当日どうなるかわからないが)可能な限り、歩いたり運動したりお風呂に浸かったりと、アクティブにお産を進めたい

・音楽やアロマなどはどうでもいい

・新姓で呼ばれることはないので、余裕がないお産の時は下の名前か旧姓で呼んでくれるとリラックスできそう  など

<出産>

簡単な当日の経緯と感想。NBCの検診でお世話になった2名(Aさん、Bさん)も登場します。

・出産前日:日中ずっと不定期/軽めの陣痛。21時頃〜10分間隔を切る
・出産当日深夜:電話→自宅待機(エネルギー補給/お風呂で促進)
・5:00 愛育病院着(助産師さん1人め)すぐ嘔吐
・9:00 交代  出勤したAさんが担当に!(助産師さん2人め)
・16:00  Aさんシフト終わり交代(助産師さん3人め)
・18:30  交代(助産師さん4人め→はじましてだがNBCチームの方。Cさんとする
      別病棟で勤務だったBさんがシフト後に会いに来てくれる    
・19:30  辛いと思ったら子宮口開いてた いきむ&テニスボール
・20:30  破水
・21:00過ぎ 生まれる(陣痛10分間隔切ってから24時間、病院到着から16時間)

◎感想

・嘔吐でエネルギー補給ができない&長期戦だったので、体力的に辛かった

・骨盤底筋を鍛えたからか、スイカを鼻から出す、に例えられるほどの無理さは感じなかった

・夫にイライラ一度もしなかった(ただ感謝)

・顔見知りの助産師さんが担当する安心感…。NBCでよかった…!!

実際どうなの?(最大の魅力を感じた分娩〜編)

出産当日…やはりわかってくれる人がいるってありがたい!

Aさんが「まなみさん!」と担当挨拶に来てくれた瞬間。「Aさーーん!」やはり安堵がこみ上げます。

私はエネルギー不足で既にぐったりしていましたが、何も言わなくともバースプランに沿って、

・背中のさすり方を夫に伝授してくれたり
・私達が呼んでいた胎児ネームでおなかの赤ちゃんに話しかけてくれたり
・お産を進めるため、動いたりお風呂で温まったりするよう(ややスパルタめに)勧めてくれたり(事前に希望していたものの、当日は自分の気力だけではできない。笑)
・ゴッドハンドのマッサージをして痛みを和らげてくれたり(さりげなく夫も仮眠を取れた。後で撮影していたビデオを見たらかなり長時間)
・夫の体力も気にかけて食事を進めたり…

事前に相談していた方法で、お産をフルサポート。何を希望していて、それが何故で、家族の関係はどうで、を全部わかってもらっている状態だったので、本当に楽でした。助産師さんが「担当できて嬉しい!」と言ってくれるのも、我が子の誕生を待つ仲間がもう一人増えたかのようで力になります。

夕方には、別病棟で働いていたBさんが、シフト後にわざわざ会いに来てくれました。長丁場で陣痛と対峙していると、テンションが上がる瞬間なんてほとんど無いのですが笑、AさんとBさんに会えた時は、いきいきしていたみたいです。

出産の瞬間に立ち会ってくれたCさんも、事前に会えなかったけれどNBCチームメンバーで、バースプランをしっかり読んでくれているのが伝わりました。陣痛は長かったものの、出産自体はCさんと会話しつつやや余裕を持って行い(と言っても血管浮き出るほどにいきみました)、(恐らくそういう様子を見て)分娩後もわいわい楽しい雰囲気で過ごさせてくれました。

NBCとは関係ありませんが、両親学級の講師をされていた助産師さん2名も分娩時に応援に来てくださり、夫も「知っている人がこんなに応援に来てくれて心強いね、幸せだね」と振り返っていました。

産後の入院中

さらにNBCチームの皆さんは、入院中の部屋まで訪ねてきてくれました。残念ながらA、Bさんとはすれ違い、ベビーを取り上げてくれたCさんのみと会えました。

Cさんは会うなり「今日赤ちゃんの体重増えましたね!昨日減っちゃったから少しだけ心配してたんです!母乳で?ミルク足さず?すごい!すごい!頑張ったんですね!」と。そっかぁ知らないところで気にかけてくれてたんだ。そっかぁ私頑張れてたのかぁ。温かくなります。

それから、出産当日のことを振り返って、私がネガティブな言葉を言わずお腹の子に話しかけ続けていたこと、夫が向き合って支え続けていたことを挙げ、いいお産でした、感動しました、と目に涙を溜めて伝えてくれました。本当に一人ひとりのお産に向き合ってくれてるんだなと思います。

私たち家族のお産は助産師さんたちのサポートで間違いなく温かいものになりました。
 

そして、不満に思ってたことは解消される

振り返ると、NBCを選択して、少し不満に思っていたこともありました。

せっかくNBCにしたのに、どうして毎回チームの人が検診してくれないの?検診の予定は事前にわかっているはずなのに。どうしてチームメンバーの人たちと会えてないの?「可能なタイミングでチームの人たち全員が挨拶に来る」って聞いてたけど。なんて。

でも…出産を終えて気付く。

あれが助産師さんにとっての日常なのか。叫ぶ人がいて、疲弊する人がいて、泣く人がいて、頑張る人がいて、喜ぶ人がいて、その人たちの「一生に一度」を毎日ああやってサポートしている。担当する妊婦さんの出産と重なったら、そりゃあ検診に出られないよね。それはそうだ、お産をサポートしてあげてほしい。妊婦のときは妊婦の立場しかわかってなかったなあ。不満を感じてた私、さようなら。

まとめ

そんな訳で、私はナチュラルバースコースの選択に大変満足しています。

不安に感じたことも、良かった点も、一個人の体験であることをご了承ください。また、NBCでなくても助産師さん(&医師)のサポートはきっと素晴らしいものであったとも思います。

友人に支えてもらうかのようなアットホーム感、個人にあったきめ細かいサポートをもらいたい人にはおすすめします。コロナ感染の影響がいつまでどのように続くかわかりませんが、しばらくはパートナーの立ち会いが制限される可能性もあるなかで、なおさら心強い存在になるのではないかと思います。

逆に、「知り合い」には出産を見られたくない、という人は選択しない方がいいかもしれませんね笑

長文となりましたが、最後までありがとうございました。これを読まれている妊婦様がおなかのお子様とご対面される日を心から応援しています。



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